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「週1でOK。むしろ毎日は避けたほうがいい」初心者ランナーに最適なランニング頻度とは?米ランニングコーチが解説

  • 2025.1.4

誰にとっても「これがベスト!」というようなランニングシューズやトレーニングプラン、エナジージェル(マラソン補給食)が存在しないのと同じように、理想的なランニングの頻度も人それぞれ。「週に何回走るべき?」と尋ねるランナーは多いけれど、これは個々のライフスタイルや目標次第でまったく異なるもの。一度自分にぴったりのペースが見つかったとしても、トレーニングの内容や生活スタイルが変われば、その都度アプローチを柔軟に見直していく必要がある。

とはいえ、初心者ランナーがどのくらいの頻度で走り始めるべきかを見極めるための一般的なガイドラインや、経験者ランナーが週のランニングを増やすべきか減らすべきかを判断するのに役立つ指針は確かに存在している。そこで『Runner’s World』誌は、「Women’s Running Academy」の創設者であり、UESCA認定ランニングコーチのアリソン・マリー・ヘルムズ博士と、ニューヨーク市にある「Mile High Run Club」で認定ランニングコーチを務めるラジ・ハティラマニ氏に話を聞いてみた。ランニングの頻度について知っておくべき内容は以下の通り。

ランニングの頻度を決める際に考慮すべき要素

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個別のトレーニングスケジュールを作成する前に、有資格のコーチはランナーを単なるアスリートとしての側面だけでなく、ランニング以外でも多彩な生活を送る一人の人間として理解を深めるための時間を大切にしているとか。プロに指導を受ける場合でも、自分でプランを立てる場合でも、以下のポイントを参考にしながら、どのくらいの頻度で走るべきかを考えてみて。

目標

ランニングの頻度を決めるには、まずは走る目標を明確にすること。ハーフマラソンの自己ベストを更新したいのか、初めてのフルマラソンを完走したいのか、心肺機能を向上させたいのか。それぞれの達成したい目標によって、必要なトレーニング量は異なる。これを見極めることで、週に何回走れば理想的かが見えてくるはず。

「時間や距離に関する具体的な目標を持っている人は週に走る頻度が多く、フィットネスやウェルビーイングを重視する目標を掲げている人は前者に比べて走る頻度が少ない傾向にあります」とハティラマニ氏。また、パフォーマンスの向上を目指すランナーの中でも、長距離レースを目指す人は、短距離レースを目指す人よりも頻繁に走る必要があるかもしれない。

経験

例えば、「初めてのマラソンを完走する」という同じ目標を持つ2人がいたとしても、ランニング初心者と、すでに複数の5km、10km、ハーフマラソンを経験しているランナーとでは、それぞれのトレーニングの頻度が異なるのは当たり前。

「いきなり無理をするのだけは絶対に避けるべきです」と話すハティラマニ氏は、ランニング初心者にはウォーキングとランニングを組み合わせて徐々にランニングを始めていき、連続して毎日走ることを避けるようにアドバイスしている。「これは主に、怪我やオーバートレーニングを防ぐためです」とハティラマニ氏。一方で、経験豊富なランナーの場合はより頻繁にトレーニングを行い、走る間に挟むリカバリータイムを短くすることがメリットになることも。

現在のフィットネスレベル

ランニング初心者でもフィットネスレベルが比較的高い場合は(例えば、サイクリングが得意だったり、熱心にチームスポーツに励んでいるなら)、過去のトレーニングで培った体力のおかげで、平均的な初心者よりも週に多くの頻度でランニングを行えるかもしれない。

反対に、過去にランニングの経験があっても、定期的に運動していた時期からしばらく時間が空いている場合は、すぐに以前のレベルに戻ることは難しいはず。少ない日数から始めて、徐々に走る頻度を増やしていこう。

ストレス

ヘルムズ博士がクライアントについてまず知りたいのは、ランニング以外でどんなことに取り組んでいるのか。「トレーニング以外で、エネルギーを消耗したり、ストレスを感じていることはありますか?」とヘルムズ博士。「ストレスは積み重なるものであり、私たちがランニングやトレーニングでやろうとしているのは、体に適度なストレスをかけて変化を促し、次回ではさらに少し強いストレスをかけられるようにすることだからです」

