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2025年でメジャーデビュー10周年!Mrs. GREEN APPLEの軌跡を“映画”と共に振り返る

  • 2024.12.31

楽曲の総再生数が94億回を超える(2024年10月31日時点)など、世代を問わず人気のバンドMrs. GREEN APPLE。2015年のメジャーデビュー以来数多くのドラマ&映画主題歌、CMソングなどを手掛けており、登場人物の心情を丁寧に掬い取り、一瞬でその世界へと引き込む、まるで魔法のような音楽だと毎回話題に。

【写真を見る】Mrs. GREEN APPLE初の音楽劇となったライブツアーを映画化した『Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge in CINEMA』

【写真を見る】Mrs. GREEN APPLE初の音楽劇となったライブツアーを映画化した『Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge in CINEMA』 [c] 2024 “Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge in CINEMA” Film Partners
【写真を見る】Mrs. GREEN APPLE初の音楽劇となったライブツアーを映画化した『Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge in CINEMA』 [c] 2024 “Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge in CINEMA” Film Partners

特に2024年は、自身のライブツアーの模様を収めた映画『Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge ㏌ CINEMA』が、3日間で興収約4億9400万円、動員約14万人の大ヒットとなったほか、『サイレントラブ』『ディア・ファミリー』、そして公開中の『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』の3本の映画主題歌を担当。さらにメジャーデビュー10周年となる2025年には、ボーカルの大森元貴が映画『#真相をお話しします』(2025年4月25日公開)に出演。同作ではアイドルグループ、timeleszの菊池風磨と共にW主演を務め、演者としての才能にも注目が集まっている。本稿では、そんなMrs. GREEN APPLEの軌跡を、彼らが担当した映画主題歌と共に振り返る。

登場人物の心情に寄り添うMrs. GREEN APPLEの楽曲

Mrs. GREEN APPLEにとって初の映画主題歌となったのは、『ポエトリーエンジェル』(17)に起用された「soFt-dRink」だ。映画は、実家の梅農家で働く主人公が、声と言葉のスポーツである“詩のボクシング”と出会い、成長していく青春ストーリー。「soFt-dRink」は、青春時代の脆さや儚さを、キラキラとしたサウンドとハイトーンによって見事に表現した。

同年には、『笑う招き猫』(17)の主題歌「どこかで日は昇る」(ドラマ版ではエンディングテーマ)も手掛けた。『笑う招き猫』は、漫才コンビを組んだ女の子2人の奮闘を描いた作品。Mrs. GREEN APPLEは、ストリングスやアイリッシュを取り入れたミディアムバラードの同曲で、女性漫才コンビ“アカコとヒトミ”の人生を肯定し、2人の背中を力強く押した。

そしてMrs. GREEN APPLEの名前を世に広く知らしめたのが、『青夏 きみに恋した30日』(18)の主題歌「青と夏」だ。都会育ちの主人公の女子高生が、大自然広がる田舎で繰り広げるひと夏の青春ストーリーに、Mrs. GREEN APPLEは、田舎の自然の情景を瑞々しく表現しながら、サビでは夏の青い空に飛行機雲が流れるような爽快さがあふれる「青と夏」を提供。<主役は貴方だ><映画じゃない>と歌った歌詞に若い世代の間で共感が広がり、Mrs. GREEN APPLEを代表するヒット曲に。現在までにBillboard JAPANチャートにおけるストリーミングの累計再生回数が7億回を突破している。また、同作の挿入歌「点描の唄 (feat. 井上苑子)」も手掛け、胸を締めつけるせつない世界観が話題を呼んだ。

“フェーズ2“に入り、ミュージシャンとしてより勢いを増していく

その後「青と夏」を収録した4thアルバム「Attitude」を引っ提げ、初の台湾ライブや初のアリーナツアーを行い、2020年に“フェーズ1完結”を宣言。約2年の活動休止を経て、“フェーズ2開幕”を宣言した2022年は、Mrs. GREEN APPLEの代名詞である「ダンスホール」がリリースされたほか、『ラーゲリより愛を込めて』(22)の主題歌「Soranji」、社会現象を巻き起こした『ONE PIECE FILM RED』(22)の劇中歌「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」の作詞・作曲を大森が手掛けて、ソングライターとしての手腕を発揮した。

フェーズ1では青春のきらめきを瑞々しく歌い、若い世代を中心に人気を集めたが、フェーズ2ではその視点を全方位に拡大し、世代を超えて共感、感動できる楽曲をリリース。約4年ぶりの映画主題歌となった「Soranji」は、ノンフィクション小説を原作に、シベリアの強制収容所で過酷な日々を送る日本人捕虜を二宮和也がリアルに演じた『ラーゲリより愛を込めて』の主題歌として話題に。遠く離れた家族への愛や当たり前にあるものの大切さを、せつなくも力強い声で歌った壮大なバラードナンバーの同曲。コロナ禍を必死に生き延びた人たちの心に刺さり、大人世代からも支持を集めるきっかけとなった。

歌姫ウタ(声:名塚佳織/歌唱:Ado)をめぐる物語を描いた『ONE PIECE FILM RED』 「ONE PIECE FILM RED スタンダード・エディション」4K UHD Blu-ray 6,380円(税込)/Blu-ray 5,280円(税込)/DVD 4,180円(税込) 発売・販売:東映ビデオ
歌姫ウタ(声:名塚佳織/歌唱:Ado)をめぐる物語を描いた『ONE PIECE FILM RED』 「ONE PIECE FILM RED スタンダード・エディション」4K UHD Blu-ray 6,380円(税込)/Blu-ray 5,280円(税込)/DVD 4,180円(税込) 発売・販売:東映ビデオ

