「最近、イライラして職場の同僚や家族に八つ当たりをしてしまう」「以前のように穏やかな自分に戻りたい」。イライラの主な原因や、イライラを鎮める方法を薬剤師が紹介します。
イライラする主な原因
イライラの主な原因として考えられるのは、以下の3つです。
人間関係
人間関係の悩みでイライラしてしまう人は、多いのではないでしょうか。とくに、職場では気の合わない人とも付き合わなければならないため、毎日顔を見るだけで嫌な気持ちになり、相手の言動にイライラしてしまうこともあるでしょう。
また、家族との関係でイライラをためる人もいます。自分は忙しく仕事や家事をしているのに、家族が何も手伝ってくれないとイライラするでしょう。身近な存在だからこそ、自分の気持ちを理解してもらえなかったときの落ち込みも大きくなるものです。
睡眠不足
人間は、睡眠中に頭の中で情報やストレスを整理しています。そのため、睡眠時間が不足すると蓄積したストレスが処理できず、些細なことでもイライラするようになってしまいます。
さらに、睡眠不足は集中力の低下や体重増加などのデメリットを引き起こします。睡眠時間はできるだけ確保しましょう。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが乱れると、イライラすることがあります。生理前のイライラも、ホルモンバランスの乱れによる影響が大きいです。
また、更年期に入ると「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの生成に関わるエストロゲンの分泌量が減少します。その結果、セロトニンが不足して感情のコントロールができず、イライラしてしまうこともあります。
イライラを鎮める方法
イライラした気持ちを鎮めるためには、以下の3つの方法がおすすめです。
原因から離れる
イライラの原因が明確にわかっている場合は、その原因から離れてみましょう。職場の同僚にイライラするのなら異動願いを出したり、家族にイライラするのなら話し合ったりすることも大切です。
原因から離れて自由な時間を作り、その時間で趣味を楽しむこともおすすめ。気持ちをリフレッシュさせれば、今までイライラしていたことも気にならなくなるかもしれません。
人に悩みを打ち明ける
誰かに悩みを打ち明けてイライラを解消するのもおすすめです。話すことで、自分では思いつかない解決策を教えてもらえることもあるでしょう。また、話すだけでも自分の気持ちが整理されて、イライラが解消されることもあります。
誰にも言えない悩みを持っているときは、SNSに投稿したりノートに書いたりするのもいいでしょう。自分の頭を整理して、イライラを鎮めましょう。
適度な運動と十分な睡眠
適度な運動と十分な睡眠をとることで、イライラが解消することもあります。
運動でイライラを解消したい場合、酸素を取り込みながら行う有酸素運動が望ましいといわれています。ウォーキングや軽いランニング、サイクリングでイライラを鎮めましょう。
1日20分程度を目安に、軽く汗ばむ程度の運動をしてください。1日にたくさん運動をするよりも、継続する方が効果的ですよ。
必要な睡眠時間には個人差がありますが、7時間程度確保するのが望ましいとされています。また、睡眠時間の確保だけではなく睡眠の質を向上させることも大切。
寝る2~3時間前にぬるめのお風呂に入ったり寝具を肌触りのいいものに変えたりして、ぐっすり眠りましょう。
イライラを鎮めるために漢方薬も!
イライラを鎮めるためには、からだの内側から心身のバランスを整える漢方薬の服用もおすすめです。
更年期世代のイライラ対策には「女性ホルモンのバランスを整える」「自律神経のバランスを整える」といった漢方薬が用いられます。漢方薬は更年期障害の標準治療のひとつで、実際に婦人科でも処方されていますよ。
更年期のイライラ対策におすすめの漢方薬
・加味逍遙散(かみしょうようさん):疲れやすく、肩がこる方におすすめ。女性ホルモンの乱れを整えて、イライラや不眠を改善します。
・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ):胃腸が弱い方におすすめ。自律神経のバランスを整えて、更年期のイライラや不眠、怒りっぽさを改善します。
このような漢方薬を服用することで、自分でもコントロールできないイライラした気持ちが改善するかもしれません。
漢方薬は、自分の体質に合うものを選ばないと思わぬ副作用が出てしまうこともあります。ぜひ薬剤師に相談を。
教えてくれたのは
●山形ゆかりさん。薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。
病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入る。症状・体質に合ったパーソナルな漢方で、症状緩和と根本改善を目指す。