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キム・スヒョン“フォン”「すべてを元に戻すつもりです」妹への苦しすぎる決断を乗り越えて臨む、過去の清算<太陽を抱く月>

  • 2025.1.4
「太陽を抱く月」 (C)2012MBC
「太陽を抱く月」 (C)2012MBC

【写真】暗躍する影に、チョン・イル“ヤンミョングン”の返答は「2つだけ」

キム・スヒョンが主演を務める韓流ドラマシリーズ「太陽を抱く月」(Huluにて配信中)。2012年に全20話が放送された大人気ドラマシリーズである同作は、朝鮮王朝の架空の時代に繰り広げられる宮中ラブストーリーを描いた作品だ。第18話ではホ・ヨヌ(ハン・ガイン)の命が奪われる原因となった8年前の真実について、イ・フォン(キム・スヒョン)が底知れない宮廷の闇に苦しむことになる。(以下、ネタバレを含みます)

迷った心へ、8年前の自身の言葉が突き刺さるイ・フォン

記憶を取り戻したホ・ヨヌ、そして彼女と8年の時を経て結ばれた王イ・フォン。夜、眠る際には布団を並べて「一緒に横になるといい気分だな」「はい、そうですね」と2人で心温まる会話を交わしていた。しかし2人の布団と布団の間には、目隠しをしたヒョンソンの姿が…。「ひどくないか?」と訴えるイ・フォンとホ・ヨヌによって最終的には退室したヒョンソンを見送り、2人は改めて8年という長い年月で空いた距離を少しずつ埋めていくのだった。

翌日、イ・フォンのもとにホン・ギュテがやってくる。ホン・ギュテは調査によって、先王ソンジョ(アン・ネサン)が8年前、世子ピンの死に関する調査を終える直前に王女のいた淑英斎(スギョンジェ)に出入りをしていたことを突き止めたという。ソンジョはミナ王女を溺愛していたため普通の行動ではあるのだが、大王大妃(テワンテビ)・ユン氏(キム・ヨンエ)も淑英斎を頻繁に訪れていたというではないか。

驚くイ・フォンに、並行して調べてきた呪術についても報告するホン・ギュテ。呪術の供え物には人が使われることもあり、“願望や執念が強いもの”であれば非常に有効な供え物になるという。イ・フォンのなかで、見聞きしたさまざまな情報が駆け巡っていく。

思い出すのは8年前、先王ソンジョが自分が「申し訳ない」とイ・フォンに突然謝ってきたひと幕だ。「無能なため世子ピンを守れなかった」という言葉に、イ・フォンはホ・ヨヌに向けられたさまざまな冷遇を指しているのかと思っていた。しかし「いずれ意味が分かるだろう」と付け加えられた言葉の意味が、いま繋がろうとしている。しかしソンジョはこうも続けた。「私が――守ろうとした者たちを許せ。そして守るのだ。無理だったらこの私を許さなくていい」「世子、王の座は孤独なのだ。敵は四方八方にいるし、誰もが敵になりうる。不本意ながら敵と妥協することもある。時には肉親の場合もある。だから頼む…肉親であったとしても許してくれ」。

イ・フォンがたどり着いた結論

イ・フォンはある結論にたどり着く。怒りに震えながら立ち上がると、普段政治を執りおこなっている一室へとやってくる。イ・フォンの目には、ソンジョに直訴した過去の光景が映っていた。ホ・ヨヌの兄、ホ・ヨムを守るために取った行動が政治的な交渉材料と見なされ、利用される隙を作ったとソンジョは激しくイ・フォンを叱咤する。

感情を抑えられない者に誰が守れるのかと指摘するソンジョに、イ・フォンが見せたのはかつてないほど激しい反応だ。「何もせず何も変えず何も守ろうとしないで、決められた道理に従い無力かつ無能に、そう生きろとでも?王とは――そんなものですか?」声を荒げるイ・フォンに、ソンジョは「守ろうとすれば傷つくだろう。得ようとすれば失うだろう。それこそが――お前の宿命なのだ。守りたければ悟られるな、何かを得たければ何かを捨てろ。失ってこそ手に入れられるのだ。それが政治だ」と悲しい目で訴えた。

だがイ・フォンはさらに、「結局のところ、父上は何をなさったのですか?一体何を得て何を失ったのですか?」と言葉を重ねる。ソンジョは言葉にはせず、得たもの、失ったものを数えあげた。「忠臣を失い安全を得た。ヤンミョングン(チョン・イル)を失いお前を守った。世子ピンを失い、ミナ王女を守った」。しかし、その真意はイ・フォンには伝わらない。

「私はそんな王にはなりません。正しいと思ったら全力で守ります。すべてが得られても誤りであれば捨てます。私の国は――そうなるでしょう」決然と語ったイ・フォンに言葉を返すことはなく、ソンジョは彼を見送るのだった。

そして現在のイ・フォンと、8年前のイ・フォンが対峙する。「あの決意を忘れたのか?正(チョン)しく置(チ)くことが政治(チョンチ)だと言ったではないか。万物や人を正しい位置に置き、奪われた座を元の者に返すこと。それが君主としてすべきことなのを忘れたのか?」と過去の自分に激しく問われ、イ・フォンはその決断の重さ、責任のつらさに息を詰まらせる。

