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2024年の注目マンガを総ざらい!各マンガ賞のグランプリ&大賞を受賞した作品9選

  • 2024.12.31

2024年もまもなく終わり。様々なシーンで今年を振り返る動きが活発になる中、マンガ界では一体どんな作品が大きな話題を集めたのだろうか?

例年多くのマンガ好きから注目を集める、各出版社&メディア主催のマンガ賞では、今年も新たに台頭してきた多彩な作品がノミネート&ランクインし賞レースをにぎわせた。

本稿では、各マンガ賞で見事頂点に輝き、栄冠を手にした9作品をピックアップ! 2024年の総決算として、年末年始のお休みにぜひこれらの作品群をチェックしてみては。

<目次>

●マンガ大賞:大賞『君と宇宙を歩くために』

●次にくるマンガ大賞:コミックス部門『カグラバチ』

●次にくるマンガ大賞:Webマンガ部門『ふつうの軽音部』

●講談社漫画賞:少年部門『葬送のフリーレン』

●講談社漫画賞:少女部門『きみの横顔を見ていた』

●講談社漫画賞:総合部門『メダリスト』

●手塚治虫文化賞:マンガ大賞『プリニウス』

●全国書店員が選んだおすすめコミック2024『ホタルの嫁入り』

●出版社コミック担当が選んだおすすめコミック2024『神田ごくら町職人ばなし』

マンガ大賞 大賞『君と宇宙を歩くために』

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『君と宇宙を歩くために』(泥ノ田犬彦/講談社)

2023年に漫画家デビューをはたした泥ノ田犬彦が、初連載作としてWebマンガサイト「&Sofa」で手がける本作。連載開始直後からSNSを中心に大きな話題を呼び、大勢の読者の心を動かしたことが今回の受賞にも繋がっている。

本作の主人公は、普段から見た目や素行のあまりよくない男子高校生・小林。彼のいるクラスに、やや変わった挙動の転校生・宇野がやってきたことから物語は始まる。程度の違いはあれど、他人が当たり前に出来ることが出来ない、という生きづらさを抱える二人。だがひょんなことから縁を持ち友人となった彼らは、「わからない」がたくさんある世界を、様々な工夫や支えてくれる人々と共に生きていく。そんなあらすじとなっている。

次にくるマンガ大賞 コミックス部門『カグラバチ』

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『カグラバチ』(外薗健/集英社)

2023年9月に「週刊少年ジャンプ」で連載開始となった本作。作者・外薗健は2000年生まれ弱冠24歳というニューカマーであり、本作が初の連載作品となる。作品は掲載初日から海外を中心に爆発的な支持を集め、連載からわずか1年で名実ともに世界に誇るジャパニーズコミックとして国内外から大きな話題を集めている。

パラレルワールド風の現代・東京を舞台に、稀代の刀匠を父に持つ青年・六平千鉱が、殺された父の敵を討つべく妖刀を握る、という復讐譚が物語の大まかなあらすじだ。多彩な面で「日本らしさ」を全面に出した作品のムードもさることながら、モノクロというマンガの印刷形式を最大限生かした迫力の描写も圧巻。次世代を背負う作品にのし上がるであろう、まさに“期待作”と言える。

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次にくるマンガ大賞 Webマンガ部門『ふつうの軽音部』

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『ふつうの軽音部』(クワハリ・出内テツオ/集英社)

原作:クワハリ×作画:出内テツオのタッグによる『ふつうの軽音部』は、タイトル通り軽音部所属の女子高生たちの日常を描くコメディ作だ。

平々凡々な人柄でありながらも、バンド活動を通して「自分のやりたいこと」を叶えていく主人公・鳩野ちひろと、彼女の周囲の人々を描いた青春群像劇となる本作。作中に登場する楽曲や実在アーティストの話題が、主にSNSを通じてマンガ好きのみならず音楽好きにまで広く知られたことも、作品の人気を押し上げた理由の一つだ。同時に鳩野らが織り成す部活内の人間模様も、その普遍性から大勢の共感や懐旧の念を集めている様子。

ありふれていて、それでも確かに青くてちょっぴり痛々しい。誰しも覚えのある学生時代の日々をシュールかつユーモアなタッチで描く“身近さ”こそが、本作最大の魅力なのだろう。

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講談社漫画賞 少年部門『葬送のフリーレン』

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『葬送のフリーレン』(山田鐘人:原作、アベツカサ:作画/小学館)

今回の受賞ほか、ここ数年での様々なマンガ賞選出に加え、2023年から2024年にかけてのアニメ化でその人気はさらに加速。本作は今や子どもから高齢者まで幅広い世代に愛される作品となり、その知名度を確固たるものとしている。

魔王を倒した勇者一行のアフターストーリーから始まる本作。主人公となるエルフのフリーレンが、過去の仲間であった勇者・ヒンメルの死に際し抱えた後悔から、新たなパーティを組み「人間を知る旅」を始める、というのが物語のあらすじだ。原作マンガも「週刊少年サンデー」で引き続き絶賛連載中であることに加え、TVアニメ2期の制作決定も2024年秋に発表。フリーレン一行の旅は、まだまだこれからも続いていく。

