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大きくなってもずっと一緒だよ…進路に迷う青年とイーブイとの成長を描いた“ポケモン”漫画に「エモい…」「わかる。選べないよイーブイ」の声【作者インタビュー】

  • 2025.1.1
『選べないよ、イーブイ』が話題
『選べないよ、イーブイ』が話題

【漫画】進路に迷っているのはイーブイも同じだった…青年とポケモンの青春を描いた公式漫画に「泣いた」「誰もが通る道」の声

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、「イーブイの日」(毎年11月21日)を記念し、ポケモン公式Xアカウント・ポケモン情報局にて無料公開されている、脚本:小森さじさん、漫画:涼森弐敷さんが描く『選べないよ、イーブイ』をピックアップ。

ポケモン情報局が2024年11月21日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、12万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、小森さじさんと涼森弐敷さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。

進路に迷う少年とイーブイの成長物語

『選べないよ、イーブイ』(1/16)
『選べないよ、イーブイ』(1/16)

イーブイの魅力をより広めるために公開された、全5話の公式漫画である本作。主人公は自身の進路に迷っている学生・リクとそのパートナーであるイーブイだ。

ある日、夢の中でイーブイを写真に収めようとしたリク。すると、そこにイーブイの進化形のポケモンたち8匹が現れる。驚いたところで目を覚ましたリクは、学校に遅刻するとして急いで準備をする。走って学校へ向かっていると、同級生のホシがパートナーのボーマンダに乗ってやってくる。ミックスオレを奢るとの条件で一緒に乗せてもらい学校へ。

いつの間にかボーマンダに進化しているホシのポケモンを見て、今後の事を考えなくてはと改めて思うリク。幼いころにイーブイと交わした約束に想いを馳せつつ、イーブイはいつのころからかほのおタイプに興味を持ちだしているが、自分はまだ進路について迷っている、と悩むのだった。

学校から帰宅したリクは、机に置いてあった写真集がないことに気づく。すると、ベッドわきにイーブイのしっぽが見え、何をしているのかのぞいてみると、イーブイは真剣にイーブイの進化形のポケモンが映っている写真集を眺めているのだった…。

作品を読んだ読者からは、「なにこのエモい漫画は!」「私もイーブイと暮らしたい」「今後の主人公の進路もイーブイの進化先も応援したい」など、反響の声が多く寄せられている。

脚本:小森さじさん「どんな選択でも真剣に向き合った日々がきっと大事だという思いで…」、漫画:涼森弐敷さん「読者目線で『見て分かりやすい』構成に…」

『選べないよ、イーブイ』(7/16)
『選べないよ、イーブイ』(7/16)

――『選べないよ、イーブイ』は、「イーブイの日」を記念した作品とのことですが、物語や登場人物はどういったところから生まれたのでしょうか?

小森さじ:読者の方の反応(リポスト)で結末が変わる企画のお話を頂き、考えていきました。「選ぶ」部分を委ねるマルチエンド型の試みで、全5話の限られたページ数の中で出来ることとして、「選べない」と悩むこと、自分たちと同じように暮らし、進む道に迷う高校生のリクとイーブイを描くことに注力しました。決断には触れられない以上、どんな選択でもそれまで真剣に向き合った日々がきっと大事だという思いでお話を作りました。

涼森弐敷:私は脚本を受け取る立場なので、物語や登場人物の立ち上がりについては詳しくお話しできませんが、イーブイの様々な進化先と多感な高校生の進路の悩みを掛け合わせた設定には感服しました。

――今作を制作するうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。

小森さじ:一番大事なのはイーブイなので、このイーブイはどういう性格で、どう他のイーブイと違うのか?どういったところが可愛いのか?に気を配りました。あとは全て、涼森さんがとても生き生きと愛らしく描いてくださったおかげです。

涼森弐敷:特に気をつけていたのは、脚本の意図を汲み取りつつ、読者目線で「見て分かりやすい」構成にすることです。漫画として再構築する際、読者が直感的に内容を読み取れるよう、構図やキャラクターの表情、仕草などで情報を丁寧に表現するよう心がけました。

ただ、脚本を蔑ろにすることはあってはならないので、脚本を手掛けた小森さんや関係者の方々と、きちんと意図を汲み取れているか細かく擦り合わせる時間を設けていただきました。そのおかげで、双方が納得のいく仕上がりになったと自分では思っています。

また、キャラクターデザインにも自分なりに意味を込め、将来のことをしっかり見据えているホシや、自分の仕事に誇りを持つナカは、「視界が開けている」という意味で前髪を上げていたり、髪色を明るくしたりしています。一方で、悩みや迷いで視野が狭くなっているリクは暗い髪色で前髪を垂らしているなど、主人公と導く側が対照的になるよう意識しました。

