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「アイドルになりたい」秋元康プロデュースでデビュー。「Rain Tree」加藤柊が夢をかなえるまで

  • 2024.12.31

仕事は、専門知識やスキルを含む「努力」と、誰とチームを組み何の仕事をするかという「運」の掛け算でキャリア決まります。「努力×運」の最高峰の職業といえば、アイドルではないでしょうか。オーディション番組では、デビューに向かい、ダンスや歌、パフォーマンスの努力を続ける人々が描かれ、その姿に胸を熱くする人も多いです。では、実際のアイドルはどのように「努力×運」を掴んでいるのか。プロデューサー・秋元康さんが総合プロデュースを手掛ける、『Rain Tree』の加藤柊さんにインタビュー。彼女はデビューと同時に、超難関国立大学を現役で合格した異色の経歴の持ち主です。

「努力で叶わないことはない」と思って

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――2025年1月にデビューする17人のアイドルグループ『Rain Tree』。『AKB48』グループや『乃木坂46』など『坂道シリーズ』のプロデューサーであり、大ヒットメーカーとして知られる秋元康さんの総合プロデュースとしても注目を集めています。今、加藤柊さんは、難関国立大学在学中の1年生。そもそもなぜ、アイドルになろうと思ったのですか?幼い頃から、何かに挑戦することが好きでした。最初に挑戦しようと思ったのは、小学校3年生の時の漢字検定。当時から、読書が好きで漢字を自然に覚えていきました。そのうちに、自分の漢字の能力のレベルがどの程度か気になるようになったのです。受けるなら難しい方がいいと思い、8級(3年生修了相当)。合格した時に、高みを目指すには努力が必要であること、そして合格した時の喜びを知ったのです。――漢字検定が、アイドルという高い目標につながる発端だったのですね。はい。でも漢検は勉強だから、努力すれば乗り越えられます。もっと目に見えない評価に対する挑戦を続けることの意味は、小学校2年生から続けている、ダンスで学びました。最初はできなくても、少しずつ練習すれば体が動くようになり、仲間たちとチームを組み、練習をする。それを発表すれば、多くの人の心を動かすことができることを知ったのです。いずれ、人の心を動かし、勇気づける仕事がしたいと思っていました。でもまさか、自分がアイドルになれるとは、全く思っていませんでした。その可能性すらないと思っていたのです。

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――「アイドルになれる」と思ったのはいつなのでしょうか?高校時代なのですが、それに至るまでにも、長い経緯があります。そもそも、私は北海道で生まれ育っており、アイドルとは「東京に住んでいる、遠い世界の人」という思い込みが強かったのです。最初に接したアイドルは、母がファンだった『嵐』の皆さんの北海道公演です。東京から来たキラキラ輝く方々が、想像もできないほど楽しく美しいパフォーマンスをして、何万人もの人々を夢中にさせるという一体感を体験しました。私もその強いカリスマに魅了されて、大ファンになりました。次に魅了されたのは、日韓合同のオーディション番組『Nizi Project Season 1』(2020年)です。この番組でアイドルグループ・NiziUの皆さんがデビューしました。努力に次ぐ努力を重ねて、自分を極限まで追い込んでいく姿に、励まされました。またこの番組は、アイドルは「東京に住んでいる、遠い世界の人」だけれど、「そこに至るまで努力を繰り返した人がアイドルとして成長していく」ということを知ったのです。番組では、メンバーの皆さんがものすごい努力を重ねており、「努力で叶わないことはない」と勇気づけられました。当時の私の目の前には高校受験があったのですが、どうせ行くなら、最高レベルの学校にしようと難関高校を目指し、猛勉強を続け、合格。苦手教科・数学を克服できたのはNiziUの皆さんの存在が大きいです。高校は、自由な校風で、友達もメイクをしている人が多く、私も見よう見まねでメイクして登校したところ、友人が「アイドルみたいだね」と言ってくれたんです。その時に、「私もアイドルになれるかもしれない」と「遠い世界」と「現実世界」がつながったのです。

