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筋トレが女性の体にもたらす利点とは? 生理周期に合わせたエクササイズ、閉経前に始めるべき理由などを専門家が解説

  • 2025.1.3
Sport lifestyle concept with pink yellow dumbbells on pastel mint green background.

これまで筋トレにあまり興味がなかった人も、この記事を読めば、近くのダンベルに手を伸ばそうと思うかもしれない。なぜなら、アメリカと中国が実施した共同研究によれば、筋力トレーニングと女性の寿命との間に関連性があることがわかってきたのだ。

この研究では、1997年から2019年の間に収集した40万人以上のデータを分析。身体活動と死亡率(全体と心血管疾患での死亡率)の関係における性差を調べた。考慮された要因は幅広く、年齢、人種や民族、肥満度、喫煙習慣、高血圧、糖尿病、飲酒、教育、所得や貧困率、結婚状況、医療へのアクセス、自己申告による健康状態、慢性疾患などが含まれる。その結果、次のことが明らかになった。

女性は男性ほど運動が必要ではない

特筆すべき発見は、女性は男性よりも大幅に少ない運動量で同じ健康効果を得られるという点だ。男性は週300分程度の運動で死亡リスクが減少する一方、女性は140分で足りるという。また、週に2~3回筋トレをする女性は、そうでない女性より長生きする可能性が高く、心血管疾患で死亡するリスクも30%低いと示された。

筋トレは免疫をサポートし、体内の余分な水分を減らす

「女性の筋肉増強を促すのに、筋トレは非常に重要です」。こう語るのは、一般内科、高齢者医学、予防医学、公衆衛生の専門家であるクリスティアン・メンシング博士だ。 筋トレは、持久力トレーニングと同様、糖尿病、高血圧、高脂血症などの心血管リスクを減少させるとメンシングは言う。「筋トレは免疫を助け、リンパ系にも効果があり、体内の余分な水分を減少させます」

もちろん、バランスと筋力も向上する。「遅くても、40歳を過ぎると筋肉量は急速に減少し始めます。女性の場合、プロゲステロンとエストロゲンのレベルが低下する、閉経と同じ時期ですね。エストロゲンは女性の体内におけるタンパク同化ホルモンなので、エストロゲンの低下は筋肉の分解に関係します」

閉経前にトレーニングを始めよう

高齢になると、ある程度の筋力を保っていることがとても重要になる。トレーニングは若いうちから始めるのがいい。「転倒のリスクを減らすためなど、筋肉は後々、あらゆることに必要になります」とメンシングは言う。「筋肉があれば、老後、介護施設に入る必要性も少なくなります。高齢になっても、若い頃と同じように活動ができるからです」

買い物で荷物を持つためには、肩や腕の筋肉がいる。床に落ちたものを拾ったり、何かのふたを開けたりするのに、手の筋肉がいる。ベッドから起き上がるには、足や臀部の筋肉がいる。「(高齢になって)筋肉量の減少を完全には防げずとも、その前に作り上げた筋肉をある程度維持することは可能です」

閉経後など、人生の後半になってから筋肉量を増やすのは、かなりの努力を要するため、なるべく早い時期、理想的には中年期までに筋力トレを始めるのが大切だ。

筋トレは多くの病気から身を守ってくれる

メンシングいわく、長生きを望むうえで、多くの人が忘れがちなことがある。心血管系疾患以外に、寿命にさまざまな悪影響を及ぼすのは「けが」だ。転倒は骨折の最も一般的な原因だそうで、メンシングはこうも続ける。「女性のほうが頻繁に転倒します。加齢とともに筋肉量が減り、男性と比べて筋力や体の安定性が低下するためです」

加えて、女性は男性よりも骨密度がかなり低い。特に、閉経を機に著しく変化する。メンシングによると、「骨折のリスクは女性のほうが男性の3倍近く高い」という。それでも、筋トレで骨密度の減少をある程度防ぐことができる。

腰痛もまた、人生における身体活動に制限がかかるひとつの要因だ。「あまりよく知られていませんが、腰に痛みが生じたら、安静にするのではなく、運動が効果的です」

筋トレで背中の筋肉をつけることは、腰痛の緩和につながる。背中の筋肉が弱く、慢性的な背面痛があると、問題が連鎖的に発生する。「腰痛で寝たきりになると、呼吸が浅くなり、肺のすみずみまで酸素が行き届かなくなります。これは肺炎の原因になります」

