1. トップ
  2. 【ミニシアターランキング】年が明けても人気は衰えず『どうすればよかったか?』が3週連続1位!1月3日~1月5日の成績を紹介

【ミニシアターランキング】年が明けても人気は衰えず『どうすればよかったか?』が3週連続1位!1月3日~1月5日の成績を紹介

  • 2025.1.7

1月3日から1月5日までのミニシアターランキング(公開30館以下スタートの作品が対象)が興行通信社から発表された。今週も『どうすればよかったか?』(公開中)の勢いが止まらず、驚異の3週連続トップに!正月休みを利用した大勢の観客が年開けの映画館に詰めかけ、どこの劇場も満席完売の回が続出する大盛況。社会現象にまで発展する大ヒットを続けている。

【写真を見る】快進撃を続ける『どうすればよかったか?』が多くの人に刺さる理由って?

【ミニシアターランキングトップ5】(1月3日~1月5日) 1位『どうすればよかったか?』(先週1位→) 2位『小学校~それは小さな社会~』(先週4位↑) 3位『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』(先週2位↓) 4位『型破りな教室』(先週6位↑) 5位『バグタッド・カフェ 4Kレストア』(先週5位→)

【写真を見る】快進撃を続ける『どうすればよかったか?』が多くの人に刺さる理由って?
【写真を見る】快進撃を続ける『どうすればよかったか?』が多くの人に刺さる理由って?

黄色がベースのチラシに「面倒見がよく優秀な姉に統合失調症の症状が現われた。父と母は玄関に南京錠をかけ、彼女を閉じ込めた」と小さく記された『どうすればよかったか?』になぜこんなに多くの人が足を運んでいるのだろう?

前回も書いたことだが、それはたぶん誰もが他人事とは思えないからに違いない。発症した姉と彼女の症状を病気と認めない医師であり、研究者である両親に20年間にわたってカメラを向け続けた藤野知明監督の思いを探りながら、彼が映画をどんなところに着地させたのか気になって仕方がないのだろう。けれど、ネットにアップされている感想の多くは「上手く言葉にできない」といったものがほとんど。言葉で伝えられないから、結局はひとりひとりが本作と対峙し、自分の問題として“どうすればよかったか?”を考えることになる。そして、その次に誰かと意見を交わしたくなってくる。そうしたことの連鎖が多くの人たちを映画館に向かわせる力になっているのではないだろうか?

これも前回書いたことだが、先週の4位から2位にジャンプアップした『小学校-それは小さな社会-』(公開中)も先週の6位から4位に浮上した『型破りな教室』(公開中)にも同じことが言える。前者は「小学校生活の6年間に日本人が作られる」という、目から鱗の現実をドキュメンタリーの手法で検証した視点のおもしろさに多くの人が関心を寄せたことがヒットに結びついたと思われる。実話に基づく後者も犯罪と貧困が日常化したメキシコの小学校に赴任した教師が、どんな授業で国内最底辺だった生徒たちの学力をアップさせたのかを知りたい人の琴線に触れたに違いない。

人間関係が複雑になり、すべての事象の答えも簡単には導きだせない生きづらい現代だからこそ、映画に解決の糸口やヒントを求める人も多いのでは?年明けのミニシアターランキングの結果にはそうしたことが如実に表れていて興味深い。

3位の『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』に共感する観客も多い模様 [c]2022 VHS Forever Inc.All Rights Reserved.
3位の『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』に共感する観客も多い模様 [c]2022 VHS Forever Inc.All Rights Reserved.

先週の2位からひとつ順位を落とした『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』(公開中)も映画ファンの心をくすぐりながら大健闘を続けているが、カナダの新鋭チャンドラー・レヴァックの自伝的ストーリーでもある本作も、『どうすればよかったか?』や『小学校~それは小さな社会~』と同じような文脈で捉えて関心を持った人がいるかもしれない。社交性がなく、周りの人と上手く付き合えない主人公の少年ローレンス(アイザイア・レティネン)。映画の話になると夢中になる彼のことを自分のことのように思った人も多いに違いない。そうした人たちの胸に突き刺さったのかもしれないし、コミュ障気味の子どもを抱えた人たちは本作を観て、勇気や希望を感じたのかもしれない。映画が生きる力になる。そうした作品がミニシアターのスクリーンを彩っているのはなんとも頼もしい限りだ。

伝説的ロックスター、デヴィッド・ボウイの初期を回想するドキュメンタリー『デヴィッド・ボウイ 幻想と素顔の狭間で』 [c]SHORELINE ENTERTAINMENT
伝説的ロックスター、デヴィッド・ボウイの初期を回想するドキュメンタリー『デヴィッド・ボウイ 幻想と素顔の狭間で』 [c]SHORELINE ENTERTAINMENT

続いて、今週末に公開予定のミニシアター映画をピックアップ!1月10日(金)に、イギリスの伝説的ロックスターの初期活動に密着したドキュメンタリー『デヴィッド・ボウイ 幻想と素顔の狭間で』が公開。同日には、粗暴な新人ボクサーと彼を慕う弟分の強い絆と変わりゆく関係性を吉村界人と三河悠冴の競演で描く『Welcome Back』も登場!この2作がまだまだ肌寒い日本をとてつもない熱気で包み込んでくれるに違いない。

公開規模は小さいものの、映画ファンに愛されて続け話題性の高い良質な映画作品を鑑賞できるミニシアターに足を運んでみてはいかがだろうか。現在、全興連ミニシアター支援プロジェクト「#ミニシアターへ行こう」では、応援したい映画館の魅力を紹介してくれる公式アンバサダーを募集中。自身のYouTubeチャンネルやSNSアカウントを通じてミニシアターを紹介し、劇場救済に協力してもらおうという試みとなる。応募条件等詳細は公式アンバサダー募集ページをチェック!

文/イソガイマサト

元記事で読む
の記事をもっとみる