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「分からないから、決めていいよ」と全て妻に任せる夫。パートナーとの距離感やすれ違いに悩む夫婦の物語を描いた漫画5選

  • 2024.12.31

夫婦関係は、時間とともに変化していくもの。お互いに理解し合うことが求められる一方で、互いの距離やすれ違いの問題がついて回るのが現実だ。

本稿では、そんな夫婦間の悩みや心の葛藤をリアルに描いた漫画5選をご紹介。ただのエンターテインメントにとどまらず、読者が人生を見つめ直すきっかけになる貴重な作品が揃っている。もし今、パートナーとの関係に悩んでいるなら、ぜひ手に取ってみてほしい。

まとめ記事の目次

●夫と心が通わない カサンドラ症候群で笑えなくなった私が離婚するまでの話

●離婚してもいいですか? 翔子の場合

●今日から別居します 産んだら夫を嫌いになりました

●離婚まで100日のプリン

●無職の夫に捨てられました

夫と心が通わない カサンドラ症候群で笑えなくなった私が離婚するまでの話

近年、大人の発達障害に関する認識が高まっている。それにともない、発達障害のあるパートナーとの関係で困難を感じている人々の抱える孤独にも、徐々に注目が集まるようになった。

『夫と心が通わない カサンドラ症候群で笑えなくなった私が離婚するまでの話』は、発達障害特性のあるパートナーと関係を築く中で、コミュニケーションのズレや理解不足による深刻なストレスを抱えた状態「カサンドラ症候群」になってしまった妻の物語だ。

主人公・アコは、元々笑顔の絶えない、明るい人物だった。夫・ユーマとの結婚生活は、初めこそ平和そのものだったが、アコはユーマとともに暮らす中でだんだんと自分の感情が変化していくことに気づく。

夫婦生活におけるどんな場面でも、「察する」「気持ちを汲み取る」ということを一切しないユーマ。最初は小さな違和感から始まったが、それはしだいに大きくなり、ついには耐え難いものに。最終的には離婚という選択をしたアコは、「カサンドラ症候群」というものを知ったことですべてが腑に落ち、心が軽くなったという。

本書で紹介されるエピソードや、専門家からのアドバイスは、カサンドラ症候群に悩まされている人々にとって貴重な支えとなるはずだ。他者の経験談や同じような状況にある人々の声を聞くことで「自分だけが悩んでいるわけではない」と実感し、安心感を得ることができるだろう。ぜひ本書を手に取り、パートナーとより健康的な関係を築くための一歩を踏み出してほしい。

離婚してもいいですか? 翔子の場合

パートナーに「離婚してもいいですか?」と聞かれたとき、その答えは状況や自分の価値観によって大きく変わるだろう。もし愛情がもうないと感じているのであれば、「それが最善の選択かもしれない」と素直に答えるかもしれない。もし子どもが成人していない場合、子どものために別れを先延ばしにする選択も考えられる。

しかし、夫婦の一方が心の中で苦しんでいて、一方がそのことに全く気づいていないとしたら――。そんな一例を描いた『離婚してもいいですか? 翔子の場合』は、夫のことが大嫌いになってしまった妻・翔子が離婚に向けて奮闘する物語だ。

翔子の夫・淳一は、妻を支配し、精神的に追い詰めるタイプのモラハラ男。翔子は、専業主婦になることを許してくれた夫への感謝の念から、彼の批判一つひとつを受け入れ、期待に応えるべく必死の努力をしてきた。しかし、徐々にその耐えがたい状況に心が擦り減り、最終的に体調を崩して病院へ通うことに。

本書の見どころは、離婚を決意し、夫に頼らず生きていけるよう努力をする翔子の潔さである。前向きさを持って行動することで、人生は必ず良い方向に進んでいく。「自分の手で稼ぐ」と決めてフルタイムのパートを始めた翔子は、長らく失っていた自分らしさと自信をようやく取り戻すことができたのだ。

離婚は夫婦関係の終わりであるが、同時に新たなスタートでもある。お互いにとって笑顔で過ごせる未来を作り出すためには、はたしてどんな道が最適なのか――。翔子と同じような悩みを抱えている人はぜひ本書を手に取り、幸せな未来を見つけるための一歩を踏み出してほしい。

今日から別居します 産んだら夫を嫌いになりました

子どもが生まれるという大きな人生の節目にもかかわらず父親としての自覚を持てない男性は、残念ながら一定数存在する。もしその自覚が長いこと欠けたままであれば、家庭内での信頼関係が崩れ、妻や子どもに深刻な影響を及ぼす可能性も――。『今日から別居します 産んだら夫を嫌いになりました』は、そんな一例をリアルに描いた作品だ。