よって、すでに仕事やプライベートで強いストレスを感じている場合は、ランニングの頻度を減らし、休息を優先するほうが、より健康的で持続可能な選択かもしれない。

スケジュールとライフスタイル

家族の責任や仕事の都合によって、ランニングに割ける時間や頻度が制限されたり、忙しい日々を送っているランナーにとっては、仕事を終えた後に走る気力や体力が残っていないことも少なくない。「特に、複数の仕事を掛け持ちしている人や、医療関係者で立ちっぱなしの勤務や夜勤が多い人には、その日に走ることが現実的でない場合もあるはずです」とハティラマニ氏。質の高いランニングを行えるタイミングを把握することで、より継続しやすい現実的なスケジュールを立てやすくなる。

怪我や健康状態

もちろん、怪我をしていたり、健康に問題がある場合は、ランニングを始める前に必ず医師の許可を得ることが大前提。医師の許可が下りた後は、体調が良いときであっても、慎重過ぎるぐらい慎重でいることを心がけよう。

実際のところ、過去に怪我や慢性的な問題を抱えているランナーや、ケガを予防したい健康なランナーにとって、ランニングの頻度を減らして、ランニングをサポートする他のトレーニングに時間を割くことは有益だとヘルムズ博士は話している。「ランニングによる心血管の適応は、少なくとも最初のうちは筋肉の適応より少し早く起こる傾向があります。だからこそ、いずれは筋力トレーニングも必要になってくるのです。それによって、ランニングの効果を最大限に引き出せるようになります」

週に何回走るべきかを決める方法

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「週にX回走れば効果的なのか、ランナーと呼べるのに十分なのか」などと疑問に思っているなら、答えはこう。週に1回でも毎日でも、どんな頻度でも、そのランナーに合った頻度であれば有効であり、しっかりとしたメリットが得られる。

ここからは、週に何日走るべきかを決める際の参考となるポイントを、異なるタイプのランナー別に紹介していこう。

週に1〜2回

「パフォーマンスの向上を目指していなければ、週に1~2回のランニングで十分効果があると思います」とヘルムズ博士。つまり、ハーフマラソンに向けてトレーニングをしていたり、5kmのタイムを縮めたいと考えているなら、週1〜2回では不十分かもしれない。でも、フィットネスのために気軽に取り組んでいて、ランニングを他の運動と組み合わせて楽しむのなら、ランニングは週1回〜2回が理想的。

週に2回ランニングをできるなら、ヘルムズ博士はイージーラン(ゆっくりとしたペースで走るランニング)とテンポランやインターバルトレーニングといった少し負荷の高いトレーニングを組み合わせるように勧めている。「それぞれに異なる生理学的効果があるんですよ」とヘルムズ博士。「イージーランは心肺機能の効率を高め、負荷のかかるトレーニングは心肺機能の力を向上させるので、両方を取り入れるのが理想です」

週に1〜2回のランニングは、これから走り始める人にも最適な頻度。ウォーキングとランニングを組み合わせたトレーニングや、近所を軽くジョギングするだけでも良い。新しい運動習慣を始めたければ、継続することが何よりも大切であることを覚えておこう。

週に3回

週に3回のランニングは、多くのランナーにとって、程よく充実感を感じながらも無理なく続けられる頻度。さまざまなトレーニングを組み合わせつつ、クロストレーニングやリカバリーの時間も十分確保できる。例えば、週末にロングラン、火曜日にインターバル、木曜日にテンポランを計画することで、残りの4日はリカバリーや筋力トレーニング、可動域を高めるエクササイズに充てることが可能に。

ただし、ハティラマニ氏いわく、この頻度は、5kmなどの短距離レースを目指すランナーには理想的かもしれないが、ハーフマラソンやそれ以上の長距離レースを目指すランナーには不十分かもしれない。