また『ONE PIECE FILM RED』の劇中歌「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」は、歌い手であるAdoのなかでも五指に入るヒット曲となり、Mrs. GREEN APPLEによるセルフカバーもBillboard JAPANチャートにおけるストリーミングの累計再生回数が1億回を超えるヒットとなった。

その後「ケセラセラ」が第65回日本レコード大賞にて大賞を受賞、第74回NHK紅白歌合戦に初出場を果たすなどで国民的アーティストの仲間入りを果たした2023年を経て、2024年はさらに映画との親和性が高い活動で人気を拡大していく。

映画を観る人の心に響く!“物語性”が伝わる主題歌たち

声を捨てた青年と視力を失った音大生のせつない恋模様を描く『サイレントラブ』 『サイレントラブ』Blu-rayコレクターズ・エディション 7,150円(税込)/DVDコレクターズ・エディション6,050円(税込)/DVDスタンダード・エディション 4,290円(税込) 発売・販売:ギャガ [c]2024「サイレントラブ」製作委員会
声を捨てた青年と視力を失った音大生のせつない恋模様を描く『サイレントラブ』 『サイレントラブ』Blu-rayコレクターズ・エディション 7,150円(税込)/DVDコレクターズ・エディション6,050円(税込)/DVDスタンダード・エディション 4,290円(税込) 発売・販売:ギャガ [c]2024「サイレントラブ」製作委員会

まず話題を集めたのは『サイレントラブ』の主題歌「ナハトムジーク」だ。声を捨てた青年と、不慮の事故で光を失ったピアニスト志望の音大生が、静かに愛を紡いでいくラブストーリーである『サイレントラブ』。「ナハトムジーク」は、主人公2人がお互いを確かめ合いながら会話をなしていくような構成と、楽曲後半の大森によるエモーショナルなボーカルが秀逸。不器用な2人の恋模様を壮大に歌い上げて感動を呼んだ。

娘のために人工心臓の開発に挑んだ家族の物語『ディア・ファミリー』 『ディア・ファミリー』Blu-ray 豪華版 8,250 円(税込)/DVD 通常版 4,400 円(税込) 発売元:株式会社 WOWOW 販売元:東宝株式会社[c]2024「ディア・ファミリー」製作委員会
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また、世界で17万人の命を救った医療技術の誕生にまつわる実話を映画化した『ディア・ファミリー』の主題歌「Dear」では、オーケストレーションされた壮大なサウンドと重厚なコーラスで聴く者の胸を揺さぶった。主人公に寄り添いながら、険しい苦難を乗り越えた先に、希望を指し示してくれるような楽曲だ。

立川で暮らすイエスとブッダの生活を描く中村光の同名漫画を実写映画化した『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』 [c]中村光/講談社 [c]2024映画「聖☆おにいさん」製作委員会
立川で暮らすイエスとブッダの生活を描く中村光の同名漫画を実写映画化した『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』 [c]中村光/講談社 [c]2024映画「聖☆おにいさん」製作委員会

そして、『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』の主題歌「ビターバカンス」も好評。20世紀末に起きたアルマゲドンを回避したブッダとイエスが、日本でバカンスを満喫する異色のコメディ。その主題歌である「ビターバカンス」は、仕事や恋にタフな毎日を送る現代人に向けたメッセージ性あふれる楽曲。メンバーがユーモアたっぷりに歌って踊って演技をする、ミュージックビデオも話題を集めている。

情景が浮かび、登場人物に寄り添った歌詞が聴く者に訴えかけてくるMrs. GREEN APPLEの音楽は、物語との親和性が高く、映画やドラマなど映像作品と合わさることでより輝きを放つ。9月に公開された『Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge ㏌ CINEMA』は、ミュージカル手法を取り入れた物語形式のライブを映像化したもので、ボーカルの大森らがストーリーを演じながら楽曲を披露しており、Mrs. GREEN APPLEがいかに“物語性”を重要視しているかがわかるだろう。

ファンクラブ会員限定ツアー「Mrs. GREEN APPLE 2023-2024 FC TOUR “The White Lounge”」では大ヒットナンバーをはじめ数々の楽曲のアレンジバージョンが披露された [c]「Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge in CINEMA」製作委員会 撮影:田中聖太郎写真事務所 / 金谷龍之介 / 古溪一道 / 高田梓
ファンクラブ会員限定ツアー「Mrs. GREEN APPLE 2023-2024 FC TOUR “The White Lounge”」では大ヒットナンバーをはじめ数々の楽曲のアレンジバージョンが披露された [c]「Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge in CINEMA」製作委員会 撮影:田中聖太郎写真事務所 / 金谷龍之介 / 古溪一道 / 高田梓

2025年は、デビュー10周年を記念したベストアルバム「10」のリリースをはじめ、2日間で10万人を動員するバンド史上最大規模のライブの開催、さらに初のドキュメンタリー映画の製作などが発表されている。これから彼らがどんな映画と出会い、どんな楽曲を生みだすのか、今後の“Mrs. GREEN APPLE meets 物語”に期待したい。

文/榑林史章

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