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大泉洋、「世界で日本の時代劇が盛り上がっている」と『室町無頼』をアピール!「気持ちは三船敏郎で演じた」

  • 2025.1.7

垣根涼介の同名小説を入江悠監督が映画化した『室町無頼』(1月17日公開)の外国特派員協会記者会見が1月7日に東京都内で行われ、主演の大泉洋と入江監督が出席した。

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本作は、大飢饉と疫病の連鎖となった混沌の室町、“応仁の乱”前夜の京(みやこ)を舞台に、日本史上、初めて武士階級として一揆を起こし、歴史にただ一度だけその名を留める男、蓮田兵衛と、彼の元に結集した“アウトロー=無頼”たちの知られざる闘いをドラマチックに描く本格アクション時代劇。

【写真を見る】大泉洋、『室町無頼』外国特派員協会記者会見で爆笑をさらった
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現地時間5日に米ロサンゼルスで行われた第82回ゴールデン・グローブ賞では、真田広之がプロデュースと主演を務めたドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」が、テレビドラマ部門の作品賞をはじめ、主演男優賞(真田)、主演女優賞(アンナ・サワイ)、助演男優賞(浅野忠信)の4冠を達成する快挙を果たした。また時代劇コメディ『侍タイムスリッパー』(24)が、自主制作映画として異例の大ヒットを記録するなど、時代劇ブームが到来している。

蓮田兵衛役の大泉洋
蓮田兵衛役の大泉洋

主人公の蓮田兵衛を演じた大泉は「いま大変、世界で日本の時代劇が盛り上がっております。この『室町無頼』も世界に羽ばたく映画になっていただければいいなと思っています」と笑顔。己の腕と才覚だけで混沌の世を泳ぎ、密かに倒幕と世直しの野望を抱く無頼漢で剣の達人である兵衛として、大泉が本格的な殺陣とアクションに初挑戦したことも話題となっている。

司会から「この役をやるために生まれてきたよう」と絶賛されると、コロナ禍の影響などを受けて企画から8年の月日が経過していることに触れながら「8年前、私は43歳でした。8年後になるとは考えていなかった。8年経つと自分がこんなにも老いるのかと驚きまして」と苦笑いを浮かべた大泉。「激しい立ち回りもありましたが、満身創痍。肩は痛い、腰は痛い。8年前だったらもっと楽に撮影できたんだなと思うと、もっと早く撮影すればよかったなと思う」と打ち明けながら、「NHKの『ファミリーヒストリー』という番組に出ましたら、私の先祖は仙台藩の武士だったということがわかりまして。先祖代々、芸人さんかと思っていた。武士をやるべくしてやった。まさにおっしゃる通り、生まれながらにしてこの役をやる運命にあったなんだなと。先祖も喜んでくれていると思います」とご満悦の表情を見せて、会場の笑いを誘っていた。

外国特派員協会記者会見で笑顔!
外国特派員協会記者会見で笑顔!

劇中では、兵衛の悪友にして宿敵となる骨皮道賢役を堤真一が演じている。記者からは「兵衛と道賢の関係性をどのように演じたか?」という質問があがる場面もあった。大泉は「仲がいいけれど、お互いの立場が違うから戦うしかないというところを大事に演じた」と回答。昔は仲がよかったはずなのに、それぞれの立場によって剣を手に戦わなければいけないという彼らの関係性は「もの悲しいけれど、それが日本で時代劇を作るおもしろさだなとも思う」と現代劇では描けない、時代劇の醍醐味が詰まっているとも話していた。

また「大泉さんはコメディタッチのある役柄が多い。今回は普段とはひと味違った役柄」だと評されると、大泉は「私もたまにはカッコいい役をやってみたい。娘にカッコいいところを見せたいと思って、この役をやることに決めた」とにっこり。続けて「松本若菜さん演じる芳王子という美しい女性と、一緒に布団にいるシーンがあって。娘には見れないと言われてしまい、結局娘に見せることができない映画になったことが残念」とこぼして、会場も大笑い。「ここまでヒロイックな役はやったことがない。常に心のなかには日本のスーパースター、トシロウ・ミフネを胸に秘めていました。立ち回りのシーンに行く前は、三船さんの『椿三十郎』の名台詞、『斬られりゃ痛てえぞ』と真似をしてから挑んでいました。気持ちは蓮田兵衛というよりは、三船敏郎でいた。トシロウ・ミフネを追い続けて演じてまいりました」と役作りについて明かし、さらに会場を笑わせていた。

8年の歳月をかけて映画を完成させた入江悠監督
8年の歳月をかけて映画を完成させた入江悠監督

入江監督には「黒澤明監督の作品や、セルジオ・レオーネによるマカロニ・ウエスタンへのオマージュはあるか?」という質問があがり、これには入江監督も「ベリーグッド・ポイント」とニヤリ。「大泉さんが兵衛を演じてくれるとなった時に、最初に観たのが黒澤明の『用心棒』でした。兵衛、そして『用心棒』の三船敏郎さんも、大きな使命感を持っているわけではなく、風と共に現れて、気分で立ち回ってなにかを解決していくところが似ている。黒澤の時代劇が、その後にセルジオ・レオーネのマカロニ・ウエスタンに影響を与えたという流れがある。僕はマカロニ・ウエスタンも大好きで、観て育ってきた。それらをもらい返すような循環があったら、おもしろいなと思った」と映画史におけるリスペクトの“循環”も意識していた様子。「大泉さんが三船敏郎を心に秘めながら演じたのは、僕にとってすごくうれしいこと。お会いしたことがないけれど、僕らが好きだった三船を一緒に追い求めている感じもあった」と共鳴しながら、作り上げた映画だと話していた。

息ぴったりに質問に答えた
息ぴったりに質問に答えた

1月10日からは、本作のIMAXでの先行上映が決定している。入江監督は「この映画では、とてつもない量の風を吹かせています。『用心棒』の風のよう。黒澤もこうやって撮っていたんだろうなと思いながら、風を起こして撮影していた。IMAXで観ていただけると、兵衛のマフラーが風になびいたり、そういったところもよく見える。ぜひ大きなスクリーンで観ていただけたら」とアピール。最後の質問として「時代劇はこれで最後?」と司会から問われると、大泉は「これから時代劇しかやらないかもしれない」と茶目っ気たっぷりに話し、入江監督が「僕も大好きなので、ヒットしてまた時代劇が作れたらと思う。欲を言えば、これに懲りずに大泉さんにまた殺陣をやってほしい」、大泉が「立ち回りしかやらない」と答えるなど、サービス精神とユーモアあふれる回答に終始、会場は大盛り上がりだった。

取材・文/成田おり枝

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