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「地雷を踏んだ時の感覚はない」片足を失った内戦地帯の兵士が語るミャンマー軍への思い

  • 2024.12.31
【写真・画像】「地雷を踏んだ時の感覚はない」片足を失った内戦地帯の兵士が語るミャンマー軍への思い 1枚目
ABEMA TIMES

敵対するミャンマー軍が仕掛けた地雷を踏み、片足を失ったミャンマー少数民族の兵士。義足で戦地に立ち続ける彼に、ミャンマー軍への思いを尋ねると、返ってきたのは意外な答えだった。

【映像】地雷を踏んだ兵士の義足の足

12月28日、東野幸治とあのちゃんがMCを務める新番組『国境デスロード』#4が、ABEMAにて放送された。『国境デスロード』は、世界各国にある国境を命がけで越える人々の生活に密着する、ドキュメントバラエティ。本番組の企画・総合演出を手がけるのは、『不夜城はなぜ回る』(TBS系)で知られる、大前プジョルジョ健太ディレクター(以下、プジョルジョD)。プジョルジョDが各国の国境地帯に赴き、なぜ人々は危険を冒しながらも国境を越えなければいけないのか、その真実に体当たりで迫る番組だ。

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今回スポットを当てたのは、ミャンマーと自称・カレン国の間に存在する、国際的には認められていない“見えない国境”。ミャンマーの主要な少数民族・カレン族は、1948 年に独立を宣言し、ミャンマーの一部地域をカレン国として占領した。ミャンマー軍とカレン民族軍による抗争は70年以上続いており、近年には1ヶ月で290回の戦闘が発生し、300人以上の兵士が命を落としたこともあるという。激化する内戦の最前線を、プジョルジョDが取材した。

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ミャンマー軍の基地まで2キロという最前線で、カレン民族軍の兵士約40人が戦闘を繰り広げている、ハオトゥレイ小隊基地。ここでの取材でプジョルジョDは、カレン民族軍の厳しい現状を目の当たりにする。兵士たちが整備していたのは、約70年前の銃だったのだ。正式な国ではないカレン国の軍事費は、大半が寄付によってまかなわれており、兵士たちは無給。密着取材に応じてくれた、カレン民族軍の兵士・ドームさん(29歳)は「カレン兵士は革命のために集まっている。だから給料なんてない」と語った。

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軍事費が少ないため、銃の練習場も存在しない。「その辺の木を打って練習する」のだという。多くの兵士が驚くほど簡単な練習で戦場へ向かうため、武器の操作ミスで亡くなることも少なくない。また、満足な治療を受けられず、怪我や病気で命を落とすケースもあるそうだ。戦没者が眠る墓地を訪れると、ある兵士は自分の銃が暴発したことにより死亡。また、何らかの病気でこの世を去った18歳の兵士や、インフルエンザで死亡した兵士の墓もあった。

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そして、この墓地を案内してくれたのが、冒頭で触れた義足の兵士だった。「1年前、地雷を踏みました。ミャンマー軍が仕掛けた地雷です。地雷を踏んだ時は感覚がなかった。その後病院で足を切断したんだけど、激痛でした」。片足だけでなく、命を奪われていた可能性もある。しかし、壮絶な怪我をするきっかけをつくったミャンマー軍の兵士に「怒りはない」という。「彼らも任務で攻撃をしているわけですし、僕の怪我も任務の中で起きたことなので」と淡々と語った。

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そんな彼が義足で戦い続けるのは、なぜなのか。「ミャンマーに憎しみはありませんが、誰であろうと攻めてきた者は全員殺す。これが私の任務だからです。国のためになりたいんだ」。カレン族の小学校を取材した際も、多くの子どもたちが「国のためになりたい」と話していたが、彼もまた深い愛国心に突き動かされ、戦場へ向かい続けていたのだった。

なお、ドームさんによると、ミャンマー軍の軍事費はカレン民族軍の10倍。兵士の数も圧倒的な差があり、カレン民族軍はミャンマー軍の5分の1だという。これらの数字だけを見れば、カレン民族軍が不利な状況に置かれているのは明らかだ。しかし、ドームさんは「カレン軍はミャンマー軍との戦いにたくさん勝っている」と証言し、カレン民族軍が優勢と伝える報道もある。一体、なぜなのか。その理由についてドームさんは「ミャンマー軍は徴兵制で集まった兵。戦いをやらされている。僕たちは志願して、命をかけて国のために戦っている」と誇らしげに話していた。

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