たとえ時が戻ったとしても変わらない選択

イ・フォンが部屋に戻ると、ミナ王女が母である大妃(テビ)ハン氏に促されてイ・フォンへ挨拶をしにやってきていた。部屋へと招き入れると、表情が硬いとイ・フォンに指摘しつつ嬉しそうにミナ王女。イ・フォンから「そんなにも…ホ文学のことが?」と問われると、嬉しそうに頷いた。

しかし「だから――残酷なことをしたのか?」「ホ文学の妹」とイ・フォンが言葉を重ねると、ミナ王女の笑顔が揺らぐ。それでもまだはぐらかすミナ王女に、イ・フォンは「なぜ世子ピンの呪いに関与したのだ」と核心を突く。

「旦那様(ホ・ヨム)にだけは内密にしてください」と怯えながら頭を下げるミナ王女に、イ・フォンは涙を浮かべて歯を食いしばっていた。「一体自分が何をしたか分かっているのか?」と妹に語り掛けるイ・フォンへ、ミナ王女は震えながら口を開く。「同じ目と、同じ声でした。同じ言葉を――あの当時に父上からも言われました」と涙をこぼしながら震えるミナ王女。8年前のあの日、ソンジョの前でユン氏から「ただ座っていればいい」と聞いただけであることを伝えていた。そうすればホ・ヨムと一緒になれると言われただけで、本当にホ・ヨヌが死ぬことになるとは思いもしなかったのだ…と。

涙を流す幼いミナ王女の肩に触れ、ソンジョは言った。「よく聞くのだぞ。このことは――誰にも話すな。お前が死ぬ時まで隠しとおさねばならない。分かるか?」その言葉に従って罪を告白しなかったミナ王女だが、ホ・ヨヌのいない離れに寂しく座り、苦しむホ・ヨムの姿を見て初めて自分がどれほどの罪を犯したのかを痛感したと語る。

激怒するイ・フォン。父と自身、ホ・ヨヌと彼女が愛するホ・ヨム、すべての者に対してどう償うつもりなのかと激しく問う。しかしミナ王女から返ってきた言葉は予想外のものだった。ミナ王女は苦しい後悔を口にしながらも、「時が戻っても同じです。私は…旦那様を選びます。天罰が下ろうとも、地獄に落ちようとも、あの時の選択に後悔はありません」と微笑んだのだ。

事ここに至り、イ・フォンはミナ王女を罰すると宣言する。そうすることで、事件に関与した外戚も罪に問えるからだと。しかしミナ王女は、ホ・ヨムといまお腹にいる子の2人だけは許して欲しいと語り、その場をあとにする。イ・フォンは妹の懐妊を初めて知り、自分たちを取り巻く残酷な運命に改めて叫ぶのだった。

断固たる決意に、再び影の暗躍が始まる

翌日、イ・フォンはユン氏のもとを訪れ、温陽行宮(オニャンヘングン)に行くように促す。そこで政治から離れて休むように…つまり政的な立場からの引退を促すが、ユン氏はそれを拒む。ならば罪に問うとして、8年前のことをユン氏に糾弾するイ・フォン。断罪するにあたって血縁を考慮することはないと言い切り、温陽行宮へ向かうように再び促すと「これが私にできる最後の孝行です」「すべてを元に戻すつもりです」と語って退室する。

ユン氏との決別が決定的となったイ・フォン。立ち去ったイ・フォンに激高するユン氏は体調を崩し、彼女と徒党を組む外戚派の首魁ユン・デヒョン(キム・ウンス)らが動き出す。

夜、傷の癒えたヤンミョングンのもとに、あいさつに来たという男たちが現れる。彼らはイ・フォンへの疑念を口にし、まだ彼が生きているにも関わらず後継者を考えているようすを見せた。ヤンミョングンはそれに付き合うふりをしてから、一瞬で刃を向けて「黒幕は誰だ?そいつに伝えろ、人を使ってようすをうかがわず、言いたいことがあれば自分から来いとな」と彼らを追い返すのだった。

その後、ヤンミョングンの言葉通りに黒幕…ユン・デヒョンがヤンミョングンのもとを訪れる。ねずみたちから話は聞いているとして、本題から入ろうと促すヤンミョングン。「太陽になりたいとは思いませんか?」と語り始めたユン・デヒョンだったが、ヤンミョングンは「今、領議政は大きな間違いをしている。この私が父である先王や王様への嫉妬だけで謀反を起こすとでも?地位に興味はない、王様を殺すこと、さらに富や名誉や権力などは必要ないのだ」と語る。

怒るユン・デヒョンに、ヤンミョングンは続ける。「私の望みは宗廟祭礼(チョンミョチェリェ)の祭主の座、そしてホ・ヨヌ。その2つだけだ」。

真実を証明することによって明るみに出る闇

第18話はこれまでと比べても重く苦しい展開が待っていた。ミナ王女の懐妊という嬉しい報せと重なるように、真実に踏み込むと決意したイ・フォン。ミナ王女の“過去に戻っても同じ選択をする”という強い愛を目の当たりにして、罰を告げなければならなかったイ・フォンの心が心配になる。

そしてクライマックスを前に、ヤンミョングンがユン・デヒョンと手を組む不穏な言動を見せたのも見逃せない。一気に物語が動くなか、それぞれの愛がもたらした行動はどう決着するのか。

クライマックスに向け、激動の展開を見せていく「太陽を抱く月」。Huluにて全20話が配信中だ。

「太陽を抱く月」 (C)2012MBC
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