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【編集長コラム】夫婦別姓めぐる葛藤、終止符が打てたら

  • 2025.1.8

様々な岐路に立つ女性たちと、自分らしく生きる一歩を共に踏み出そうとしているtelling,。今回は結婚や出産に伴って避けては通れない「姓」の問題について考えてみました。経済界や政界でも最近ようやく議論が本格化してきた「選択的夫婦別姓」について、当事者の女性たちはどんな思いを抱いているのでしょうか。

「私はやっぱり私のままでいたい」。2歳になる男児を抱える女性(36)は語り始めました。夫婦別姓を選択し、息子は自身の姓を名乗っていること。父親と名字が違っても、家族としてお互いを尊重して生きていきたいと、いずれ息子に伝えようと思っていること――。

最近、様々な取材で出会う女性たちから、別姓を理由に事実婚を選んでいると聞く機会が増えました。子どもを持たない選択をした女性(37)は「私にも彼にも改姓する必要性はなく、お互い相手に強いることもなかった」と話します。長年、事実婚を貫いてきた女性(60)は、手術の際の配偶者同意や相続問題が近づき頭を抱えます。「法案が成立したら走って区役所へ届を出しに行くのに!」

今年6月、経団連は選択的夫婦別姓の早期導入を政府に提言し、自民党総裁選や先の衆院選でも争点にあがりました。10月末には国連の女性差別撤廃委員会も日本政府に改めて法制化を求めるなど、女性たちも自らの事情を隠さなくていい環境になってきたのかもしれません。

telling,ではかねて、この問題を様々な角度から考えてきました。より若い世代では、パートナーと自身の姓に関して“完全フラット”な決め方も少なくないようです。昨年結婚した女性(26)は、パートナーも自身も姓にこだわりがなく「三本先取のジャンケン」の結果、夫の姓を名乗ることに。別の会社員女性(27)の場合は夫婦互いに譲らず、最終的にクジで決めて婚姻届を出したものの、どちらの姓を届け出たかは誰にも言わない約束といいます。

夫も妻も好きな方を選べるなら、こうした葛藤には終止符が打てるのに。新しい年は、選択元年となるのでしょうか。

【2024年12月3日朝日新聞夕刊掲載】

■柏木友紀のプロフィール
telling,編集長。朝日新聞社会部、文化部、AERAなどで記者として、教育や文化、メディア、ファッションなどを担当。教育媒体「朝日新聞EduA」の創刊編集長などを経て現職。TBS「news23」のゲストコメンテーターも務める。

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