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【2024年人気記事】なぜ塚地武雅、藤井隆はドラマ出演が続く? オファーがない芸人との決定的な違い

  • 2024.12.31

2024年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記事を再掲載します。こちらの記事初公開日は同年7月18日。年齢や固有名詞等は公開時のままとなります。
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芸人役者、オファーが続くのはひと握り

いくつかの俳優賞にも輝いている(C)日刊ゲンダイ
いくつかの俳優賞にも輝いている(C)日刊ゲンダイ

7月に入り、2024年夏の新ドラマが次々にスタートしています。なかでも話題になっているのが、宮藤官九郎脚本の『新宿野戦病院』(フジテレビ系)ではないでしょうか。この作品で好演を見せているのが、ドランクドラゴンの塚地武雅さん。

しかしこの塚地さん、気がつけばドラマで毎クールのように見ていると思いませんか? 今年の上半期だけでも、『季節のない街』(テレビ東京系/ディズニー+で配信)、『花咲舞が黙っていない』(日本テレビ系)、NHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』などの作品でその姿を見ています。

また、『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)には藤井隆さんが出演していますね。

昨今、役者としても活動をする芸人が増えてきました。しかし、結局ドラマで頻繁に見るのは同じ芸人ばかりです。

塚地さんの他によく見るのは、先述の藤井隆さん。そしてハナコの岡部大さん、元キングオブコメディの今野浩喜さん、東京03の角田晃広さん、ネプチューンの原田泰造さんなどでしょうか。

芸人側の意向もあるでしょうが、その後もオファーが続く人と続かない人がいます。その違いはどこにあるのでしょうか。複数のドラマ関係者にその理由を聞いてみました。

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キャラ立ちしながらも邪魔しない存在感

「キャラがありながら、インパクトがありすぎないことですかね」と語るのは、テレビドラマ等の制作会社に勤めるAさんです。プロデューサーや演出家らが中心になって行うキャスティングの現場にも立ち会うことがあるといいます。

「芸人さんは本人の個性が視聴者に浸透しているため、ドラマ中で特別な描写をせずとも立ち位置が伝わりやすいんです。さらにドラマの世界観にハマるような個性が望ましい。つまり、キャラ立ちしながらも日常に潜んでいそうな印象の方が重宝されます」

確かに、ハナコの岡部さんは学校や会社の後輩にいそうな熱血キャラであり、藤井隆さんはなんでも相談できる優しい同僚、東京03の角田さんは、朝の電車に一人は乗っていそうなサラリーマンのような雰囲気があります。

「どこかにいそうであっても、金髪だとか見た目に癖のある芸人さんだと演じる役割も限られてしまう。その場合は『これぞ!』という役でないと起用が難しいですね」

ドラマの空気になじむかが鍵

また、地上波の連続ドラマを執筆する脚本家のBさんは、過去の経験からこう言います。

「一般的にコントを主戦場とする芸人さんは演技がうまいと言われていますが、全員がそうではありません。コントは、ある程度の演技の誇張がある方が伝わりやすく、特徴ある喋り方や棒演技でも笑いの内容が伝われば良しとされますからね」

以前、自身の作品に芸人が起用され期待したところ、演技力が低くガッカリしたことがあるそう。大御所でない限り、脚本家に強いキャスティング権はないそうですが、Bさんは今後自分のドラマで芸人が候補に挙がった場合、本職での立ち回りを見た上で助言したいそうです。

オファーが続く芸人はそもそものコントの演技が自然か、あるいは「リアルなドラマ演技」と「デフォルメされたコント演技」との切り替えが巧みな人ということなのでしょう。

爪痕を残そうとせず謙虚に演じる

チャラいだけじゃない(C)日刊ゲンダイ
チャラいだけじゃない(C)日刊ゲンダイ

また、前出の制作会社勤務のAさんはこうも言います。

「『本職は芸人』という矜持があるからなのかもしれませんが、役者としても成功している芸人さんは、ドラマの中ではいい意味で謙虚に自分の役割を演じきっているように見えます。変に幅を見せようとせず、キャラを作品の中に溶け込ませるのがうまいんです。

その中でもオリエンタルラジオの藤森さんはチャラいキャラの印象はありつつも、シリアスにもコミカルにも演じ分けることができ、その違和感がないのがいいですよね」

戦場であるバラエティは、笑いのスキルを見せたり、目立って爪痕を残すことが良しとされていますが、ドラマや映画ではその逆で、監督の思い描く通りに演技することが求められています。

オファーが続く人は作品や現場の空気感を読むことが本職の俳優さん並みにうまい、そして安定した演技の信頼感を制作者側に与えている人なのでしょう。

問題を起こさないことが最も重要

Aさんはさらに続けます。

「忘れてはならないのが、脛に傷を持っていないか、ですね。もしかすると一番重要な点かもしれません」

塚地さん、藤井さん、今野さん、原田さんなど、芸人として活躍する役者さんのほとんどが品行方正なイメージがあります。コンプライアンスが厳しい昨今、一人のキャストが薬物、暴行や交通違反などで問題を起こせば、作品そのものがお蔵入りすることもあります。

2019年のNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』で、重要な役柄として起用されていた徳井義実さんは、撮影後に発覚した所得の申告漏れによって活動自粛に追い込まれました。その結果、出演シーンは大幅にカット。大河ドラマとしては異例のお断りのテロップが冒頭に放映されるほどの対応に追われました。

また、次長課長の河本準一さんは、生活保護不正受給が騒がれる2012年までは『タイガー&ドラゴン』(TBS系)などで好演を見せるなど、コンスタントに映画やドラマに起用されていたものの、それ以後は数えるほどしか出演をしていません。

「俳優として起用されたことで身辺に気を付けるようになった芸人さんもいるかもしれません」と最後にBさんは言います。

他にも、スケジュールの入れやすさという観点から生放送のレギュラーを持っていないこと、そして話題性、知名度などもポイントになるといいます。

お笑い好き兼ドラマ好きの人にとっては、それだけでドラマを見るきっかけになります。今後も芸人役者の起用が増えていくことでしょう。

(小政りょう/ライター)

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