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「年齢はただの数字ではない」51歳の梨花が語る、年齢を重ねる上で必要なセンスと得られたもの

  • 2025.1.1

オトナミューズ2025年2月号から梨花さんのロングインタビューをお届けします。「肩の力を抜くのが本当に苦手」と長いこと言い続けてきた彼女ですが、最近は心境に変化があったようで、撮影日も終始リラックスムードでなんだか楽しそう。年齢を重ねることで見えてきた新しい景色とは? 久々にたっぷり語っていただきました。加えて、11月にローンチしたばかりの「/r laje uneglerie(ラジェンドゥリ)」についての想いも。

トータルのバランスで人を、自分を 素敵だと思えるようになってきている

リック オウエンスのジャケットと中に着たタンクトップ、リーバイス®のデニム、フィービー ファイロのシューズは全て梨花さん私物

「ここ1カ月くらいのことなんですが、人生のフェーズが、変わった気がするんです。肩の力が抜けていて。たぶん、自分が何に重きを置いているのかが、分かってきたからだと思うんです。
 
肩の力が抜けている女性って、長年の私のテーマであり、理想でした。もちろん、誰だって長い人生を考えたら全力投球過ぎるくらい全力投球しているほうがいい時期と、そうじゃなくていい時期があると思います。今まではお仕事に対して、完璧に準備するのがあたりまえで、緊張感からピリピリすることもありました。そんな自分って、素敵じゃないなと思うんです。でも今はもう、そんなに厳しく自分に向き合って、ピリピリしなくっていいじゃない、って。気負っていたものが、自然と抜けていったんです。この先、私は『なりたい自分』になっていくだけ。すぐに『自分らしさとは何か』『違和感のない自分とは』って考えてきたけれど、そういうふうに自分に向き合うのをやめたんです。もう十分。あとはなりたい自分になっていくだけでいい。無理なら無理で、もう、来世で頑張ろう、って(笑)」
 
「肩の力が抜けた」というフレーズは、誰よりも自分に厳しく、これまでなにごとにも全力で向き合ってきた梨花さんとは正直、真逆のイメージ。梨花さんが今、重きを置いているものとは?
 
「自分のなかで『モデルとしてどう在りたいか』よりも、『自分がどう在りたいか』が、増えたんだと思います。スイッチを入れてモデル・梨花の理想を追い求めるとかではもう、なくて、そのスイッチすら必要ではない……ただの自分。ただの人間として素敵になりたい。そしてね、『可愛い』とか『キレイ』とかの要素を追求するのではなく、『素敵』と感じるためにはもっと、いくつもの要素が必要だなあって感じるんです。そのとき『いくつも揃っていなければ素敵ではない』ではなくて、『素敵を作るものって、いくつもあるんだ』『たくさんあればいいな』と感じて、嬉しくなる。ひとつの側面だけではない、トータルのバランスで人を、自分を、素敵だと思えるように、なってきているんだと思います」
 
こんな大きな心境の変化は一体、何をきっかけに起きたのか。梨花さんは「ここ1カ月くらいのことだから、まだまとまりがないんだけれど」と言いながら、ていねいに説明してくれた。
 
「何かが起きたわけでは、ないんです。ただある日、『私、どんなふうに死ぬんだろう?』って考えたんです。その瞬間、何を考えているんだろう。隣に誰がいるの? 仕事は続けているのかな。苦しいの? 大丈夫? 満足してる? そう思ったら『ちょっと待って』。そのときに『ああ、楽しかったなー』って自分で思えるように、生きていきたい。人間って長くても直近の、10年くらいのできごとを色濃く覚えているものでしょう。今、日本人の平均寿命が80歳くらいだとしたら……頑張って働いたあとの、60歳とか65歳以降の意識、時間の過ごし方が、とても大事なんじゃないか、って。
 
そう考えたときに、これまではお仕事が人生の大半を占めてきたけれど、これからは日常をもっと、大切に。普段、幸せを感じることや素敵だなって思うことを大事にしていきたい。私は今51歳だけれど、この年齢だからこそできることを自分のなかで見つけていきたいんです、人として。家の中での過ごし方も、そう。身なりも、そう。何もなくても普段もメイクしたり、オンもオフも関係ない。年齢を悲観するんじゃなくて、そのときそのときの年齢ならではのよさ、みたいなものを、自分で感じられるようになりたい。これから歳を重ねていくなかでも、そういうふうに理想を持ちながら生きていければいいな、って思ったんです」

「あなたと話すと元気が出る」と 言ってもらえてすごく嬉しかった

ふと訪れた、自分のなかでの大きな変化。人生のフェーズが変わったと言えど、これまでの梨花さんと変わらない一面もある。
 
「ラジェンドゥリのお披露目を取材してくださった、私と同世代くらいの記者の方で、お子さんも多分うちと同じくらいの年齢の方がいて。多分、若干疲れているの。私はセラピストじゃないけど、ちょっと疲れてるんだろうなと思ったからうんうんって、ちょっとだけ、1つ2つ、彼女と話した。そしたらすごく喜んでくれている感じがしたんです。『救われた』じゃないけれど……。私より年上の方もインタビューに来てくださって。ある年齢まで頑張って、仕事をやめて余生を過ごすとか、でもわざわざやめるなんて言う必要もないのかな、なんて話をしていたら真顔で『絶対やめないでほしい』『あなたと話すと元気が出る』なんて言ってくださって。やっぱり、嬉しいじゃないですか。おしゃべりするの、好きだから(笑)。それで元気になるって言ってもらえるなら。そう思ってくれる人がいるなら、そういう時間がたまにあってもいいのかな、って。私が仕事をやめるということを考え出した理由は『気負わないようになりたいから』。でも、自然と気負わないで仕事ができるなら別に、やめなくてもいい。この先自分がどうできるかは自分次第なんだ、と感じています」
 
