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大人になり「あの頃誰かと一緒にいるのに寂しかった」理由がわかった

  • 2025.1.3

小さな頃から友達を作るのが苦手で、休み時間になってもよく1人で教室の隅にポツンと残っているような子どもだった。なにをするにもゆっくりで不器用な私は人のペースに合わせる事も苦手だったので、他のクラスメイトから浮いた存在。

それでも子どもなりにプライドがあったから国語の教科書を読んだり図書館の本に夢中になっているふりをして、「私は寂しくなんてありませんよ、だから誰のグループに入れてもらわなくても平気です」というオーラを出していた(つもり)。

◎ ◎

それでも本心を言えば、心のどこかでいつも寂しさを感じていた。

30〜40人も同じ空間に人がいるのに丸一日声を出さないという日もあったので、不意に話しかけられるといつも声が上ずってしまい、ますます変なヤツだ、という目線を向けられてしまう。

大人になって思い返してみれば、ただ生まれた年と住んでいる地域で区切って集められた子どもたちが好きな事や苦手な事関係なしに振り分けられた場所だからみんながみんな仲良くなれなくてもしょうがないな、と思えるものの、部活もしていなかった私にとって学校の教室が世界の全てだった。

加えて家族からも邪険に扱われていたから毎日理由もなく寂しくて孤独だった。

みんなが楽しそうに笑い合ったりおしゃべりしている中で黙って座っていると、自分の身体が透明になったような気がして「もうこのまま存在ごと消えちゃった方が楽なのにな」と想像する事もあった。

長い休み時間にはずっと図書館にこもってひたすら本を読んでいた。本の世界へ行けばとろくさくて不器用な自分でも仲間外れにされてしまうことはないし、時代も国も違う場所へ自由に飛んでいける。口数が少なくて寡黙だった分、心の声はいつでも饒舌な私にとって、本がたくさんあって静かな図書館は自分の存在すべてを守ってもらえるシェルターだった。

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家に帰っても家族団らんの場に参加させてはもらえなかったので「誰かと一緒にいるのに寂しい」という気持ちはずっと抱えたままだったものの、学年が上がるごとに数こそ少ないものの気の合う友人に恵まれて一緒に過ごすようになり、「家族といるよりも1人の方が、1人よりもこの子といた方がなんだか安心するなぁ」と感じるようになってきた。

どんなに大勢の人と同じ空間にいたとしても自分の個性を否定されたり、望んでもいない役割を無理矢理押し付けられる場所では孤独を感じてしまうのだとしっかり分かってきたのは大人になる頃だった。現にひとり暮らしをしている今の方が、寂しさを感じる事は少ない。昔と比べて自分の世界が広がった事、何より自分の気持ちに素直に行動しても否定してくる人と関わらなくなった事が大きい気がする。

友達が少ない事を恥ずかしく思う気持ちも今はなくなった。少ないからこそ不器用な私でも生まれた縁を大事にする事が出来る。

孤独を全く感じない、なんて事はまだないけれど自分の軸をしっかり決める事が出来た時に寂しさや孤独の感じ方も変わってくる気がしている。

■仲村 和華のプロフィール
本と美味しいものが大好き、カラオケの十八番は欧陽菲菲の「ラブ・イズ・オーヴァー」。曲の好みにしてはまだまだ子供舌の持ち主のアラサー。

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