1. トップ
  2. グルメ
  3. いいね!の通知の数にさびしさを抱えてる仲間を感じる、1人じゃない

いいね!の通知の数にさびしさを抱えてる仲間を感じる、1人じゃない

  • 2025.1.7

仕事帰り、ふと車内を見渡してみる。スマホを触っている人ばかりだ。
こんなにも世界は人で溢れているのに、なんだか孤独だ。
見慣れたホームで電車を降りる。もう空はすっかり暗くなっている。
「この間まで仕事終わりでも空は明るかったのに」
そんなことを思いながら、もう暦が冬に近づいていることを思い知らされる。
駅から徒歩10分の道のりを歩く。鞄から家の鍵をゴソゴソと探し、重い扉を開ける。

「ただいま」と最後に言ったのはいつだろう。
コートを脱いでハンガーにかけ、手を洗ってうがいをする。
毎日毎日、私の全体重がかかっているせいで、すっかり生地が薄くなったクッションに座って、スマホを触りながら晩ご飯を食べるのが、お決まりの帰宅後ルーティンだ。
そして、晩ご飯を食べ終わると、本格的にスマホタイムに突入する。
ふと画面の左上に目をやると、時間は22時を過ぎている。

◎ ◎

「……さびしい」そう思うと身体がどんどん重くなるような気がする。
夜は更けていくのに、自分は何も進んでいないような気がしてたまらない。
誰でもいいから話を聞いてほしくて、フォルダに隠されたマッチングアプリを開いてみる。
新規登録の文字が出てきて、苦笑する。

1ヶ月前にインストールしたにもかかわらず、未だ手付かずの状態である。
必要事項を入力し、写真を登録した。テンプレートをほぼコピペした紹介文は、誰が見ても明らかである。今日はこれで終了。

早くお風呂に入らなきゃ……と重い腰をあげる。

◎ ◎

次の日、またいつものルーティンを終えてスマホタイムに突入する。
アプリを開くと、何十件もいいね!の通知がきているではないか(通知をオフにしているあたり、我ながらやる気がないなと思う)。
しかし、このいいね!の通知分だけ、同じように相手もさびしいと思っているのかもしれないな、と思うと、なんだか仲間ができたような気がして、1人ではないように思えた。
小さな幸せを感じた私は、早々にスマホを机に置く。
今日はスマホを触ってからまだ数分しか経っていない。

「さ、今日は早くお風呂に入ろうっと」
誰も聞いていない部屋で久しぶりに発した言葉だった。
「バスボムを入れて、お風呂にゆっくり浸かろうっと。あ、寝る前にアロマキャンドルでも焚いちゃう!?いいねー!それ最高!」などと1人でふざけながらお風呂場へ向かう。
足取りは、軽い。

◎ ◎

さびしさを感じながら、日々生きている。
日々の仕事の疲れ、金銭面、将来の不安……目まぐるしく変化していく世の中で、しがみつくのに必死だ。なんだこの世の中は!と怒りたくなってしまう日もあれば、どうしようもなくさびしくて泣きそうな日もある。

ただ、何気ないことに元気を貰えることも確かだ。
スーパーの値引きされたお寿司が買えた、上司に褒められた、綺麗な月を見た、お風呂にゆっくり浸かった、可愛い犬の動画を見た、やっとゲームをクリアした……。
小さな幸せは、たくさん転がっている。

いくらでも落ち込んでいい。
でも、何気ないことにも幸せを感じることのできる人でありたい。
きっとそうやって、上がったり下がったりしながらこれからも生きていく。

■うるのプロフィール
言語化は苦手だけど文章を書くのは好き。
今日も人間を生きてる。

元記事で読む
の記事をもっとみる