50代から輝くハリウッドスターたち。第82回ゴールデン・グローブ賞に見る、アラフィフ＆アラ還俳優の活躍

2025.1.7

82nd Annual Golden Globe Awards - Arrivals

ハリウッドが50歳以上の女性に厳しいことは、歴史的に見ても周知の事実だ。表舞台に立つ仕事に就いていると、歳を取れば取るほど、あっさりと脇に追いやられていく。だが今年のゴールデン・グローブ賞で、ニコール・キッドマンやパメラ・アンダーソン、ジョディ・フォスターやデミ・ムーアをはじめとするオーバー50のスターたちは、ないがしろにされるどころかもっともスポットライトを浴びていた。ハリウッドの若さへの奇妙な執着が、やっと本格的に「時代遅れ」だとみなされ始めているようだ。

レッドカーペットでも授賞式でも関心を集めた大人のスターたちは、誰もが世間に向けて、何かしらの強いメッセージを訴えている。例えば57歳のパメラ・アンダーソンは、2023年以来、ノーメイクを貫いている。「スタイリストもビューティーチームもいないです。誰もついていません」と彼女はレッドカーペットで『バラエティ』誌に語った。（女性が素顔で公の場に登場することにいまだに衝撃を受ける世の中に衝撃を受けているが、残念ながらこれが現状だ）。一方、62歳のデミ・ムーアは、コラリー・ファルジア監督のボディ・ホラー映画『The Substance（原題）』で圧巻の演技を披露し、主演女優賞を受賞。本作で彼女が演じるのは、50歳になった途端、出演番組から降ろされる“消えゆく”ハリウッドスター。「皆、常に新しいものを求めているんだ。求められるのは、50歳までだ」と、ムーア演じるキャラクターは劇中でテレビ局の重役に告げられるが、実際にはムーアは今でもあらゆる形で、表現者として進化を続けている。

女性に“賞味期限”があるという考えには、ムーアも受賞スピーチで触れた。「30年前、私はあるプロデューサーに“君はポップコーン女優だ”と言われたことがあります...…。その言葉は時とともに私を蝕み、数年前には『これでおしまいだ』『これ以上飛躍することはない』『これ以上することはない』と思うに至りました」と、彼女は静まり返った観客に向けて語った。「この映画が伝えようとしていることについて、ひとつお話しします。もっと賢くなければ、もっと美しくなければ、もっと痩せていなければ、もっと成功しなければ、あるいは自分には何もない、と思ってしまうとき。『この先も満たされることは決してないけれど、物差しを手放せば自分の価値を知ることができる』。私自身がかつてある女性から言われたこの言葉を思い出してください。ですから今日いただいたこの賞は、ありのままの私、私を突き動かす愛するものすべてに捧げる勲章です。そして、好きなことを仕事にできていること、自分には居場所があること。それに改めて気づけたことに感謝します」

CBS's Coverage of the 82nd Annual Golden Globe Awards - Show and Backstage

50歳を過ぎた自分のキャリアは終わった。そう思っていたにもかかわらず、新たな門出を迎えた俳優はムーア以外にもいる。2023年のゴールデン・グローブ賞ではジェニファー・クーリッジも同じように、自分の栄枯盛衰について語っている。この年、「ホワイト・ロータス」での演技が評価され、リミテッドシリーズ・アンソロジーシリーズ・テレビ映画助演女優賞に選ばれたクーリッジは「若い頃は大きな夢と期待を抱いているのに、荒波に揉まれることで、なんというかこう、（夢や期待が）しぼんでいってしまうんですよね」と受賞スピーチで語った。63歳となった今も、彼女の勢いと魅力は衰えておらず、今年のゴールデン・グローブ賞ではプレゼンターとして、再び注目を集めた。

ハリウッドからはほど遠い世界に身を置いている女性としても、これほど多くのアラフィフやアラ還女性が第一線で活躍しているのを見ると、励みになる。時が刻々と過ぎているように感じさせられたり、30歳までに何かを成し遂げていなければもう手遅れだと思わされることは多い。しかし、「人生に期限はない」ということに気づくと勇気づけられる。第一、期限などそもそもなかったのだ。

Text: Daisy Jones Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.CO.UK

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