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【里芋の栄養】イモ類の中ではダイエット向き!?里芋あるある「切ったら赤い」「ゴリッとかたい」の原因とは…栄養士ライターが解説

  • 2024.12.30

お正月料理に欠かせない「里芋」を解説

お祝い料理には欠かせない「里芋」

お正月料理のお煮しめや雑煮をはじめ、芋煮、筑前煮、粕汁、けんちん汁など、冬の食卓に引っぱりだこの「里芋」。山で採れる山芋に対して、村(里)で栽培されることから里芋の名が付いたとか。里芋は親芋から子芋、孫芋と増えていくことから子孫繁栄を願う縁起物として全国各地で古くから愛されてきました。そんな、お祝いの定番食材である里芋の栄養にスポットをあてたいと思います。

主成分は「でんぷん」なのに意外とダイエット向き!?

里芋の主成分はでんぷんですが、粒子が小さいため消化されやすい特徴があります。また、イモ類の中では水分が約80%と多く、糖質や炭水化物が少なめで意外と低エネルギー。しかも、糖質をエネルギーに変換するビタミンB1や代謝を助けるミネラルのモリブデンが含まれ、食物繊維も豊富です。特有の“ぬめり”にも食物繊維のガラクタンやグルコマンナンなどが含まれています。ガラクタンは中性脂肪を減らして動脈硬化を防ぐ働きが注目されている成分で、人間の消化酵素では分解できないため脂肪になりにくい利点もあります。

ぬめり成分がバリアとなり味が染み込みにくいデメリットも

▲里芋に含まれるシュウ酸カルシウムによって、下処理の際に手が痒くなることも。酢水で手を濡らすと痒みがやわらぎます。

里芋の“ぬめり”は皮をむくと現れます。ぬめりを残したまま煮込むと調味料が中心まで染み込みにくだけでなく、煮汁ににごりや粘りが出てしまいます。煮物料理など味をしっかりと染み込ませたいときは、ぬめりを取り除く下処理が必要です。下記のポイントをおさえて、ぬめり取りをしましょう。

●里芋の外皮を水で洗ってから皮を包丁でむこうとすると、ぬめりで手が滑って扱いにくくなります。外皮の泥をタワシなどで洗い流し、水気をふき、しばらく放置して乾かしてから皮をむくと、扱いやすくなります。

●皮をむいた里芋に塩をふってもみ、ぬめりを洗い流してから、たっぷりの水からゆでる。ぶくぶくと泡が出てきたら冷水に取り、流水でぬめりを洗い落とします。あくまでも下ゆでなので里芋に火を通しすぎないようにしましょう。

里芋あるある!「切ったら中が赤い」「ゴリッとした食感」

里芋の皮をむいたり、カットしたら中に赤い斑点が!というハズレな里芋にあたったことはありませんか。これは、ポリフェノールの一種であるアントシアニンの酸化によるもの。食べても問題ありませんが、収穫後に時間が経ちすぎた場合に現れやすく、風味が落ちている可能性大。早めに使い切るようにしましょう。

また、ちゃんと煮込んだはずなのにゴリゴリとした食感の里芋は「水晶症」と呼ばれる生理障害によるもの。子芋が大きくなる過程で孫芋にでんぷんを取られてしまい、かたい食感になってしまうと考えられています。薄めにスライスして味噌汁や粕汁の具に使うと食感が気になりにくいですよ。

まとめ

里芋の外皮の泥は鮮度を保つ天然のバリア機能もあるので、購入する際は泥つきのものを選ぶのがおすすめ。寒さが苦手なので湿気がこもらないよう新聞紙で包み、日の当たらない風通しの良い場所で常温保存しましょう。ぬめり取りが少し手間に感じるかも知れませんが、家族の健康と幸せを願いながらお正月料理に取り入れていただけたら嬉しいです。

※参考文献、杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、名取貴光監修『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店,2016、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009

(野村ゆき)

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