1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 東京大学准教授・斎藤幸平の人生最高のお買い物「高尾山の土地」

東京大学准教授・斎藤幸平の人生最高のお買い物「高尾山の土地」

  • 2025.1.4
高尾山の土地

共同購入した山で過ごすかけがえのない時間から、資本主義を変えるヒントを探る

2022年、管理されずに放置された全国の森を保全していく一般社団法人〈コモンフォレストジャパン〉の立ち上げに参画しました。その活動の第1弾として、メンバーとお金を出し合って買ったのが、高尾山の一画。高尾山には国や市が管理している土地のほかに私有地もあり、特に交通の便が悪く、観光客が行きにくいエリアは、格安で売りに出されているんです。僕らが買ったのもそういう場所。

今後はその荒れ放題になった土地をメンバーと整えつつ、自然に触れ合う機会が少ない子供たちと一緒に季節ごとに変化する生態系を勉強したり、色々な活動をしていければと思っています。そうやってお互いに学びながら、一つのものをコモン(共有財)として育て、自主管理していく経験って大人になるとほとんどないので、かなり楽しいですね。

もちろん、この土地は僕だけのものではありませんから、個人が所有するための行為としての一般的な買い物とは違います。だけど、そこでみんなと過ごす時間の豊かさって、お金に換算できないんですよ。そうやってお金を使いつつ、少しだけお金を超えていく買い物にこそ、資本主義を変えるヒントがあるんじゃないかと思います。

高尾山の土地
斎藤さんたちが購入した土地は、高尾山口駅からバスに乗り、山道を小一時間程度歩いたところにある。3.5ヘクタールで400万円程度。*写真はイメージ。photo:Masahiro Yoshimoto/Aflo

profile

東京大学准教授・斎藤幸平

斎藤幸平(東京大学准教授)

さいとう・こうへい/1987年東京都生まれ。専門は経済思想・社会思想。著書に『人新世の「資本論」』『マルクス解体』などがある。

元記事で読む
の記事をもっとみる