年齢を重ねたからこそたどり着いた境地。これはまさにラジェンドゥリのメッセージ「歳を重ねることでしか得られなかったもの」なのかもしれない。ところで、梨花さん自身はファーストコレクションであるスキンオイルを一体どう活用しているのだろう。
 
「私はね、シートマスクや化粧水をたっぷり塗ったあとにつけています。ビタミンA(※編集部注 レチノール。一般的には朝よりも夜に塗布することを推奨されています)が入っているけど、私は朝も使っています、メイク前に。私、メイクとスキンケアとではスキンケアのほうが圧倒的にかける時間が長いの。ビタミンはAとCとEとたくさん入れて、セラミドも3種類入れて。で、クリスマスみたいな名前の成分(※編集部注 クリスマムマリチマムエキス)は藻なんだけど、この強い成分とセラミドがブースターになるんです。オイルの質感は重ためと軽めでいうなら中間くらいの質感です。顔はもちろん、手に余ったオイルは髪や肌につけてくださいね。
 
でもね、基本的には化粧水のあとにつけているけれど、オイルをつけたあとにシートマスクをしてみたら、3時間とか5時間後も保湿力が持続しているのが分かるんです。皮膚がこう、柔らかくて。だから、化粧水やシートマスクの前に使うのもありなんです」

ラジェンドゥリは小さな場所であり希望。 なりたい自分ややりたいことが詰まってる

……楽しい。こういう美容法の話って、いつまででもしていられる。しかも他ならぬ、梨花さんとだ。確かに梨花さんの肌は今、内側から発光しているようにツヤがあり、明らかに調子がいい。
 
「そうなんです。確かに、今回の帰国でも、肌のメンテナンスにまだ1回しか行ってないかも……。いつもならもう何回かは行くんですけどね。気負わなくなったからかな(笑)。2019年から皮膚病理研究科の先生とふたりで作り始めて、すごくいいものができて、4年以上、発売もせずひとりで試作品を使い続けていただけなんです(笑)。『いつ発売するんでしょうね〜』なんて言いながら。好きで作ったものだし、手に取った人に満足してもらえる1本だと思っているけれど、でも第1のお客さんと消費者は、自分自身。こういうのがありますってお伝えできるようになったけれど、興味を持って使いたいと思った方が使ってくださればいいのかな、って」
 
ラジェンドゥリからは今後もこうして、梨花さんの本音と本気のアイテムが突然投げられてくるに違いない。
 
「ラジェンドゥリは小さな場所であり、希望でもあります。これから私がなりたい自分も、やりたいことも詰まっている。ずっとお仕事をご一緒したかったナターシャ・サウィッキ・ミードさんにクリエイティブディレクターをお願いできたこともそうだし、いつかこのオイルを海外でも発売できたらいいな、という夢もあります。ラジェンドゥリのインスタアカウントはみんなと語らえる場所になったらいいし、そのときいつもよりちょっと深い話もできるかもしれない。これからの人生でトライしてみたいことってそんなに多くはないけれど、51歳の今もなりたい自分があるんです。
 
今、自分で考えてることとか、できることとか。私自身、歳を重ねることから、得られたものとか。私は子育てが少しだけ落ち着いて自分の時間が持てていることも大きいと思うのですが、『見られるから』『人前に出るから』『仕事があるから』キレイにしなくっちゃっていうの、もうやめない? と自分自身に対して思っていることとか……なりたい自分を考えたり、共有したり。シェアしたい、とひと言で言うのは難しいんですけど、表現する場所になるといいなと思っています。

抗うことは決して悪いことではない。 ただ、それってセンスが必要なのかも

私は『年齢はただの数字ではない』と考えているんです。今は51歳、この年齢をかみ締めていたいんです。人間みんな老いていくし、いつかは死ぬ。けれど、51歳だけど、まだキレイになりたい思いがある。そのときに51を『ただの数字』として忘れてしまうと、おかしなことになってしまうんじゃないかと思うんです。『それ、いつの自分と比べてるの?』って。『そんな若い子と比べてないで、ちゃんと自分の年齢を思い出して。51歳だよ、 鏡を見て?』。できれば『51歳のわりには、頑張ってるよ』と言ってあげたいし『でも、もうちょっと頑張りたいんだ。キレイになりたいんだ』って思いたい。
 
そこに、ラジェンドゥリで発信しているメッセージ—『抗うことは消して悪いことではないと思う。ただ、それってセンスが必要なのかも』があるんです。例えばシミやシワがあったとして、美容皮膚科に行くとします。そこで消してもいいものと、消さなくていいものを見極められるかな? そのときに私は、51歳という年齢をかみ締めたい。アンチエイジング自体はぜんぜん、反対じゃないんです。でも女の子って、よくばりさんだから。私もそうだし。だからこそ、年齢はかみ締めたほうがいい。歳を重ねることでしか得られなかったものが、必ずあるはずだから」

photo:YUKI KUMAGAI hair:KOICHI NISHIMURA[VOW-VOW]
make-up:UDA[mekashi project] model:RINKA

otona MUSE 2024年2月号より

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