【台湾BL】あまあま溺愛から社会派まで多様性重視の台湾ではBLドラマも百花繚乱！ 人気作品ジャンル別まとめ

【写真】ドラマ「正負之間～Plus & Minus」より。愛を確信し見つめ合う主役の二人

今、世界で注目されるアジアBLドラマの中で、台湾BLドラマの魅力は「癒し」と、その優しい雰囲気から醸される「純愛感」にある。今回はそんな台湾BL作品を「王道胸キュン」「切ない系ラブ」「挑戦作」の3ジャンルからご紹介。皆さんの好みや気分に合った作品を探してみてはどうだろうか？

王道の胸キュンBL

脳が甘い食べ物を欲するように、心は甘いストーリーで癒されたい！ それを叶えてくれるのが台湾の「王道の胸キュンBL」だ。かつて日本の少女漫画原作のドラマでアジアを一世風靡した台湾ドラマにとって「純愛×ときめき」は得意中の得意。視聴後は、きっと多幸感に包まれているはず。

・爽やか青春ラブ

「HIStory2 越界～君にアタック！」

学園 / 青春 / 部活 / メガネ男子 / 義兄弟 / 後輩×先輩

台湾BLの金字塔「HIStory」シリーズの1作で、高校の部活を舞台にした作品。

運動神経を見込まれバレーボール部に勧誘された転校生のユーハオ（フェンディ・ファン演）。一度は入部を断るも、部長のツーシュアン（ザック・ルー演）のアタックの美しさに見とれ……ユーハオは怪我で選手の道を絶たれたツーシュアンの代わりにコートに立つことを決意する。

二人だけの猛特訓で芽生える恋心、爽やかでまっすぐな愛、そして思いが通じた喜びを爆発させたキスシーンは最大の見どころ！ またサブカップルの血の繋がらない兄弟の切ない恋模様も印象的。

・スパダリの不器用な溺愛

「You Are Mine」

スーツ / スパダリ / 俺様 / 社長 / 秘書 / 上司×部下 / あまあま / 溺愛

2023年に始動した「VBL」シリーズの1作。

気難しい社長・夏商舟（シア・シャンジョウ / マオ・チーション演）の元に配属された新米秘書の堯舜宇（ヤオ・シュンユー / シャオ・ホン演）。最初はモタモタした舜宇を鬱陶しく思っていた商舟だが、社長としての自分ではなく、夏商舟という人間のために一生懸命仕事をする舜宇の姿にだんだんときめくようになり……。

早い段階で相手への想いを確信する商舟だが、愛し方がわからず空回り。そんな商舟の不器用な溺愛ムーブは見ているだけで赤面ものだ。さらに糖度アップの番外編までぜひ楽しみたい。

愛の切なさを味わう切ない系BL

切ない系BLの醍醐味は障壁にぶつかり、そしてその障壁を乗り越えた瞬間だろう。運命に翻弄され結ばれそうで結ばれない、そんな二人が壁を乗り越えた先に最高の癒しが待っている。

・交わるはずがなかった二人の出会い

「奇蹟」

優等生 / マフィア / 再会 / 同居 / 切ない・泣ける

台湾で「一番ドラマ化して欲しいBL小説」に輝いた原作小説を映像化。医学を志す優等生と裏社会に生きる青年という交わるはずがなかった二人の物語だ。

ある日、高校生のバイ・ゾンイー（白宗易 / タロ・リン演）は、路上で倒れていたファン・ジョールイ（范哲睿 / カイ・シュー演）を助けたところ、なりゆきで同居することに。共同生活の中で惹かれ合う二人は思いを確認し合うのだが、ある事件に巻き込まれ、ゾンイーはジョールイの罪をかぶり刑務所に入ることになるのだ。そして出所したゾンイーを待っていたのは、事件で負った怪我が原因で記憶を失ったというジョールイだった。

二人に襲いかかる数々の困難の裏には「相手のために自分を犠牲にすることなど厭わないという」という思いがあり、真相を知るたびに胸をギュっと掴まれたような切なさがある。結ばれないまま終わるんじゃないかとヒヤヒヤしてしまうが……誰が敵で味方かわからないなか、ラストのどんでん返しは必見だ。

