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音に乗せる言葉で大衆の情操を養う、私をいい意味で洗脳した鬼才

  • 2025.1.4

2019年春、コロナウイルスなんて言葉はこの世界に存在していなかった頃にあるバンドの曲の歌詞を聴いてハッとし、あれよあれよという間に好きになってしまった。
その曲はYouTubeで数億回再生され、たちまち流行歌となり一躍そのバンドをビッグネームにした。
今では世界のオーディエンスの熱狂を扇動し、日本の音楽シーンの舵をとっている存在だと言えるだろう。

◎ ◎

私は自分には甘いくせに超がつくほど完璧主義でエンタメにうるさいと思う。

おそらく、中学生の時に引きこもっている間にやることがなく、色んなエンタメを雑食的に摂取していたためだろう。無駄に目と耳が肥えてしまい、色恋ばかりの楽曲のアーティストや哲学性のないものは右から左に受け流してしまうようになった。
小手先のものじゃ満足できないわがままボディである。

そのバンドは、アートワークも楽曲も歌詞もイケていてクリエイションがとにかく素晴らしい。
全てに影響は受けているが特に私が強く影響され、新曲が出るたびに感嘆するのは歌詞だ。
作詞したご本人は「言葉にはこだわっていない」と何かの媒体で話していたが、文学的かつ抒情的で寄り添うようなワードチョイスにいつも膝を打つのだ。音に乗せて美しい言葉の羅列を耳に送り込んでいて、大衆の情操を養うとすら思う。
メロディは日本市場向けのサビありポップスを意図的に発信しているようだが、節々に70年代のロックやヒッピー文化を感じる。クラシックっぽい感じの時もある。現代に古風な音が鳴っているのが聴いていてとても楽しい。ライブには2回参加して、生で素敵な音のシャワーを浴びた。

◎ ◎

私はバンドの指揮をとっているメンバーのファンだ。彼が影響を受けたという本も読んだし映画も観たし、好きなアーティストの曲もほぼ聴いた。好きなタイプの女性芸能人を見て、「私とは全然違うタイプだな」と思ってちょっぴり落ち込んだこともあった。現実的に考えて会うことはないのだから、落ち込む必要なんてないことは重々承知だ。これが一般的なファン心理であろう。

一度、Instagramで誕生日を祝う投稿をした時に本人がいいね!をしてくれた時は飛び上がった。みんなにしていたのだろうけれど……。

今まで聴いたことのなかったクラシックも聴き始めて、「どの辺が良いと思ったのだろうか?」など1人で考えて分析する時間が楽しい。
このバンドに出会えたおかげで私の思想や価値観、ワードチョイスまでもが変わったと思う。
元々受動的で確固とした思想があるというわけでもなかったが、いい意味で洗脳されたようで政治やメディアについても自分なりに考えを巡らすようになった。同じ時代に生まれて良かった。ママに感謝。

◎ ◎

もう応援して5年が経つと思うと、アウトバーンを走行しているのかというくらいに時が過ぎるのが早い。確実に生きる原動力になっている。
これからも私はそのバンドを遠巻きに応援しながら、地道に執筆活動を頑張る。小説を書く時に必ず聴く曲があるので、それを拝聴しながら。

■ヌートリアみゆうのプロフィール
@wahaha_jinsei

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