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正月休みに一気見しよう! 台湾で社会現象にもなった超人気ドラマ3選

  • 2024.12.31
© 2019 HBO Asia. © 2019 Taiwan Public Television Service Foundation. All rights reserved
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【写真】ドラマ『華燈初上 -夜を生きる女たち-』より。美輪明宏と似ていると話題になったドラァグクイーンを演じるウー・カンレン

かつての「台湾ドラマ」といえば、日本の少女マンガなどを原作としたラブコメディや、人気アイドルグループのメンバーが出演するアイドルドラマが中心だった。

しかし最近では、社会派のテーマを扱った物語や、巧妙な脚本で視聴者を引き込むサスペンスなど、海外の賞を受賞するような台湾発の名作ドラマが次々と誕生している。

本記事では、2020年頃にアジアで大ヒットした台湾ドラマ3作品を見どころとあわせて紹介する。Netflixなどの動画配信サイトで字幕付きで視聴できるので、気になるものからぜひチェックしてみてほしい。

社会派ドラマの火付け役! 「悪との距離」

いまでこそ ”社会派ドラマ” と呼ばれる映像作品が急増した台湾だが、そのブームに火をつけたのは、2019年に制作された「悪との距離(原題:我們與惡的距離)」だった。

映画館で起きた無差別殺人事件を描く全10話の物語では、事件で息子を亡くした夫婦と、犯人の妹と家族、事件の真相を解明しようとする弁護人、さらに大衆を取り巻くメディアなど、同じ事件が異なる視点で描かれる。視聴者に ”悪とはなにか” を問い、世間から ”悪” とされるものが、私たちと決して無関係のものではないことを突きつける、メッセージ性に富んだドラマだ。

本作は台湾版エミー賞とも呼ばれる「金鐘奨」で6部門を受賞し、見応えのある傑作ドラマとして評価された。本作に出演した俳優たちは、その後もドラマや映画で引っ張りだこだ。特に注目すべきは、加害者の弁護をする弁護士を演じた吳慷仁(ウー・カンレン)だろう。これまでも恋愛ドラマなどによく出演していた吳慷仁だが、この役では卓越した演技力で視聴者の心を掴んだ。

またドラマの制作過程では、裁判官、弁護士、医者、統合失調症関係の団体など、実際の当事者たちに長い時間をかけてインタビューを行うなど、熱心なフィールドワークが重ねられたことも話題となった。本編は全10話だが、11話目としてこうしたメイキングが収録されているのだ。本編の延長上で視聴者にリアルな現場の声を届けたことも、エンタメ作品としての新しい挑戦だったと言えるだろう。

2023年にはシーズン2の制作も発表されており、これからますます話題になることは間違いない。観る人の心が揺さぶられる社会派ドラマの超名作。本作を観れば、昨今の台湾ドラマがいかに進化しているのかも目の当たりにできるはずだ。

配信情報:FOD(見放題)、U-NEXT(見放題)ほか

愛憎渦巻く、女性たちの世界を描く「華燈初上 -夜を生きる女たち-」

続いては、2021年にNetflixで独占配信された本格的なサスペンスドラマ「華燈初上 -夜を生きる女たち-」。舞台は1980年代の台北の歓楽街。当時、日本人のビジネスマン向けに営業されていた日系ナイトクラブ「光(ヒカリ)」を舞台に、店で働く女性たちの複雑な感情が交錯する日々を描く。嫉妬、友情、裏切り、恋愛で、想いが揺れ動く中で、彼女たちは深刻な事件に巻き込まれていくーー。

林心如(ルビー・リン)、楊謹華(シェリル・ヤン)、張軒睿(デレク・チャン)、徐若瑄(ビビアン・スー)、吳慷仁(ウー・カンレン)など、台湾の人気俳優たちが総出演しているのはもちろん、短い登場シーンの端役にも錚々たる顔ぶれが並んでいる。

また本作で注目されたのは、1988年に実在していた “路地文化” を再現するため、数千万台湾ドルをかけて制作されたという豪華なセットだ。美しい衣装や小物、レトロなインテリアなど、日本人が見てもノスタルジーを感じる要素が散りばめられており、その華やかな世界観にきっと引き込まれるだろう。

ドラマの内容とは関係ないが、この作品のヒットをきっかけに、台湾で多くの人たちがスマホの待ち受け画面を美輪明宏にするという現象が起きた。本作に登場するドラァグクイーンが美輪明宏に似ていることから始まった社会現象だったが、こうして視聴者たちがドラマ以外の場所でヒットを後押しし、SNSを通じて話題を広げていったことも ”今っぽさ” を感じる。

配信情報:Netflix(見放題)

超高視聴率を記録したラブミステリー「時をかける愛」

最後に紹介するのは、2018年に台湾で公開された恋愛ドラマ「時をかける愛(原題:想見你)」だ。ロマンスとタイムトラベルが巧みに絡み合った緻密な脚本で、それまでの台湾の恋愛ドラマのイメージを覆した。

舞台は2019年の台北。IT企業でビジネスウーマンとして働く雨萱には、大切な恋人の詮勝がいたが、彼は2年前の飛行機事故で行方不明になっていた。彼のことを想いながら日々を過ごす雨萱だったが、とあるきっかけで、詮勝、そして自分にそっくりな少女の写真を見つける。

彼らのことを調べようとするも、古すぎてなかなか手がかりは掴めない。その後、長距離バスの中で、雨萱は、写真で見たのとそっくりな人物の夢を見る。それは1998年の台南。歴史を紐解いていく雨萱は、思いがけず過去にタイムスリップするーー。

このドラマが面白いのは、登場人物がただ単純にタイムリープするのではなく、それぞれの時代や都市でそれぞれに生きていた人に憑依するかたちで歴史を塗り替えていく点だ。雨萱を演じた柯佳嬿(アリス・クー)と、詮勝を演じた許光漢(グレッグ・ハン)は、2019年に生きる主人公と、21年前に生きていた別の人物を作品の中で演じ分けており、その見事な演技力で視聴者を驚かせた。

2つの時代、さらに異なる都市が複雑に交錯しているため、ドラマを鑑賞しながら推理や謎解きをしたくなるようなギミックもふんだんに盛り込まれている。点と点が繋がっていく快感、そして考察の面白さも相まって、熱烈なファンがみるみる増えていった。

物語の中では音楽も重要な鍵を握っており、主題歌の「想見你想見你想見你」が大ヒットしたのはもちろんのこと、ドラマの重要な鍵として登場する往年のヒットソング「LAST DANCE」も、復刻版のカセットが発売されるなど、若者たちから再注目された。

本作がヒットした5年後の2023年には、続編となる映画『劇場版 時をかける愛』が公開され、さらに2024年には韓国リメイク版が制作されるなど、いまでも話題に事欠かない名作ドラマ。韓国版は「いつかの君に」というタイトルで、現在 Netflixで配信されているので、こちらも必見だ。

配信情報:プライムビデオ(見放題)、U-NEXT(見放題)ほか

文/田中 伶

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