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西洋建築をめぐるレトロな街さんぽ♪異国情緒感じる門司港レトロ地区を訪ねて

  • 2025.1.8

明治時代から昭和初期まで国内有数の貿易港として発展を遂げた福岡県・門司港。クラシカルな洋館群をはじめ、旧花街やレトロな洋食店など、異国情緒を感じる街並みが残っています。 なかでも当時の歴史を代表する洋館群はいずれも西洋建築の意匠が随所に散りばめられた豪華な造りで、現代ではなかなか見られない貴重なもの。歴史的建造物を生かしたまちづくりが整備され、「門司港レトロ」として当時の佇まいを修復、復元されています。歴史を感じる街並みを訪ねてみませんか?

西洋建築をめぐるレトロな街さんぽ♪異国情緒感じる門司港レトロ地区を訪ねて
西洋建築をめぐるレトロな街さんぽ♪異国情緒感じる門司港レトロ地区を訪ねて

門司港の歴史を象徴する優雅なファサードが特徴の「門司港駅」

西洋建築をめぐるレトロな街さんぽ♪異国情緒感じる門司港レトロ地区を訪ねて
ネオルネサンス様式の木造二階建ての建物

門司港レトロ地区への玄関口として知られるのが、門司港駅。駅舎は1914(大正3)年創建で、外壁は石貼り風にモルタルが塗られ、下部が急勾配、上部が緩やかな 2 段階の斜面を持つフレンチスタイルの屋根が、重厚感のある印象となっています。1988年(昭和63)年には鉄道駅舎として初めて国の重要文化財に指定された貴重な建造物です。

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駅員の制服は大正時代をイメージして作られた限定デザイン

2階には天皇陛下や皇族など身分の高い方々をお迎えする旧貴賓室があり、見学も可能。当時の壁紙やカーテンを忠実に再現されています。ベンチなどが一切置かれていないホームやモダンなデザインの構内など、見どころが点在しています。

大正時代から町を見守ってきたランドマーク「旧大阪商船」

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オレンジ色のタイルに白い花崗岩が施されたデザインと八角形の塔屋が特徴的

当時門司で最も高い建物として街のランドマークとなっていたのが「旧大阪商船」です。1917(大正6)年、海運会社「大阪商船 」門司支店として創建されました。設計は、関西で活躍した建築士、河合幾次によるもので、正面と背面で鉄筋コンクリート造と木造モルタル仕上げの異なる珍しい構造です。屋上部の装飾、ドーマー窓など、西洋建築技法の粋が随所に見られます。

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ギャラリーとなっている1階(右・左上)、外壁に残る当時の看板(左下)

当時は建物の港側に船が横付けされる桟橋がかかり、人々が旅立つターミナルとして利用されていたのだそう。1階は待合室と税関の事務所、2階はオフィス、3階は電話交換室などがあり賑わいました。現在は、北九州市出身の作家わたせせいぞうさんのギャラリー、地元作家の作品展示・販売を行なっています。

華やかな時代を偲ばせる格式高い「旧門司三井倶楽部」

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英国ではチューダ様式と呼ばれる正面に並べられた切妻屋根が堂々とした印象を与える外観

三井物産門司支店の社交倶楽部として建てられた「旧門司三井倶楽部」。木の柱や梁などを骨組みとして外に現すヨーロッパ伝統の木造建築工法「ハーフティンバー形式」のリッチな佇まいが特徴です。接客用の洋風の本館と、サービスのための設備を備えた和風の附属屋から構成。アインシュタイン博士をはじめ、世界中の客人がもてなされた場所として知られています。

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港町らしいステンドグラスが施されたドア(右上)、レストラン「三井倶楽部」(左上)、アインシュタイン博士夫妻が宿泊した客室(左下)

本館は各部屋に暖炉が配置され、アールデコ調の装飾やステンドグラスが施される贅を尽くした造り。アインシュタイン夫妻が実際に宿泊した部屋が再現されています。1階は社交場の雰囲気が残るレストラン「三井倶楽部」となっており、会席料理を楽しむこともできます。

波乱の歴史を伝える重厚な煉瓦造り建築の「旧門司税関」

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イギリス積み工法で建設されたレンガ造り瓦葺構造。明治時代の赤レンガ建築としても極めて優れているとされる建物

長崎税関の出張所としてはじまり、徐々に貿易額が上回り、1909(明治42)年に独立したのが「旧門司税関」。初代は火事により焼失し、現在の庁舎は1912(明治45)年に完成し、昭和初期までその役割を担っていました。一時、空襲による被害で倉庫に転用されるも、観光復興のため1995(平成7)年には往時の姿を取り戻しました。

旧横浜正金銀行本店、横浜赤レンガ倉庫など数多く手がけた明治建築界の三大巨匠の一人、建築家・妻木頼黄指導のもと、建築技師の咲寿栄一によって設計。外壁の赤煉瓦や御影石など当時の設えが残されています。

いかがでしたか?門司港駅から徒歩圏内に洋館群が点在する門司港レトロ地区。ノスタルジックな港町を歩いて往時に思いを馳せてみませんか?

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