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いじめの事実を隠したがる娘、当てにならない教師… 親には何ができるのか。いじめ問題に真剣に向き合うきっかけをくれるコミックエッセイ3選

  • 2025.1.5

令和になった今もなお、社会に暗い影を落とし続けている「いじめ」問題。その残酷さを知りながらも、私たちは往々にして傍観者になりがちだ。しかし、いじめの現実と真摯に向き合い、複雑な人間模様を映し出しながら、問いを投げかけてくれる人たちがいる。本稿では、そんな「いじめ」をテーマにした漫画を3つご紹介していこう。

まとめ記事の目次

●家族全員でいじめと戦うということ。

●娘がいじめをしていました

●あの頃世界のすべてだった学校と自分への呪いにさよならするまで

家族全員でいじめと戦うということ。

いじめの事実を隠したがる娘、当てにならない教師。そんな状況で、親には何ができるのだろうか。『家族全員でいじめと戦うということ。』では、娘のいじめ問題と真剣に向き合った家族の奮闘物語が描かれていく。

ある日、小1の息子から娘のハルコ(小5)がいじめられていると告げられた母のナツミ。それからハルコを注意深く観察したところ、いくつかの嘘が明らかになった。心配になって担任に連絡を取ってみると、どうやらハルコは3カ月前の自然教室で友達と何かがあったらしい。ナツミが担任に連絡したことで、学校では形だけの話し合いが行われ、よりハルコを追い詰める結果になってしまった。

そして心が晴れないまま迎えた運動会の日、ナツミはハルコの同級生の母親から衝撃的な事実を告げられる。なんとハルコは、4年も前からクラスメートに無視されていたというのだ。なぜこれまで気づくことができなかったのか、振り返ってみれば不自然な点はいくつもあった……。自分を責めるナツミ。また見て見ぬふりをし続けた周囲の大人にも怒りがわいてくる。

被害者は、加害者は誰なのか。複雑に絡み合った糸をほどくため、整理できない感情に決着をつけるために、家族が出した結論とは――。

いじめ問題は複雑で、表面上のことだけしか見えていないと余計に事態を悪化させることもある。子どものいじめに大人たちがどのように関わるべきなのか考えさせられる1冊だ。

娘がいじめをしていました

いじめ問題を加害者家族、被害者家族双方の視点から描くセミフィクション『娘がいじめをしていました』。幼稚園から一緒で大の仲良しだった赤木愛(まな)と馬場小春は、小学5年生の時、久しぶりに同じクラスになった。そんなふたりが、いつしか「いじめっ子」と「いじめられっ子」の関係になってしまう。

ある日、愛の母親の赤木加奈子は、小春の母親の馬場千春から娘が愛にいじめられていると告げられた。加奈子には、いじめを受けていた過去がある。そのため自分の娘が加害者となった事実に怒りが抑えきれず、愛を必要以上に責め立てるのだった。赤木家は家族で馬場家に謝罪に向かい、受け入れてもらえたものの、小春は不登校になってしまう。

愛は自身の行いをしっかりと反省しているように見えるが、それでも加奈子のモヤモヤは解消されない。一方で苦しむ小春の姿を見て、なぜ自分の家族ばかり……と行き場のない感情に苛まれる千春。そして千春はある行動に出てしまい、事態は思わぬ方向へと発展していくのだった。

我が子への不信感、夫との意見の相違、様々な問題に翻弄される2つの家族。自分の子どもがいじめの当事者と知った時、「正しい対応」とは果たして何なのだろうか。

あの頃世界のすべてだった学校と自分への呪いにさよならするまで

いじめを受けた人間は、一生その過去を背負って生きていかなければならないのか……。『あの頃世界のすべてだった学校と自分への呪いにさよならするまで』は、学生時代の呪いとそこからの解放を描いたセミフィクション。

入学した女子高でクラスの中心的存在であるクラスメートに声をかけられ、憧れのグループに入ることができた主人公のユイ。そんな彼女を待ち受けていたのは、女子グループの中で行われる陰湿で過酷ないじめの恐怖に怯え続ける毎日だった。些細なことで目をつけられ、いじめの対象になってしまった友達。仲間たちの目が怖くてかばうこともできないまま、やがていじめの矛先は自分に向けられる――。

一度受けた傷は呪いとなり、何年も何十年も影響を与えることがあるだろう。例に漏れずユイも、我慢と諦めが身体に染みついていた。しかし自分の中の呪いにさよならできるのは、やはり自分自身。いま苦しんでいる人も、まだ自分への呪いにさよならできていない人にも手にとって欲しい作品だ。

もしもいじめの問題が他人事ではなくなった時、私たちにできることとは…。ぜひともご紹介した3作品をチェックしてほしい。

文=ハララ書房

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