主人公のさくらは、夫のたくやと愛し合って結婚し、長男のゆうとが生まれて幸せの絶頂にいた。しかし、その幸福は長くは続かない。家事や育児も「手伝うことがあればやるから言って」とのらりくらりかわす夫は、結婚後も独身のときのように飲み歩き、どこまでも自分の生活を優先させていた。

一方で、さくらはワンオペで家事と育児を抱え込み、疲弊していく。意を決して夫に辛さを訴え、育児に協力してほしいと頼むも、返ってきたのは「俺がいてもあんまり変わらなくない?」という冷たい一言だった。

育児の孤独や負担に押しつぶされそうになっている中、一番信頼すべき相手から一切理解してもらえない状況はどれほどつらいものだろうか。絶望したさくらは、一度は別居の道を選ぶのだが――。

本書は、ワンオペ育児の現実と、夫婦間のコミュニケーションの難しさをみごとに浮き彫りにしている。さくらと同じような境遇で悩む女性はもちろん、子どもを持つ男性にも手に取ってほしい作品だ。家庭内のコミュニケーションや役割分担についてあらためて考える、良い機会となるだろう。

離婚まで100日のプリン

『マンガでわかる 離婚まで100日のプリン 決別or再構築、どうしよう?』は、100日間で離婚までたどり着く女性の悲喜こもごもを描いた一作。ゆるっとした可愛らしいタッチとは裏腹に、その内容のリアルさやエグさがSNSで大反響を呼んだ。

まず注目したいのが、登場人物たちのビジュアルだ。著者のきなこす先生は、フリンするプリンという語呂が気に入ってプリンを主人公に据えたと話す。主人公の甘井プリ子も、夫のプリ彦も、見た目はふるふるとした質感が愛らしいプリンそのもの。ふわふわした癒しの雰囲気がたまらない。

しかし、物語が進むにつれてその雰囲気は一転。「不倫」「略奪」「離婚」といった生々しいテーマが物語の主軸に据えられているのだ。一見するとマスコットキャラのような愛らしい外見のキャラクターたちが、徹底的に大人の世界の泥沼劇を演じるギャップが読者に衝撃を与える。

作中では、離婚までの100日間が「離婚〇日前」というカウントダウンとともに4コマスタイルで描かれていく。プリ彦からプリ子へのモラハラ、DV、そして同僚との不倫発覚――。胃がズーンと重くなるような生々しい展開が続くが、登場人物たちのビジュアルそのものが癒し効果を持つため、たとえ内容が重くとも疲れすぎることなく読み進められるのもこの作品の魅力のひとつだ。

甘くて可愛いスイーツキャラクターに癒されながらも、その背後に広がる複雑な愛憎劇に心を揺さぶられる――。そんな独特の読後感を味わいたい人にぜひ手に取ってほしい作品だ。

無職の夫に捨てられました

離婚は、必ずしも不幸の始まりとは限らない。家庭内で抱えていた不満やストレスから解放され、自分自身の人生を再構築することができた家族もいる。『無職の夫に捨てられました』は、そんな一例をリアルに描いた作品だ。

主人公は、腰痛持ちで無職の夫と小学生の息子との3人暮らし。パートと内職を掛け持ちして懸命に働くが、それでも家計は赤字続き。精神的にも追い詰められる中、主人公は家族のために奮闘するが、無職の夫は非協力的で、感情が高ぶるたびに「離婚する!」と口にし、何度も家出を繰り返す。

結婚して9年、子どもが生まれてからの8年間で、夫は3度無職を経験。そのたびに主人公は家計を支え、育児や家事を一手に引き受けてきた。そして今回、夫から聞かされる「離婚する」の言葉も、いつもの感情的な発言だろうと思っていた。しかし、どうも様子が違い、本気らしいのだ。

子どもがいる家庭での離婚は、親だけでなく子どもにも多大な影響を与える。それでも、子どもと一緒に新しい幸せを見つけるためには、親自身が健やかであることが大前提。時には問題の解決策として前向きに検討することも必要だろう。ただ現状に耐えるだけではなく、自分自身や子どもの未来に向けた選択肢を広げていくことが最善の道となることもあるはずだ。

これまで支えてきた夫に捨てられたことは、主人公にとってつらい出来事だったに違いない。そのつらさを乗り越え、息子とふたりで幸せになった主人公の姿は、同じような状況に悩む人に勇気と希望を与えてくれる。ぜひ本書を手に取り、彼女が見つけた新たな幸せの形を確かめてほしい。

夫婦の悩みや離婚を描いた、苦悩と希望が交差するリアルな人間ドラマの数々。年末年始に一気読みしてみてはいかがだろうか。

文=ネゴト / 糸野旬

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