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いつまでも同棲できないモンスターオタク/やましたひでことカレー沢薫のオタクの断捨離⑦

  • 2025.1.1

断捨離とは——新たに手に入りそうなものを「断ち」、家のいらないものを「捨て」、物への執着から「離れる」こと。これによって人は心まで解き放たれ、もっとご機嫌な人生を生きられるという。そんな理念のまったく反対側にいるのが、オタクだ。新しいものはどんどん欲しいし、買ったら捨てられないし、物への執着はすごくある。部屋は散らかるけれど、好きなモノに囲まれたオタク人生は最高。だが本音を言えば、「本当はモノを整理してキレイな部屋で暮らしたい」「憧れのインテリアにして人を呼びたい」といった願望もあるようで…。「オタクの断捨離」では、漫画、アクスタ、コスプレグッズ、服…などを集めるオタクの実態を観察しつつ、漫画家・カレー沢薫氏&やましたひでこ氏とともに、愛すべきオタクたちにとって快適な“断捨離”を模索していく。

※断捨離はやましたひでこ個人の登録商標です。

多くのオタクは1つのジャンルのモノを買い続ける。では、好きなジャンルがどんどん増えてしまったら、部屋はどうなってしまうのか——。

編集業に就くKさんは、音楽や漫画、キャラクターグッズなど、あらゆる方面のエンタメが大好物。そのすべてに全力を注いでいるため、好きなものが増えるたびに、とんでもなく買い物をしてしまうという。

中でも、レアなモノに弱い。たとえば、有名漫画家による打ち切りになった過去作品。いつ絶版になるかわからないから怖くて手放せず、かといって電子漫画に切り替えるのでは味気ない。それから、某地下アイドルがライブで手売りしていたCD。これは、全国流通していないから捨てられない。

マンションには部屋が2つあり、そのうちの1つはKさんが「倉庫」と呼ぶ部屋。床という床には腰のあたりまで荷物が積まれ、足の踏み場はなし。部屋の奥にはクローゼットのドアがついているが、荷物で塞がれているから「開かずの間」。「片付けなきゃ」とつねづね思っているそうだが、部屋の入り口には2つのスーツケースが門番のように構え、侵入者の行く手を阻む…。

このままではいけない、と思うのは彼氏のためでもある。なんでも、部屋が片付いたら引っ越しをして同棲をしよう、という話が出ているそうだ。

「彼は『得意不得意があるから、片付けられないのはしょうがないよね』と理解してくれますが、甘やかされるから私みたいなモンスターが生まれてしまうのかも」と語るKさん。

思い出があって捨てられない、もう手に入らないから捨てられない…。そんなモノたちをどうすれば捨てられるのか、とKさんは頭を抱える。

〈捨ててはならないのはモノではない by やましたひでこ〉 捨てられないなら、捨てないで結構! 捨てたくないなら、捨てないで良し! けれど、この室内の有様は恐ろしく無惨。 捨てたくないというのは、モノを惜しむ気持ち。 物を惜しむというのは、モノを愛で慈しむ気持ち。 残念ながら、この室内の惨状には、 愛でる気持ち、慈しむ気持ちのひとかけらもありません。 なにより、ご自分をまったく慈しんではいないよう。 こんな状態の部屋の自分を住まわせているなんて、 自分で自分をいじめているのと同じですね。 「片付かない、片付けられない」云々のレベルではなく、 まるでセルフネグレクト、まるで自作自演の虐待。 どうぞ、彼氏から愛を素直に受け取って、この有様から脱出して下さいますように。 捨ててはならないのはモノではなく、 ご自身の存在とお互いを愛する気持ちだけですから。ダ・ヴィンチWeb

好きなモノを買い集め、コレクションするのは決して悪いことではないけれど、自身を慈しみ、彼氏と通じ合う気持ちを大事にしたいのなら、モノを捨てるほかに選択肢はなし。この厳しくも温かいメッセージが、Kさんの背中を押してくれることを願うばかりだ。

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