受験とアイドルレッスンの両立

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――友人の何気ない一言で、人生は変わる。加藤さんは、目標が決まるとすぐに行動する性格だと感じました。始めるなら1秒でも早いほうがいい、迷っている時間がもったいないと思うタイプなんです。だから、高校1年生時代から、北海道で開催されるアイドルのオーディションは片っ端から応募しました。それと同時に、小学校から続けているダンスの練習に本腰を入れ、高校でもダンス部に入部。部の発表会のプロデュースなども行い、観客の皆さんと一体になるダンスは、どのようなダンスかを考え、実践するようになりました。これで、私の強みであるダンスのテクニックを磨きつつ、オーディションを受ける。どの努力が実り、高校2年生の、2023年3月に、『IDOL3.0 PROJECT』の北海道選抜になりました。最終選考に残れば、東京でのレッスンや合宿を経て、デビューのチャンスがつかめます。これを両親に相談すると、「まずは大学受験に合格してから」と当然、あまりいい顔をしません。デビューの機会は一生に1度だと思った私は、受験までの模試の日程と、レッスンやオーディションのスケジュールを紙に書き、「ここまでの日程で、模試のB判定を出し、以降はそれを維持する」と宣言しました。私は大学進学で東京に出たかったので、志望校は東京の大学ばかり。経済状況を考えても、国公立以外は絶対に進学できません。そこから猛勉強と猛レッスンを両立させました。スケジュール的にも、親の負担を考慮しても、予備校や塾には行けませんので、独学を決意。平日は勉強漬けになり、土日は東京に行きレッスンをするという日々が始まったのです。――大学受験とアイドルデビューの挑戦の両立。加藤さんの高校3年生の日々は、壮絶ですね。今思うと、よくあんなことができたと思います。でも「これを逃したら、もうチャンスはない」という切実な思いに動かされたんでしょうね。最も努力したのは、高校3年生、2023年の夏に参加した5泊6日の合宿です。ここでデビューできるかどうかが決まる大切なイベントで、受験勉強をひとまず忘れて、参加しました。合宿場所には、全国から信じられないくらいかわいく、ダンスも歌も上手な女性が集まっていて、圧倒されました。ここで、チームに分かれて課題曲を仕上げるのです。寝る間も惜しむように努力を続け、発表したのですが私のチームは4位。デビューは掴めませんでしたが、“FINALIST(ファイナリスト)”として残していただくことが決まりました。参考書は持って行きましたが、開く間もなく地元に帰り、模擬試験会場に直行。6日間、勉強から離れていたので、この時の結果はE判定。これで勉強もアスリート的に続けなければいけないのだと痛感し、受験まで全力疾走することに決めたのです。――加藤さんが「勉強アスリート」になっている間、同じ合宿で参加していたメンバーは、2023年10月に『WHITE SCORPION』として、アイドルデビューします。国公立ですから、6教科8科目の過去問題を解き続け、弱点を克服し、気づけば床で寝ている毎日でした。その努力も実り、第一志望の難関国立大学に前期日程で合格。それと同時に、『Rain Tree』としてデビューも決まったのです。今は、大学に通いながら、日々の配信やレッスンを行っています。アイドルと大学生活の両立の秘訣は、早めに予定を立ててしまうこと。大学は年間スケジュールで動いているので、4月の時点で事務所の方に「ここはテスト期間で稼働できません」「ここは行事です」と動かせない予定をお伝えし、配慮いただいているので、学業と仕事の両立ができていると、感謝しています。大学では持続可能な社会についての学びを深めています。私たちを見た人が元気になれるようなパフォーマンスを目指して、今日も楽しみながら、努力を続けます。加藤さんが所属するアイドルグループ『Rain Tree』。デビュー予定の2025年は、元日からラジオの特別番組『Rain Treeの「Re」』(文化放送)でパーソナリティを務め、過酷と言われる八ヶ岳連峰最高峰・赤岳(2899m)を登頂するドキュメンタリー番組(CSファミリー劇場)の放送も予定されています。勉強アスリート・加藤さんの姿を想像しながら、それらを見ると、きっと元気がもらえるはずです。

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加藤柊 プロフィール

かとうしゅう/2005年7月13日生まれ。北海道出身。2024年から大学生とアイドルとしての活動をスタート。『Rain Tree』として、2025年1月29日に1st デジタルシングル『I L U』(アイ エル ユー)でデビュー。文/前川亜紀、加藤さんソロカット撮影/魵澤和之(まきうらオフィス)、集合カット撮影/大橋友樹

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