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羽生結弦「これは死んでもやらなきゃいけないやつだ」“初めての体験”に感じた強烈なプレッシャー

  • 2025.3.27

TVアニメ「メダリスト」のオープニング主題歌として米津玄師によって制作された楽曲「BOW AND ARROW」。そのMVには羽生結弦が登場し、楽曲に合わせて羽生自らが振り付けを行ったショートプログラムを実際に披露している。

そんなコラボに際し、米津玄師の公式YouTubeチャンネルにて、米津玄師と羽生結弦という日本を代表するアーティストとフィギュアスケーターの対談が実現した。二人は「BOW AND ARROW」という楽曲とそのプログラム制作について、真摯に向き合った創作過程と互いの思いを語り合っている。二人の共通点や創作に対する姿勢が垣間見える貴重な時間だ。

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(C)SANKEI

「これは死んでもやらなきゃいけない」楽曲に対する羽生の覚悟

羽生結弦は「BOW AND ARROW」のMV制作にあたり、米津玄師からオファーを受けた時の心境を率直に語った。「正直すごいプレッシャーがかかっていた」と羽生は当時を振り返る。「あの米津玄師からオファーをもらったんだぞ」という意識が常にあり、その責任の重さを強く感じていたという。

羽生は、米津が楽曲を作る時にどういう映像を想像していたのかを常に考え、「僕にしかできないエッセンスを入れてあげて、もっと見えるようにしてあげよう」と思ったという。楽曲が持つ「強さと速さと儚さ」を可視化して見せるために、全身全霊をかけ努力をしたことがわかる。そんな羽生の理想の高さと、それを叶えるための努力や思いの強さが、世界で活躍するプロのフィギュアスケーターを生み出したのだと感じることができる。

「背中を押され続けた」羽生が感じた楽曲のパワー

羽生は「BOW AND ARROW」という楽曲から受けた影響について、「ずっとこの曲聞いて練習したりとか、ずっとこの曲聞いてなんだろう、一つの目標に向かってつっ走ってきた」と語る。彼にとってこの曲は単なる滑走用の音楽ではなく、強いモチベーションの源となっていた。

「ここの何週間ともうずっとなんか背中を押され続け、飛べって言われたらなんか飛べる気がしたし、行けって言われたらまっすぐ行けた」と羽生。現在コーチがいない状況で練習を続ける彼にとって、この楽曲は「全力で背中を押されました、ずっと」と表現するほどの存在だという。

特に印象的なのは、楽曲がどう背中を押してくれるのかを語る部分だ。理屈っぽさがなく、自分と言う人間をまるっと肯定してくれるような感じで、「もうあなたはあなたでいいです、行きなさい」と楽曲に背中を押されたと語る羽生。その清々しさと勢いから、「人生においてもすごく力をもらって」と、この楽曲の持つパワーについて熱く語った。

「理想が高いだけ」羽生が追い求める完璧への道

普段から理想を高く持つようにしている羽生。そして「そこに対して自分の実力が足りないことも十分理解している」と、現実と理想のギャップを冷静に認識している。

しかし彼はそのギャップをネガティブには捉えていない。「自分の実力が足りないからこそ多分その理想を見続けるんだろうな」と語り、「自分の実力が足りてる状態の理想は多分夢にもなれないし、手が簡単に届いてしまったらきっと飽きてしまうんだろうな」と追求し続ける姿勢の重要性を説く。

初めてのミュージックビデオ参加という経験と、何よりも「米津玄師からもらった魂を僕が消化するためには、やっぱめちゃくちゃ高い理想じゃないと追いつかない」という強い思いから、羽生はこのMV制作に対しての理想をとても高く持っていたという。「これは死んでもやらなきゃいけないやつだ」と覚悟を決め、不要な部分を削ぎ落とし、純粋な状態で作品に向き合ったのだ。

この動画を見た視聴者の感想は…?

米津玄師と羽生結弦の貴重な対談。そのなかで羽生から語られた本コラボへの真剣な姿勢を目の当たりにした視聴者からは、感動の声が多くあがっていた。

  • こうやって独自のスタイルを貫く人こそ本物のアーティストだと思う
  • 一般人が「死んでもやる」と言うと大袈裟だけど、羽生さんは怪我しても演技を続けるような人だからそのワードになったんだろう
  • 私たちにとっては娯楽でも、1つの作品を作るのに多くの人が時間をかけて命を燃やしてくれていると感じた
  • 羽生さんの人間離れした綺麗な動きは、人間離れした壮絶な苦労の上に成り立ってるんだと思った
  • 羽生結弦は、常に羽生結弦であり続けるために血の滲むような努力をしていたんだな

この対談を通して、二人のアーティストが互いの制作への姿勢に深い敬意を示し、共感し合う姿が印象的だ。特に羽生の作品に対する情熱や思いは、彼がこれまでフィギュアスケートとどう向き合ってきたのか、その軌跡を感じさせるものであった。

※記事内の情報は執筆時点の情報です。