筋トレは呼吸の質をも向上させると、メンシングは太鼓判を押す。

ほかの運動と組み合わせよう

かといって、筋トレ一辺倒で奇跡は起きない。寿命を延ばすには、さまざまな種類のアクティビティを楽しむのがいい。持久力トレーニングにより、体内の最大酸素摂取量を示す酸素摂取量を示す「VO2 Max」を高く維持できる。筋力トレーニングは、安定性と筋肉量の成長を助ける。瞑想やマインドフルネスエクササイズ、あるいはサウナなどのリラクゼーションは、体を癒す時間を与えてくれる。しかし1週間のスケジュールで、各アクティビティをどう取り入れたらいいのだろうか?

メンシングは、長寿医学の専門家ピーター・アッティアのメソッドに従っているという。「健康と長寿にプラスの影響をもたらすには、週3~4回の持久力トレーニングと、週2~3回程度の筋力トレーニングを(アッティアは)推奨しています」

忙しい毎日を過ごす人には非現実的なプランに聞こえるかもしれないが、「筋力トレーニングと持久力トレーニングを1回のジム通いで組み合わせる」ような工夫ができる。「例えば、まずトレッドミルで有酸素運動をして、その後フリーウェイトのエリアに向かいましょう」

瞑想やほかのリラクゼーションを、より体を動かすアクティビティの前後あるいは合間に取り入れるのも得策だ。

「ムキムキ」にはならない

African woman lifting weights

筋肉がつきすぎることを心配して、筋トレに消極的になる女性も多い。ところが実は、女性は体内のテストステロンが低いため、男性と比べて筋肉を多くつけることができない。

「(女性が)筋肉量を著しく増やすには、かなり集中的なトレーニングが必要です。高カロリーの食事や、そして卵胞期と排卵期にトレーニングを行う計画性も。そうして最大の結果を出さなければなりません」とメンシングは説明する。ボディービル大会に出場する女性は、筋肉の増量に重点を置いた厳しい食事療法に従いながら、高強度のトレーニングに取り組んでいる。一方、より一般的な筋力トレーニングでは、シェイプアップと体力強化に重点が置かれている。その結果なら、筋肉量はほどほどに収まるのが普通だ。

重要なのは正しいフォーム

筋トレに消極的な人が抱えるもうひとつの不安は「けが」だ。間違った方法で取り組むと、故障の恐れがある。メンシングによると、正しい方法で行うことは特に重要。間違うと「じん帯や腱、骨に悪影響を及ぼしかねない」という。それでは逆効果だ。一般的なルールとして、軽い負荷から始めて、正しくできるまでフォームに集中するのがいい。

「正しいフォームを身につけるため、最初はパーソナルトレーナーをつけることをお勧めします」

生理周期に合わせたトレーニングを

女性がトレーニングで考慮に入れるべき別の要素に、生理周期がある。体の調子に逆らわず、周期の流れに合わせた運動を心がけよう。

「月経期間は、腹筋に限らず(全身の)高負荷での運動も避けたほうがいいでしょう」とメンシングは語る。月経中、女性の体にはすでに子宮の収縮が起きているため、それ以上の運動は避けるべきだという。

卵胞期には、エストロゲンが分泌される。メンシングは、その間にHIITのような高強度の筋力トレーニングの実践を勧めている。一方で、タンパク同化ホルモンであるエストラジオールとテストステロンが多く分泌される排卵期は、集中的なトレーニングに理想的だ。その後、黄体期を迎え、ホルモンレベルと筋力が低下する。しかし、そこで筋トレを完全にあきらめる必要はない。「自分の体に合わせた強度で、トレーニングを行いましょう。無理をせず、自分の体ができること、したいことに耳を傾けてください」

黄体期以降は、比較的軽く、短時間のトレーニングが適切かもしれない。筋力トレーニングをヨガに置き換える人もいるだろう。生理中は、強く元気な体を保つため休憩が必要だ。そのため、もう1セットを頑張ったら、休息と充電の時間も確保しよう。

Text: Desireé Oostland Translation: Rikako Takahashi

From VOGUE.COM

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