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テキスト・コミュニケーション『文字メンタリー』/テレビお久しぶり#133

  • 2025.1.5
「テレビお久しぶり」 (C)犬のかがやき
「テレビお久しぶり」 (C)犬のかがやき

『M-1グランプリ2024』エモーショナルの傾向について/テレビお久しぶり#132

長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『文字メンタリー』(日本テレビ)をチョイス。

テキスト・コミュニケーション『文字メンタリー』

LINEでのやり取りやネットの掲示板、そして文通など、選りすぐりのコミュニケーションをオーディオブック化して読み上げる番組、『文字メンタリー』。日テレ入社15年以内の若きディレクター・プロデューサーたちがそれぞれ企画を持ち寄って競う『クリエイタードラゴン』内の一篇であり、なるほど、確かに面白いアイデアの番組となっている。

さて、本番組には、たくさんのテキスト・コミュニケーションが登場する。やはり一番の見どころは、文通がきっかけで交際、そして結婚するに至ったとあるカップルの”文字メンタリー”であろう。照れ隠しに何か茶々を入れようにもどうにもならない、ひたすら素敵な物語である。この”文通”という行為は、決して現代と逆行したものではないと私は思う。それがLINEであろうと、メールであろうと、文字の交わし合いという根幹自体は変わっていないからだ。それならば、LINEと手紙は、一体何が違うのだろう。

まず第一に、文字数があるだろう。一語ずつを小分けに送ることのできるLINEやその他コミュニケーションアプリに対し、手紙は一通ごとに文章の構成が必要となる。一通送るごとに金と時間がかかるのだから、一語ずつでやり取りなどしていられないのだ。これによって、より相手の作為を感じられるだろう。そして、それは、温かさにも思えるだろう。

次に、入力された文字か、手書き文字か、という違いがある。これも明確な違いで、私もよく考えるのだが、具体的になにが違うのか、いまいち分からない。「手で書いたほうが気持ちが伝わる」というのは無根拠な感情論であって、じゃあ実際どちらのほうが気持ちが伝わるか、というのは、身もふたもないことを言うと、結局は感嘆符に依存すると思っている。ビックリマークをいっぱいつければそれだけ強く気持ちが伝わるだろうし、ハテナマークをいっぱいつければ、相手をたくさん煽ることができるだろう。バカみたいな推測だが、それほど感嘆符の力は強大である。そもそも、コミュニケーションにおいて、”本当の気持ちを伝える”が最終的な目標になることって、そんなに多くないような気もする。嘘と気遣いの連続こそコミュニケーションである。

あとは、第一の理由とも被るのだが、相手が自分とのコミュニケーションのためにかけた手間を感じられる。便箋を用意して、字を書いて、切手を貼って、ポストに入れたことが確定している。これはハッキリと手間であって、LINEでどうにでもなる時代に、この手間を共有するふたりとしての絆が間違いなく生まれる。一番の魅力、そして違いはココであると私は思う。コミュニケーションそのものにはおそらく違いは無いはずで、最も重要なのは、手間の共有、手段の共有であると。

たとえば今、Skypeで友達と連絡を取ったら、言い知れぬ興奮があると思うのだ。それにはSkypeそのものに対する懐古も含まれるとはいえ、何よりも、それが手段の共有に他ならないからだ。その手段がマジョリティではないほど、絆は深まる。小学生の頃なんかに、自分たちにだけ伝わる暗号を考えようとしたことは無かっただろうか。私はあった。コミュニケーションにおける手段の共有を求めるのは、もしかすると、本能的なものなのかもしれない。ちなみに私は、今でもSkypeがスマホにもパソコンにも入っているから、いつでもできます。あと、あけましておめでとうございます!いつも読んでいただきありがとうございます!!!今年もよろしくお願いします!!!!!!!!

■文/城戸

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