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【2024年人気記事】松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由

  • 2025.1.2

あけましておめでとうございます。2024年は「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記事を再掲載します。こちらの記事初公開日は同年8月28日。年齢や固有名詞等は公開時のままとなります。
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お笑い界の重鎮になった松本人志

「生きるお笑い界の伝説」ことダウンタウン松本。還暦を迎えた今も大人気の冠番組を複数抱え、お笑い界で最も大きな発言権を誇る。

一方で「最近の若手でダウンタウンに憧れている人は少ない」という声も聞かれる。これは真実なのだろうか? 現役のお笑い芸人・帽子田さんはその理由を以下のように分析する。

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若手人気は千鳥、オードリー、霜降り明星ら

現在は芸能動休止中(C)日刊ゲンダイ
現在は芸能動休止中(C)日刊ゲンダイ

「誰に憧れて芸人になったの?」という質問は、芸人がよく聞かれる質問のひとつだ。初めて会う先輩との飲み会や、ちょっとしたインタビューやラジオなどでは必ずと言っていいほど聞かれる。

この前デビューからわずか数年の若手たちとご飯を食べている最中に、僕も例に漏れずに後輩たちに「誰に憧れて芸人になったの?」の質問を向けてみた。

みんな口々に憧れの先輩芸人について教えてくれた。特に多く名前が挙がったのが霜降り明星、オードリー、千鳥、バナナマン、かまいたち、ニューヨーク。「M-1」で台頭した芸人が多く「M-1の影響力ってすごいな」なんて思っていたが、ふと気付いた。「ダウンタウン」の名前が一切挙がらない。

僕がデビューした十数年前は「ダウンタウンに憧れた」という芸人もかなり多かったし、「芸人から憧れられている芸人」のイメージもいまだに強い。それなのになぜ、今の若手が「ダウンタウン」に憧れないのか。その場にいた後輩たちの意見をまとめつつ、僕なりに考えてみた。

「ダウンタウンのネタを見たことがない」

ダウンタウンの漫才は革新的だったというが…(C)日刊ゲンダイ
ダウンタウンの漫才は革新的だったというが…(C)日刊ゲンダイ

理由その1。今の若手が「ダウンタウンのネタをみたことがない」。

養成所生やでデビューから数年しか経っていない若手は20代前半の子が中心だ。テレビで見るダウンタウンは、たくさんの芸能人をMCとして回す姿やVTRを見て一言で笑いを取る姿ばかり。芸人というより、「テレビの人」というイメージが強いのだという。

なんとなく「昔すごく面白い漫才をやっていた」というイメージはあるが、「どんなネタをやっていたのか」が一切わからない。実際に若い頃のダウンタウンの漫才を見た女の子も「正直面白さが分からないんです」と首をひねっていた。

「M-1」慣れした若手には物足りない

ダウンタウンの漫才は立ち話がそのままネタになったようなスタイルで、それが革新的で面白かった。だが、今の漫才は「M-1至上主義」になっており、4分間でできるだけボケを詰め込み、アドリブより正確さが優先される、競技的な漫才が主流だ。

きっと遅めのテンポで二人のセンスや言葉を楽しむダウンタウンの漫才は、若手にはなんだか物足りなく感じてしまうのだろう。

今のダウンタウンは「ロックじゃない」

映画『大日本人』の頃はロックだった?(C)日刊ゲンダイ
映画『大日本人』の頃はロックだった?(C)日刊ゲンダイ

理由その2。今の若手がテレビやお笑いに夢中になっていた幼少期や思春期の頃、ダウンタウンはすでに押しも押されもせぬ大スターだったから。

「大スターにこそ憧れるだろう」と思った人。それは大きな間違いだ。お笑い芸人に憧れる傾向がある人間は、「大スターになる瞬間」を見た芸人に憧れるのだ。

例えば今覇権を握っているオードリーや霜降り明星、千鳥やかまいたちなどは、全てが賞レースで爪痕を残し、それをきっかけにテレビへの出演を爆発的に増やした。

そんな自分の力でスターへの切符を勝ち取る瞬間を見ることができた世代の芸人に憧れ、芸人の世界に足を踏み入れるのだろう。

そもそもお笑いは体制をからかうことを美徳とする、ロックみたいな節がある。強いものに噛みついて、「いじる」ことで笑いを取る。恐らくダウンタウンはもう体制側で、ロックな挑戦者側じゃない。若手が憧れないのもなんとなく理解できる。

カッコ悪さを感じてしまう若者も

騒動の決着はつくのか(C)日刊ゲンダイ
騒動の決着はつくのか(C)日刊ゲンダイ

あとは少数意見だが、ちょっと分かるな、と思ってしまったのが「老害感が強すぎる」という意見だ。松本さんがテレビで名も売れていない若手にはことさら強く当たってみたり、白けているイメージがあるというのだ。

松本さんからしたら売れるかも分からない石コロみたいな若手にいちいち優しくしてられないのだろうけど、若手はそんな姿をみてリスペクトの念を薄れさせてしまうのかもしれない。これはダウンタウンが大きくなりすぎた故の弊害だ。

性行為強要疑惑が振りかかったときの対応の悪さを「カッコ悪い」と思ってしまった若手もいる。松本さんは以前「週刊誌に突撃されたら、なんでも『ハイそうです』と認める。そしたらやりようないでしょ」と発言したことが引き合いに出されていた。

実際にはXで擁護の声をリポストしたり、オジサン構文香る文章で釈明したりと、スマートじゃない対応が目についた。レジェンドだったら、誠意があり、かつ粋な対応をしてほしかったが、事が事だけに難しかったのだろうか。

「松本さんは戻ってくる」という認識は同じ

とはいえ、若手も中堅もベテランも「松本さんは戻ってくる」という認識は全員一致している。若手がダウンタウンに憧れなくても、ダウンタウンのすごさは知っているからだ。

これを機にお笑い界の新陳代謝が少しだけ進むかもしれないが、あとは問題が解決し期間が経てば完全復活するだろう。なぜなら、ダウンタウンはまだお笑い界には欠かせない存在だからだ。

(帽子田/芸人、ライター)

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