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新年から、知って得する豆知識【おせち料理】食材に込められた意味、由来を解説!

  • 2025.1.1

弥生時代から続く「おせち」の風習

弥生時代から続く「おせち」の風習
弥生時代から続く「おせち」の風習

「おせち」を漢字にすると「御節」です。これは、「御節供(おせちく)」を省略した言葉で、節供はお正月に限らず5月5日の「端午の節句」などの節句の際に神様にお供えされていた料理でした。

おせちの起源はとても古く、弥生時代にまで遡ります。中国では季節の変わり目である節句に神様にお供え物をする習慣があり、それが稲作の伝来とともに日本に伝えられました。平安時代になると宮中行事となり、節句に儀式と宴会が行われ、「御節供」が振る舞われるようになりました。

江戸時代になると民間人にも御節供が周知されるようになり、五節句の中でもその年の最初に食べる御節供が定着するようになりました。江戸時代後期から明治時代になると、「めでたさを重ねる」という意味合いを込めて御節供をお重に入れるようになったようです。その頃は、「御節供」とも「おせち」とも呼ばれず、「食積(くいつみ)」や「蓬莱(ほうらい)」という名称が一般的でした。「おせち」の名前が定着したのは第二次世界大戦後。デパートがお重に入った華やかな商品を「おせち」として販売したことがきっかけです。

5種類の食べ物が入ってこそ「おせち」

5種類の食べ物が入ってこそ「おせち」
5種類の食べ物が入ってこそ「おせち」

おせちの定番料理はありますが、「これを入れなければいけない」「何品入っていなければいけない」というルールはありませんし、地方によって入れるものが異なります。ただ一貫して言えることは、おせちは神様にお供えする料理であり、おせちをいただくことで「無病息災でありますように」「1年を幸せに過ごせますように」といった願いが込められているところ。そのため、おせちに入っている料理には縁起を担いだ食品などが使われています。

明確なルールはありませんが、おせちは5種類の食べ物を入れるのが一般的です。それが、「祝い肴(いわいざかな)」、「口取り(くちどり)」、「焼き物」、「酢の物」、「煮物」の5種類です。

「祝い肴」とはお酒のつまみとして用意されるもの。「祝い肴三種」という言葉があり、この3種類され入っていればおせちとして合格とされています。関東の場合は、黒豆、数の子、田作り、関西では田作りの代わりにたたきごぼうになります。

「口取り」はお吸い物とともにいただく甘みのある料理のこと。代表的なものとして、伊達巻、昆布巻、栗きんとん、紅白かまぼこなどがあります。

「焼き物」はおせちのメインとなるもので、魚や肉を焼いたもの。一般的にお正月ごろに旬を迎えるブリ、縁起の良いタイやエビ、ハマグリが使われます。

「酢の物」は酢を使って和えたもの。おせちの定番として、なますや酢レンコンなどがあります。日持ちがするため、酢を使った料理を入れるようになったようです。

おせちの「煮物」と言えば「煮しめ」です。筑前煮とよく似ていますが、実は異なる料理です。煮しめは室町時代に精進料理として食べられていたもので、地域によって入れるものは異なりますが、ニンジンやレンコン、里芋などの野菜しか使いません。対して筑前煮には鶏肉が入ります。現代では筑前煮を入れることもありますが、本来おせちに入るべきは煮しめなのです。

おせちに入っている食べ物には意味がある!

おせちに入っている食べ物には意味がある!
おせちに入っている食べ物には意味がある!

ここからは、おせちの定番料理に込められた意味を紹介していきます。

【黒豆】「祝い肴三種」の1つである黒豆の黒色は邪気を払うと色とされ、黒豆を食べることで無病息災を願う意味があります。また語呂合わせから、黒豆を食べることで「まめに働けるように」という思いが込められています。

【数の子】コリコリとした食感が特徴の数の子はニシンの卵です。ニシンは漢字で両親を意味する「二親」と書くうえ、たくさんの卵が並び姿から子孫繁栄や子宝を願う食べ物とされています。

【田作り】田作りとは乾燥したカタクチイワシの幼魚を炒って、しょうゆ、みりん、砂糖などで作った甘辛いタレを絡めたもの。昔はイワシの幼魚を畑の肥料にすると豊作になると言われていた為、五穀豊穣や豊作の願いが込められています。田作りは別名「五万米(ごまめ)」と言うのも、イワシを肥料とすると豊作になることに由来しています。また、幼魚をたくさん使うため子孫繁栄の意味もあります。

【たたきごぼう】茹でたごぼうの繊維を壊すために軽く叩いてから縦に割り、ゴマや調味料とあえるたたきぼう。その作り方から、食べることで「運が開く」という意味があるそうです。また、ごぼうは地中深くまで根を張り真っ直ぐ伸びる姿から、家の安定や繁栄を意味します。さらに、ごぼうの姿が吉兆の前に現れるとされる「瑞鳥(ずいちょう)」に似ていることからも、昔より縁起の良い食べ物だとされています。

【伊達巻】魚のすり身と卵、砂糖を混ぜて焼いたもの。巻物のような見た目から知性の象徴とされ、学業成就を願っているそうです。卵を使っていることから子孫繁栄の意味や、卵が土色であることから五穀豊穣の願いも込められています。

【昆布巻】昆布巻きとは、サケやニシンなどの魚介類と野菜を昆布で巻き、調味料で煮たものです。昆布は「よろこぶ」と音が似ていることから縁起物としてされています。ニシンを巻いた昆布巻きは、両親の長寿を願う意味があります。

【栗きんとん】黄金色をした栗きんとんは、その美しい見た目から金を連想させ、金運や勝負運を願う縁起物とされています。

【紅白かまぼこ】かまぼこの半円形が日の出の姿に似ているため、運気アップを狙っておせちに入れられます。また、赤には魔除け、白には清浄の意味があります。

【ブリ】成長とともに名前が変わる「出世魚」として有名なブリ。家族の立身出世を願って使われます。

【エビ】長いヒゲや、茹でると背が曲がる姿から、長寿の象徴であるエビ。「1年健康で過ごせますように」「腰が曲がるまで長生きできますように」といった願いが込められています。また、エビの赤い色には魔除けの力があるとされています。

【紅白なます】紅白なますは、細切りにしたダイコンとニンジンを酢で味付けした料理です。水引を連想させる見た目から縁起が良い食べ物とされ、家の平和を願う意味があります。

【煮しめ】煮しめに入れる具材は地域によって異なりますが、一般的にニンジンやレンコン、ゴボウ、サトイモ、シイタケ、コンニャクなどが入ります。たくさんの種類の食材を1つの鍋に入れて調理することから、家族が仲良く暮らせることや、家が末長く繁栄することを願う料理です。また、具材は縁起物食材が選ばれており、例えば一つの芋に種芋がたくさんつく里芋は子孫繁栄を、穴が空いたレンコンは「先を見通せるように」といった意味があります。

お正月らしい食べ物の代名詞であるおせち。今年は、「この食べ物にはこんな意味があるんだよ」と家族と話しながら頂くといいかもしれません。

(水浦裕美)

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