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勝って泣いたキャプテンDF佐藤夢真「引退するなら、きょうだ」と臨んだ流経大柏高の大一番

  • 2025.1.3
勝って泣いたキャプテンDF佐藤夢真「引退するなら、きょうだ」と臨んだ流経大柏高の大一番
勝って泣いたキャプテンDF佐藤夢真「引退するなら、きょうだ」と臨んだ流経大柏高の大一番

Text by ライター

[第103回全国高校サッカー選手権大会3回戦、流通経済大学付属柏高(千葉県代表)2-1大津高(熊本県代表)、2日、千葉・フクダ電子アリーナ]

3回戦が2日に関東圏各地で行われ、流経大柏高は大津高に2-1で準々決勝へ進出した。

流経大柏高の主将DF佐藤夢真(えま、3年-FC多摩)はセンターバックで出場。身体を張ったディフェンスで攻撃の芽を摘み続けた。高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2024ファイナル優勝の大津高との熱戦を制した背番号5は大粒の涙を流した。

引退覚悟の大熱戦

試合終了のホイッスルと同時に涙をこぼした流経大柏高の主将は、「相手は(プレミアリーグファイナルの)チャンピオンですし、本当に負けてもおかしくなかった。自分としては『(高校サッカーを)引退するなら、きょうだ』と思っていました」と感情を爆発させるほどの死闘は壮絶なものだった。

前半36分に先制点を奪った流経大柏高だったが、後半は我慢の時間が続いた。来季J1清水エスパルス内定のMF嶋本悠大(3年-ブレイズ熊本U-15)やプレミアリーグで22試合20得点を奪ったFW山下景司(3年-ソレッソ熊本U-15)らを要する大津高の攻撃陣が牙をむいた。

前半はシュート0本に抑えた赤色の壁だったが、後半は5本打たれるなど、プレミアリーグ覇者は手強かった。

「体感したことのないスピードと強度でしたし、いままでで一番強かったです。自分たちは球際と切り替えのところを徹底してやってきて、どこのチームにも負けたことがなかった。でもそこが五分五分でした。相手に負けていたシーンもありましたし、逆に勝っていたシーンもあった。最後の方は相手に上回られていたので、きつかったです」

徐々に主導権を奪われた流経大柏高は、後半14分に失点。右コーナーキックの流れから、大津高の主将DF五嶋夏生(ごとう・なつき、3年-ブレイズ熊本U-15)がボックス内中央から放ったシュートを防げなかった。

同点に追いつかれ、ざわめいたフクアリ。千葉県代表高の雄姿を一目観ようと集まった観客の心配をよそに、ピッチ上のイレブンはすぐに修正してみせた。

勝って泣いたキャプテンDF佐藤夢真「引退するなら、きょうだ」と臨んだ流経大柏高の大一番
勝って泣いたキャプテンDF佐藤夢真「引退するなら、きょうだ」と臨んだ流経大柏高の大一番

失点後、円陣の中心にいた佐藤は「(榎本雅大監督から)『もしも失点したらみんなで集まって、落ち着いてから試合に入れ』と言われていました。正直、みんなも内心は落ち込んでいたと思うんですけど、笑いながら『この状況を楽しもう』と言ってキックオフしました」と、すぐに前を向いて勝ち越しを目指した。

劇的勝利もキャプテンが涙した理由

同点に追いつかれた流経大柏高は、二人のキャプテンを中心に流れを取り戻した。

センターバックでコンビを組む佐藤とDF奈須琉世(なす・りゅうせい、3年-柏レイソルA.A.TOR’82)はW主将として、ここまで赤の名門を支えてきた。

佐藤は「(主将が)二人というのはいままでにありませんが、奈須と俺は本当に仲がいいんです。キャプテンが二人いることで相談もしやすいですし、自分の肩の荷が下ります。

(奈須は)頼れる存在で、男らしい。(千葉県予選)決勝前の前日ミーティングでも『苦しくなったら俺を見ろ』と言っていて、そのまま有言実行の2得点を決めました。隣でプレーしていて本当に頼もしい存在ですし、かっこいいと思います」と背番号4の相棒とともに、後方から仲間をサポートし続けた。

すると後半36分に奈須がロングパスを前線に送り、攻撃のスイッチを入れた。相手DFに弾かれたこぼれ球をFW山野春太(しゅんた、3年-tfaジュニアユース)が頭でゴール前にボールを落とすと、FW粕谷(かすや)悠(ゆう、3年-AZ'86東京青梅)が右足ボレーシュートをゴール左側に突き刺して、流経大柏高が2-1と勝ち越した。

勝って泣いたキャプテンDF佐藤夢真「引退するなら、きょうだ」と臨んだ流経大柏高の大一番
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赤のイレブンは試合終了のホイッスルが鳴るまで、集中力を切らさなかった。佐藤を中心に声を出し続けたディフェンス陣は、大津高の攻撃をシャットアウト。試合はそのまま2-1で流経大柏高が熱戦を制し、上田西高(長野県代表)が待つ準々決勝へと駒を進めた。

「前線が得点を取ってくれて、『本当にありがとう』という気持ちでした。『チームに救われた』という思いで涙が出てしまいました」と背番号5は目を赤くした理由を明かした。そしてすぐさま力強い声で次戦への意気込みを口にした。

「きょう勝てば殻が3個割れるとエノさん(榎本監督)から言われていたので、流経はまた強くなったと思います。でもクールダウンしながら、『次が大事だ』、『次勝たないと意味がない』とも話していました。このような試合をした次の試合で負けているところをよく観ますが、気の緩みは絶対にありません」

勝って泣いたキャプテンDF佐藤夢真「引退するなら、きょうだ」と臨んだ流経大柏高の大一番
勝って泣いたキャプテンDF佐藤夢真「引退するなら、きょうだ」と臨んだ流経大柏高の大一番

高校サッカー引退はまだ先の話だ。佐藤は2007年度大会以来の選手権制覇に燃える赤きイレブンを、必ず国立競技場へ連れていく。

(取材・文・写真 浅野凜太郎)

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