週に4〜5回

ハティラマニ氏のクライアントの多くはハーフマラソンやマラソンを目指すランナーで、週に4〜5回のランニングが「最大の成果をもたらす頻度」とされているよう。この頻度であれば、トレーニングにバリエーションを持たせつつ、長距離レースの準備に必要な距離を重ねることができる。一方で、クロストレーニングやリカバリーのための時間も確保できるのがポイントだとか。

週に6〜7回

もちろん毎日、あるいはほぼ毎日走ることはできるけれど、いくつかの注意点もある。

まず、週に6〜7日走ることは初心者に適していない。上級者であっても、毎日長距離や高強度のランニングをスケジュールに組むのはケガやオーバートレーニングのリスクがあるため避けるべき。

毎日走ると決めるなら、トレーニングの強度や距離に変化をつけることが重要になる。そして多くのランニングは、アクティブリカバリーのように感じるほど軽いペースで走るべき。無理することなく、自分のペースを保つために、「イージーランをするときは、鼻だけで呼吸をしてみてください」とヘルムズ博士はアドバイスしている。「これには練習が必要で、最初はウォーキングだけで始める人もいます。でも、これが常に自分のペースに正直でいられる方法なのです」

また、週に7日走ると決めても、それを永遠に続ける必要はない。「トレーニングを10日から14日間のブロックで組む人もいて、その場合、ランニングのスケジュールは必ずしも週単位で決められているわけではありません。そのため、休息日が特定の週に含まれないこともあります」とハティラマニ氏。「週という単位自体、時間を定義するために人為的に作られた概念に過ぎないのです」

週に走る日数を増やす方法

週にあと1〜2回ランニングを増やしたいと思っているなら? 無理なく頻度を上げるためのコツは以下の通り。

→走る距離はそのままに

例えば、週3回で20km走っているなら、もう1日ランニングを増やしても、週の合計走行距離は変わらず20kmのままにしておこう。この方法を1〜2週間試した後で、距離を増やすようにヘルムズ博士は勧めている。

→全体の距離は徐々に増やす

一般的な目安として、1週間の走行距離は10〜15%を超えないように増やすのがベスト。現在の走行距離が比較的少ない(例えば、週に10〜15kg程度)場合は、最大30%増やしてもおそらく安全だとヘルムズ博士は伝えている。

→「後退する週」を取り入れる

数週間ごとに、走行距離を少し減らすようにしよう。例えば、1週目に32kmから35kmに増やし、2週目に38km、3週目に43kmに増やしたら、4週目には32kmに戻してみる。「こうすることで、走り続けてはいますが、体に休息を与えることができます。休息日を一日追加したり、平均走行距離を減らすことで、これまでの持久力や有酸素能力の向上を実感することができますよ」とハティラマニ氏。

→「取り戻そうとする衝動」を抑える

よりハードなランニングスケジュールに慣れるには時間がかかることもあり、ときには予定通りに走れない日もあるはず。そんなときは、ハティラマニ氏いわく、休息日に休んだ分の距離を取り戻そうとするのはやめるべき。「大切なのは、常にこれから先のことに集中することです」

ランニングの頻度において「継続」と「完璧」を混同しないように

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パフォーマンスの向上を目指している人も、健康な体を作り怪我を予防するのが目的の人も、トレーニングを継続することは肝心。とはいえ、ヘルムズ博士とハティラマニ氏は、すべてを計画通りに走り切ることにこだわり過ぎるのはよくないと警告している。

「継続と完璧が結びついてしまっているんです。毎日計画通りにすべてをこなし、それを繰り返して、また繰り返して、みたいに」とヘルムズ博士。でも、どんなトレーニングプランも柔軟であるべきで、身体的、精神的な健康を最優先にすべき。「自分を追い込み、回復や睡眠、良質な栄養、そしてトレーニングをサポートするその他の要素を犠牲にしてまで無理に継続しようとすると、どれだけトレーニングしてもその投資に見合う結果は得られないでしょう」

「継続は、目標を達成するためのトレーニングにおいて、規律とモチベーションを養ううえで非常に重要です」とハティラマニ氏。「ですが、自分のコントロールの及ばないことが原因で継続するのが難しくなったときは、それはそれで何も問題ないのです」

※この記事はランナーズワールドの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。

Text: Jenessa Connor Translation : Yukie Kawabata

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