・20年来の両片思い

「正負之間～Plus & Minus」

スーツ / 弁護士 / 同級生 / 親友 / 幼なじみ / 両片思い / 同居

離婚弁護士のチェン・ゾーショウ(鄭則守 / マックス・リン演)とフー・リーゴン(傳理躬 / ハオ・シー演)は、幼い頃からずっと一緒。職場も同じ現在は同居もして、まるで兄弟のような存在だ。

視聴者から見ると、二人が互いに思い合っているのは明らかなのに、一歩踏み出せないのは思いを告げることで、今の関係が壊れることを恐れているためである。その理由に親友としてあまりにも長く過ごしてきたことに加え、二人が離婚弁護士として多くの愛の終わりを見てきたという背景に強い説得力がある。

想い自体が障壁となるとは切なさの極みではないだろうか。サブカップルは「美貌のバーテンダーとバツイチのパパ」。同性婚が法制化された台湾ならではのストーリー展開にも注目したい。

新たな刺激の挑戦作

多様性重視の台湾社会を映すように、BL作品も多様化している。そんななかでの挑戦作は、ドキッとさせられる刺激や、ハッとさせられるテーマも多数。作品を通して新たな気づきを得られるだろう。

・SFの永遠のテーマへの挑戦

「AntiReset」

SF / 大学教授 / AI / ロボット / 健気 / 同居

「VBL」シリーズの1作で、人間とAI搭載ロボットとの恋を描く。何事にも無関心な大学教授・褚一平（チュー・イーピン / ウー・ピンチェン演）はケガをきっかけに、叔父の会社が開発しているAIロボット・恒9（ホンジウ / ホアン・リーフォン演）に身の回りの世話をさせることに。

人間そっくりな恒9に対し、当初は探究心から人間の生活を体験させてきた一平だったが、共に過ごす時間が増えるうちに恒9への気持ちに変化が起き、また恒9も褚一平と一緒にいたいと “願う” ようになる。

AI の“願い”は本物の感情と言っていいのか。そして老いていく人間と、歳をとることがないロボットが人生を共にすることは可能なのか……SF作品の永遠のテーマに対し導き出された答えにはハッとさせられるだろう。

・愛してるの声が見える

「看見愛（カンジエンアイ）〜See Your Love」

御曹司 / マフィア / 同居 /身長差 / 体格差

耳が聞こえない介護士と、愛を渇望する御曹司によるピュアラブストーリー。

大企業の御曹司である楊子翔（ヤン･ズーシアン / ライデン・リン演）は暗殺者に狙われて負傷し、偶然出会った介護士の姜紹朋（ジアン・シャオポン / ジン・ユン演）に身の回りの世話を依頼する。当初は耳が聞こえない姜紹朋を利用するつもりだったが、楊子翔を一人の人間として尊重する姜紹朋に触れるうちに、次第に姜紹朋に心を開いていき……

二人のコミュニケーションは基本的に手話、ジェスチャー、目線で行われる。二人の間に漂う温かな空気はぜひ本編で感じていただきたい。本作における話し言葉を用いらない演技はキャストたちにとっても挑戦だったはず。挑戦の成功はよく練られた脚本と、真摯に取り組んだキャストらの賜物だろう。

また本作では主役CPは配信前から主役CPの身長差が話題に！ 190cmの姜紹朋と178cmの楊子翔には12cm差の身長差がある。劇中では身長差CPならではのキスシーンや、高身長な二人が狭いクローゼットに閉じ込められるシーンなどドキドキする場面も多数。サブカップルである「有能秘書×チンピラ青年」の恋の火花も要チェックだ。

今後も台湾では、台湾初の納棺師を主人公にしたBLドラマ「獨佔接班人」、日本の漫画『イッて終わりなわけがない！』を原作とした「秘密關係」などすでに複数の作品の制作や配信が発表されている。

今、世界が注目する台湾BLは量も内容の多様さもまさに百花繚乱。あなたの心に響く一作をぜひ楽しんでほしい。

文／沢井メグ