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前人未到…グラミー賞32回受賞“世界の歌姫”ビヨンセとは? “愛娘”との親子共演も話題に<ライオン・キング:ムファサ>

  • 2025.1.8
ビヨンセ 写真:ロイター/アフロ
ビヨンセ 写真:ロイター/アフロ

【写真】美しい…!ビヨンセの“愛娘”ブルー・アイビーカーター

「ライオン・キング」シリーズ最新作「ライオン・キング:ムファサ」が12月20日から日本で劇場公開されている。ディズニー好き、動物好き、音楽好きなら必ずや満足できる作品であるし、家族間の愛情や友との出会い・別れが丹念に描かれているところは、ある程度の年輪を重ねた「大人」にこそ強く感じ入るところがあるのではないかとも思う。そんな同作だが、どのキャラクターの声を誰が担当するのかもディズニー作品の大きな焦点だ。今回はその中でも、ナラ役として出演する“世界の歌姫”ビヨンセ・ノウルズ=カーターについて紹介する。

ビヨンセ、ブルー・アイビーの親子共演も話題に

「ムーンライト」(2016年)などで知られるバリー・ジェンキンスがメガホンをとった「ライオン・キング:ムファサ」は、2019年公開の超実写版「ライオン・キング」(ディズニープラスで配信中)の“前日譚”。これまで語られてこなかったシリーズのはじまりの物語として「ライオン・キング」の主人公・シンバの父・ムファサと、かつては“タカ”と呼ばれた彼の弟であり、後に“ヴィラン”となるスカーとの知られざる真実を描いている。

前作に続いてシンバを演じるのが「ディス・イズ・アメリカ」の全米ナンバーワン・ヒットを持つグラミー賞歌手ドナルド・グローヴァー、そしてビヨンセが同じく野生の王国「プライドランド」で育ったナラ役を続投している。グローヴァーとビヨンセがデュエットでも魅了するところは、「ライオン・キング」ファンにとってうれしい想定内といった感じか。今回は、ここにナラの娘であるキアラというキャラクターが加わる。劇中で演じるのはビヨンセの実の娘であるブルー・アイビー・カーターだ。

2023年に開催されたビヨンセの「ルネッサンス・ワールド・ツアー」中、何百万人かの前で共にステージに立ったとはいえ、人間の親子が、そのままライオン親子の声をあてることに、果たして前例があったかどうか。ここにもこの作品の興味深さがある。映画を見たファンからも「親子共演はレアですね」「実の母子が演じるからか説得力がすごい」などと話題になっている。

ビヨンセといえば、世界で最も権威ある音楽賞の一つに数えられるグラミー賞に通算32回(史上最多)輝いている世界的エンターテイナー。作品セールスはトータルで1億枚以上を誇るという。“ブラック・ミュージックの英雄”ロバート・グラスパーも卒業したテキサス州の名門校HSPVA(High School for the Performing and Visual Arts)で学び、4人組ガールズグループ“デスティニーズ・チャイルド”の一員として1998年にシングル&アルバム・デビュー。2005年までグループを維持するかたわら、2001年にはMTV制作のドラマ「カルメン:ヒップ・ホペラ」で主役を務めた。

2002年には映画「オースティン・パワーズ ゴールドメンバー」に登場。グループ解散後の代表的出演作品には2006年の「ドリーム・ガールズ」2008年の「キャデラック・レコード音楽でアメリカを変えた人々の物語」がある。前者は1960年代に絶大な人気を誇った3人組ガールズグループ“スプリームス”をモデルにした物語で、ビヨンセが演じたディーナのポジションは、スプリームスでいえばセンターを務めたダイアナ・ロスに相当する。

後者はシカゴにオフィスを構えていた“チェス・レコード”の物語が下敷きとなっていて、ビヨンセは伝説的ブルース歌手のエタ・ジェイムズに扮(ふん)した。きらびやかで軽やかでポップなダイアナ・ロス(をモデルにした人物)、エモーションを全開にして“あなたが他の女のところに去っていくのを見るぐらいなら盲目になったほうがマシ”的な歌詞をシャウトするエタという、ある意味では対照的な音楽的パーソナリティーを、ビヨンセは鮮やかに演じ切った。

2008年にはサスペンス映画「Obsessed」(日本未公開だが、現在は『オブセッション 歪んだ愛の果て』というタイトルで配信)で出演と製作総指揮を兼ねた。

ソロシンガーとしてもヒット作を連発

デスティニーズ・チャイルド休眠中の2003年からは、ソロシンガーとしての活動も開始。アルバム『デンジャラスリィ・イン・ラヴ』、そこからの第1弾シングルでジェイ・Z(のちに結婚)も参加したシングル「クレイジー・イン・ラブ」は共にヒット・チャートの首位に立った。以降の“新記録続出の、栄光の歴史”については、ここで触れるまでもない。

アルバムやシングルに、MVに、コンサートに、常にスタイリッシュな姿を刻み込みながら、「スーパーボウル」やオバマ大統領(当時)の就任パーティーにも複数回登場し、スティーヴィー・ワンダー、ルーサー・ヴァンドロス、レディー・ガガ、ブルーノ・マーズ、コールドプレイなど、幅広い世代の才人たちとのコラボレーションを楽しんできた。

ニューアルバム『カウボーイ・カーター』が、第67回グラミー賞の主要部門である年間最優秀アルバム賞にノミネート中のビヨンセ。その他11部門にノミネートされており、通算ノミネート数は99で史上最多記録を更新した。2月2日(現地時間)に行われる授賞式の結果を大いに期待しながら、「ライオン・キング:ムファサ」での声優・歌手としての充実ぶりを味わうのも、また楽しいはずだ。

◆文=原田和典

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