――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

小森さじ:ボーマンダのたつろうに乗って登校するシーンと、帰ってきたリクがイーブイに学校で起こったことを話すシーンです。

高校生とポケモンが共に暮らす世界観をどう分かりやすく序盤で見せられるだろう、と悩んだ箇所でもあったのですが、出来上がった原稿を拝見して、自分も素直に彼らがうらやましくなりました。

また今回、しっかり話し合いながら作れたこともあり、ぜひ涼森さんに描いていただきたいなと思って登場させたポケモンもいます。ドンカラスのどんちゃんが迷いのあるリクをにらむコマは、迫力があってお気に入りです。

涼森弐敷:気に入っているシーンはたくさんありますが、特に描いていてワクワクしたのは、第1話でリクとホシがボーマンダのたつろうに乗って登校するシーンです。飛行できる大きなポケモンに乗って移動するのは、ポケモンの世界でやりたいことの一つとして挙げる人も多いのではないでしょうか。私もその中の一人なので、このシーンを描くのは本当に楽しかったです。

また、作品全体を通して、世界観の説得力を高めるため半分、遊び心半分で、人とポケモンが普通に暮らしている様子を背景や小物で表現するのも楽しかったです。コメントでその部分に触れてくれる読者の方もいて、さらにお気に入りの演出になりました。

気に入っているセリフで言えば、第3話でリクが記者のナカにカメラを使う仕事をしたいと告げるシーンでナカが一言「いいね」という場面ですね。

ここは意図的に脚本とはニュアンスを変えていて、第一印象から明るく快活な印象のナカがここで「いいね」と一言落ち着いた返答をすることで、リクの言葉を「大人」「業界の先輩」として真摯に聞いている様子を表現しようとしました。ナカのキャラクターがとても好きなので特にお気に入りのセリフです。

――今作はイーブイにフォーカスが当たっていますが、ご自身のお気に入りのポケモンがいれば教えて下さい。

小森さじ:4歳の頃からゼニガメが好きです。

自分はサトシのゼニガメがポケモンへの入り口で、「きょだいポケモンのしま!?」、「ピカチュウのふゆやすみ」、「ミュウツーの逆襲」は台詞も演出も暗記するくらいまで見ました。大好きなだけでなく、強いキャラクターとは何か?を今でも自分に示してくれる存在です。

涼森弐敷:こちらも挙げ出したらキリがないですが、幼い頃から特に印象深いのはルギア(伝説のポケモン)とバシャーモとラティオス(伝説のポケモン)です。

保育園児の頃はどこに行くにも常にルギアのソフビを握りしめていました。ルギアのスベスベな首の曲線が幼心に刺さっていた記憶があります。

バシャーモとラティオスは初めて1人でまともにプレイした『ポケットモンスター ルビー・サファイア』で特に思い出深く、バシャーモはビジュアルのかっこよさに惚れ込んで、以降のタイトルにも連れてきては同じ個体を旅の手持ちに入れていました。バシャーモは今作の背景にもこっそり登場させています。

ラティオスはドット絵のかっこよさに衝撃を受け、大人になった今でも当時と変わらない大きな憧れを抱いています。

111ばんどうろのさばくをブラブラしている時にいきなり出てきて度肝を抜かれたのも印象深いポケモンになった一因です。

――ご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。

小森さじ:「選べないよ、イーブイ」は、個人的に初めて書く学生主人公で、挑戦したことのない試みも多く緊張しましたが、ポケモントレーナーでない登場人物たちとポケモンとの関係を考えるのはワクワクしましたし、演出等とても勉強させていただきました。

今年はPOKÉTOON「幼なじみのカルボウ」でも脚本を担当させていただき、こちらはゲーム内の体験と重なる描写や道具を意図的に組み込みながら、人間は知り得ないポケモン同士の関係を描きたい、と構想していきました。

アプローチは異なりますが、どちらも主役のポケモンを軸に置いたお話を書く機会を頂けて、素晴らしい方々とご一緒できて、とても嬉しかったです。今後も脚本を書き続けられるよう、精進せねばと思うばかりです。

涼森弐敷:本格的に漫画を描き始めて2年にも満たない私のような新人漫画描きに、なぜこのような大役を任せていただけたのか未だに不思議な思いでいるのですが、間違いなく人生の中でも指折りの貴重な経験が出来たと思っています。これからの人生どうなるか分かりませんが、この経験を存分に活かしてこれからも元気に作家活動を続けていきたい所存です!描き続けること、それが私の最大の目標です。

――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。

小森さじ:読んでくださり、誠にありがとうございました。

これからもひとつひとつの作品に持ちうる全力で向き合いながらお話を書いていけたらと思っています。

涼森弐敷:いつも応援してくださっている方々、今回の連載から知ってくださった方々、そしてこれから出会う方々の心に少しでも残るような作品を、私の趣味嗜好をたっぷり混ぜてお届けできるようこれからも精進してまいりますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします!

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