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米津玄師「頑張れって何?」羽生結弦にぶっちゃけた『声援への反発心』と『スタンスの変化』

  • 2025.3.28

TVアニメ「メダリスト」のオープニング主題歌として米津玄師によって制作された楽曲「BOW AND ARROW」。そのMVには羽生結弦が登場し、楽曲に合わせて羽生自らが振り付けを行ったショートプログラムを実際に披露している。

そんなコラボに際し、米津玄師の公式YouTubeチャンネルにて、ミュージシャン・米津玄師とフィギュアスケーター・羽生結弦という、それぞれの分野で独自の世界観を築き上げてきた二人の対談が実現した。互いの制作に対する姿勢や情熱、そして米津の楽曲「ピースサイン」と「BOW AND ARROW」の関係性について語られる対談は、二人のクリエイターの内面を垣間見ることができる貴重な機会となっている。

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(C)SANKEI

『BOW AND ARROW』は『ピースサイン』のセルフオマージュ

米津は「BOW AND ARROW」について「セルフオマージュというか、ちょっとした延長線上にあるつもりで」と表現する。「ピースサイン」の延長線上に「BOW AND ARROW」が位置づけられているのだ。「メダリスト」という漫画の楽曲制作にあたり、先方から「ピースサインのようなテイストの曲にして欲しい」というオーダーがあったことも、この二つの楽曲を結びつける要因となった。

米津はこの繋がりについて「自分が年も取って大人になって、あの頃子供の目線で作ってた音楽というものを、今はそれを支える側として作れるんじゃないか」と語る。「ピースサイン」が子供の目線で突き進む曲であるのに対し、「BOW AND ARROW」は支える側としての視点に変化している。

米津玄師の立場の変化

米津は自身の制作に対する姿勢の変化を率直に語る。かつては「自分の力でやってきた」という感覚を持っていた。「野良の人間からここまで上がってきた」という自負もあったという。

しかし時を経て「ありとあらゆる関わってくれた人間、いろんな人に支えられながら、ものすごいちっぽけな存在だった」と気づく。いろんなことに守られながら、その守られてる中でいろんなことに甘え散らかしながら生きてきたという認識の変化は、「BOW AND ARROW」の制作姿勢にも大きく影響している。

表現者としての共鳴

米津は以前、周りからの声援や励ましの言葉に反発心を感じていたタイプだったと率直に告白する。応援されることや背中を押されることに対して、「頑張れって何?」「いや関係ねえし」と距離を置く姿勢を持っていたのだ。しかし「メダリスト」という作品と出会い、曲を制作する立場になったことで考えが変わった。「自分はそういう立場になった」「役割を担っていかなきゃいけない存在になった」という責任感が芽生えたのだ。

一方の羽生は、この楽曲との出会いについて「米津玄師からもらった魂を僕が消化するためには、削ろう全部削ろうて思って」と表現し、全身全霊をかけて向き合わなければいけない責任を感じたと語る。元々「ピースサイン」が大好きな楽曲だったという羽生は、「僕は逆にピースサイン側の方で滑るのが正解なのかもしれない」と考えたという。制作する側と表現する側という異なる立場にありながらも、二人の感性は見事に共鳴しているように感じた。

「応援する」という行為について「非常に恐ろしいこと」とも表現する米津。人の背中を押すには責任があり、押される方も進んでいかなきゃいけないという両者の関係性の難しさを認識しているようだった。その視点の変化が「BOW AND ARROW」という楽曲に表れており、羽生はその本質を捉えながら、自らのスケートで表現している。

この動画を見た視聴者の反応は?

  • 作品に対する責任感が凄い
  • 米津さんはやっぱりすごいミュージシャンだし、羽生くんは熱血アスリートだなと思う
  • この人たちはこれだからトップに立って居続けられたんだなと考えさせられた
  • 2人が共に「完璧」を求める姿勢が伝わってくる

米津は音楽を通して、羽生は氷上のパフォーマンスを通して、常に自分の限界を超えようとしている。その背景には、「生み出す」ことへの強い責任感と、表現者としての誇りがある。視聴者はそんな二人の姿に、自分自身の生き方や表現のヒントを見出しているようだ。

※記事内の情報は執筆時点の情報です。