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講談社漫画賞 少女部門『きみの横顔を見ていた』

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『きみの横顔を見ていた』(いちのへ瑠美/講談社)

これまで数々の連載作を手がけてきた漫画家・いちのへ瑠美によって描かれる本作。作者の大きな魅力でもあるやわらかなタッチで描かれる、切なくも繊細な片想いの連鎖を描いたストーリーが、女性読者を中心に大勢の支持を獲得している。

作品の始点となる主人公・光はクラスメイトの大谷が友人・麻里へ片想いしていることを知るが、それを応援する傍らで自らの大谷への想いに気づく。だが麻里は国語教師・松平へ恋心を抱いており、さらに大谷の親友・朝霧は大谷を想う光を好いていて…と、登場人物全員が片想いのもどかしい構図が本作最大の見どころだ。作品は現在諸事情で休載中だが、きっと大勢の読者がその再開を心待ちにしていることだろう。

講談社漫画賞 総合部門『メダリスト』

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『メダリスト』(つるまいかだ/講談社)

こちらも過去数年で数々のマンガ賞受賞経歴を持つ『メダリスト』。2025年初めからのアニメ放送も決定し、国民的アーティスト・米津玄師による主題歌提供が逆オファーで実現したことも直近で話題に。2025年以降はマンガ界を飛び出し、より大勢にその魅力が伝わることも期待される一作だ。

フィギュアスケートをテーマとする本作は、主人公のスケートコーチ・明浦路司と小学生選手・結束いのりの挑戦の軌跡を描く物語となる。5歳からが適齢期とされるスケートの世界で、共に遅いスタートゆえの大きなハンデを背負う二人。そんな“出遅れ組”が、それでもスケートへの執念と渇望で世界の舞台を目指す。煌びやかな競技の印象とは裏腹に、泥臭さに満ちたエネルギッシュな作品ともなっている。

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手塚治虫文化賞 マンガ大賞『プリニウス』

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『プリニウス』(ヤマザキマリ、とり・みき/新潮社)

同じく過去に手塚治虫文化賞を受賞した『テルマエ・ロマエ』で一世を風靡した作家・ヤマザキマリが、再び古代ローマを描いたことで話題を呼んだ『プリニウス』。『テルマエ・ロマエ』の執筆時から「今度はコメディではない古代ローマを描きたい」と構想を膨らませていた中で、相棒としてとり・みきの助力を借り描き始めたのが本作となる。

本作の主役は、ガイウス・プリニウス・セクンドゥスという実在人物。古代ローマ随一の知識人であり、無類の風呂好きという変わった一面を持つ博物学者だ。緻密で圧倒的な画力を以て、一度古代ローマの物語を見事描き切ったヤマザキマリ。しかしそんな彼女が「どうしても描きたかった」という男の生き様を膨大な熱量で描く、マンガ好き必読の一作だ。

全国書店員が選んだおすすめコミック2024『ホタルの嫁入り』

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『ホタルの嫁入り』(橘オレコ/小学館)

過去にドラマ化も実現した人気作『プロミス・シンデレラ』に引き続き、本作も大勢の読者から支持を得る橘オレコ。彼女の作風とも呼べる、一筋縄ではいかない刺激的な男女の恋模様に、今度もまた多くの人々が虜になっているようだ。

2023年に連載の始まった本作の主人公は、病弱な名家の長女・紗都子。ある日何者かに攫われた彼女が窮地を脱するべく、命乞いと共に殺し屋・後藤へその場凌ぎの嘘の求婚をしたことから物語は始まる。限りある命ゆえに令嬢らしくない肝の据わり方をした紗都子と、そんな彼女へ執着に近い恋慕を抱く、常軌を逸した冷酷な男・後藤。偽りで始まった結婚の約束が、互いの心境の変化で徐々に現実味を帯びる様も読み応えあるポイントだろう。

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出版社コミック担当が選んだおすすめコミック2024『神田ごくら町職人ばなし』

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『神田ごくら町職人ばなし』(坂上暁仁/リイド社)

桶職人、刀鍛冶、紺屋、畳刺し、左官…。本作は江戸時代を舞台として、当時活躍した様々な“ものづくり”に心血を注ぐ職人の仕事ぶりを描くオムニバス集となる。ここ十数年で徐々に、「子ども向けのコンテンツ」から「年齢を問わず大衆が親しむカルチャー」へと変貌してきたマンガ。その世界における職人・漫画家を裏方として支え続ける出版社陣から本作が大きな支持を得るのは、よく考えればさもあらん、といった所か。

漫画家・坂上暁仁にとって、初の連載作かつ初の単行本作ともなった本作。物語に描かれる職人の仕事に負けず劣らず、丁寧な仕事で形作られた書籍もまた読者の間で好評を博している様子。便利な電子書籍のみならず、せっかくなら“物理”でも手に取りたい一冊だ。

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ヒューマンストーリーにファンタジー、ラブロマンスから壮大な歴史モノまで、今年も様々な物語に彩られた2024年のマンガ界。

2025年は一体、どんな名作が我々読者を待っているのか。そんな来年の動向も楽しみとなる本ラインナップ、未読作があるという人はぜひチェックしてほしい。

文=曽我美なつめ

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