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「実年齢」よりも大切なのは「主観年齢」。数字に縛られず、自分がどう感じるかを軸に生きていくということ

  • 2024.12.30
Street Style - Paris Fashion Week - Haute Couture Fall Winter 2022 2023 : Day One

先日、母と一緒に夕食を摂っていたときのこと。“魂の年齢”の話題になった。「私は何歳だと思う?」。母の実年齢はもちろん把握しているが、彼女が言っているのは暦年齢のことではなく、もっと内面的なことについてだ。しばらく考えてみた。「12歳」。母もそう思っているらしく、示し合わせたかのように2人同時に答えた。

母が12歳でないことは言うまでもないが、彼女のことを思うとき、どうもこの年齢がしっくりくる。抽象的な表現なくしてはうまく説明できないが、彼女の本質というか、一種の根幹となるあり方というか、“真の彼女”がその年齢で形成されたかのようが気がするのだ。

「あなたは、気持ちは何歳?」と今度は聞かれた。私の答えは、彼女のものよりも少し複雑だ。「11、17、あと42歳かな」。まだなってもいない年齢を含め、バラバラな歳を3つもあげたが、そのどれもが、自分が思う自分の年齢だ。

“魂の年齢”や“気持ちの年齢”、“主観年齢”という考え方はナンセンスに聞こえるかもしれないが、ほとんどの人に主観年齢を尋ねると、たいてい何かしらの答えが返ってくる。そして星座のように、その答えはいくつになっても変わらないことが多い。私の妻は、実は心は「昔ロッカーだった70歳の男性」であると同時に「エネルギー有り余る10代の少女」でもあるというのが私たちの共通認識だ。彼女の核となる内面の年齢も性別も、実際の外見とは相反する。同僚のヘイリーに気持ちはいくつか尋ねてみると、彼女はためらうことなく「72歳」と即答したが、熟考した後「6カ月」とも付け加えた。また別の友人は「13歳から19歳の間。だから、社会人であることをこんなにも不公平に思っている」と返ってきた。

人は似たような主観年齢の人に引き寄せられる

Street Style - Day 4 - Copenhagen Fashion Week AW24

私たちは皆一様に歳をとり、時の流れを感じる。まだ心は子どもだとしても。だが、自分の実年齢と違い、自分が感じる主観的な年齢は、心身に目に見えるような影響を及ぼさないと思うだろう。しかし、実のところ、それほど単純明快なことではない。

実際に多くの研究が、自分が感じる年齢が肉体に影響をもたらすと示唆している。2018年に韓国で行われた研究によると、自分の年齢よりも若いと感じている人たちの方が、脳の灰白質の密度が高い傾向にあり、加齢による変化が少ないとのこと。逆に実年齢よりも老けていると答えた人は、入院や抑うつ症状、睡眠障害を発症するリスクが高まるという研究結果がある。実年齢よりも年上であると同時に年下でもあると感じている人たちにとって、この結果が何を意味するのかはまだわかっていないが、興味深いことに変わりはない。

私は科学者ではないし、「周りを見ると、なんとなくそう感じるから」ということ以外に根拠があるわけでもない。そんな私の持論になるが、人は似たような主観年齢の人に引き寄せられる傾向があるように思う。仲のいい友人2人は、30代なのに、気持ちは10代だと感じることがたまにあると言う。たしかに2人と一緒にいると、まるで放課後にあてもなくブラブラしているような感覚になるときがあるし、私も心のどこかでは10代のままだから、彼らといると居心地がいい。だが、友人のエミリーに言わせてみると、これは多くのミレニアル世代が家を買ったり子どもを持ったりする余裕がないために、ある種の幼児化を経験しているからだ。「用もなくちょっと出かけたり、テレビゲームをしたりと、私たちの世代は、幸せな気持ちにさせてくれる小さなことをより大切にしている」のだと。

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エミリーの言っていることはわかるし、もちろん同感だ。しかし、社会情勢だけが私たちの主観年齢や気持ちの年齢を形成しているわけではなく、ある意味では生まれつきのもの、少なくとも早い段階から備わっているものだとも思う。例えば、生まれたときからどこか達観していて、赤ん坊だったことがどうも想像できない人がいる。私の妻がその1人で、彼女の赤ちゃん時代の写真を見ると、居心地が悪そうだ。ヘレン・ミレンも、個人的には若い頃が想像できない。一方で、レオナルド・ディカプリオのように、いつまでも若者のような人もいる。今年50歳になったレオナルドだが、気持ちは何歳かと尋ねたら、「50歳」とは答えないだろう。

もちろん、最終的に年齢などというものは、あくまでも人生の経験値やライフステージ、身体的な健康状態を示す大まかな指標であることを除けば、ほとんど意味を持たない。実際の数字よりも、人生をどう生きるかの方がずっと重要だ。だから、これからは誰かの年齢を知りたいときは、「何歳ですか?」ではなく「気持ちは何歳ですか?」と聞くことにしようと思う。

Text: Daisy Jones Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.CO.UK

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