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廃業寸前の洋食屋に現れた薄汚れた親子「隣の店では拒否されて…」親子を精一杯もてなした結果

  • 2025.1.11

40歳の私は、とあるレストランの店長をしています。数年前に脱サラして料理修行に励み、事故で急逝した父の店を継いだのですが、常連さんには好評を得ています。しかし、早くに隣の店をもらい受けて長く料理人をしてきた弟には、「兄の横入り」が気に食わない様子。勝手に対抗心を燃やしだしたのです。

まいったなぁ…

父の店を継いで半年後。無我夢中で磨いた料理の腕が認められ、一時期はいつも満席だったのですが、今は一転して閑古鳥が鳴いています。その原因の1つが、ネット上の悪質な書き込み。偽造画像まで使われて衛生面が悪いとたたかれ、あることないことを批判されたのです。

一方で弟は、もともとアットホームだった両親の店を改装し、超高級店へと路線変更。どうやらスポンサーを見つけたようで、有名シェフまで雇い入れて一躍人気店になったのです。

「どっちも父さん母さんの大切な店だったのに……。やっぱり俺が悪いのか」

私がため息をつきながら掃除をしようと店の外に出ると、繁盛している隣の店から弟の声が聞こえてきました。

「うちは超高級店だ、あんたらみたいな貧乏人は帰れ! 隣のしけたレストランで余った食材でも分けてもらえ!」

空腹の母娘に

弟がののしって追い出したのは、薄汚れた服を着た母娘。私は思わず声をかけました。

「あの、よければこちらで食べていってください。本当に食材も余っていて、このままでは廃棄になるので、ご心配なく……」

店に戻り、精一杯の料理をふるまうと、母親と娘の2人は涙ながらに礼を言ってくれました。聞けば、訳ありのようで、逃げるように移動した際に財布もスマホも失い、山道で遭難しかけたのだとか。

「お恥ずかしながら、空腹すぎて頭も回らなくて……。助けていただいて本当にありがとうございます。実は昔、こちらのレストランでやさしいシェフからおいしいお料理をいただいたことがあって……。近くだったのを思い出して、思わず来てしまったのです。お代は、落ち着いたら必ず……」

困窮する親子に手を差し伸べた私の姿を、弟は店先から冷笑してのぞき込んでいましたが、気にしません。おいしそうに私の料理を味わってくれる母娘の姿に、自分もうれしくなりました。

「お金なんていいですよ。さぁ、どんどん食べてください! 終わったら、病院と警察に行かれたほうがいいですよ」

数日後、驚きの展開に

そんな事件の数日後。隣の店から弟が血相を変えて怒鳴り込んできました。

「お前、どんな手を使って俺のスポンサーを横取りした? 好きでもないババアにこびを売ってやっと出資させたのに、こっちを打ち切って、お前の店に資金提供するとか抜かしやがった!」

私には何のことやらさっぱり。そこに、あの母娘が手をつないで現れました。今日はきれいな格好をしていて、後ろには優雅な年配女性も一緒です。

「先日は、強盗に襲われた娘と孫娘が本当にお世話になって……。犯人は無事捕まりました。実は私、あなた方のご両親のお料理のファンでしたの。亡くなられたと伺って、その息子さんのレストランならぜひにと出資させていただいたのですが……。私としたことが、どうやらお店を間違えたようです」

そう、年輩女性は弟の店のスポンサーでした。彼女は私に向き直り、「これからはこちらのお店を支えさせてください」とほほ笑みました。

その後、私の店について悪質な書き込みをしていたのが弟だったと判明。おまけに、スタッフの給料や改装費用の未払いも発覚し、借金返済のため店を売却することに。買い上げたのは例の年配女性で、なんと私に経営を任せてくれることが決まりました。

これからも父母の店を守り、お客さまを大事にしながら、おいしい料理を出し続けていこうと思います。

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人としても経営者としても対照的な兄と弟。レストランの雰囲気も料理の腕も成功を収めるには大切なことですが、やはり誠心誠意、目の前にいる人と接することが一番大事ですよね。

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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著者:ライター ベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

ベビーカレンダー/ウーマンカレンダー編集室

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