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アイドルの夢を追い、悩みを乗り越える少女の話に「ロックの愛に溢れた作品」「今の社会で頑張っている人に見てほしい」の声【作者インタビュー】

  • 2024.12.30
『インポータンス・オヴ・ビーイング・アイドル』より 画像提供/羊かわいいねさん
『インポータンス・オヴ・ビーイング・アイドル』より 画像提供/羊かわいいねさん

【漫画】夢を追う途中、頑張る中で疲れてしまった少女の話 「支えてくれる人が身近にいることの喜び」と話題に

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、『インポータンス・オヴ・ビーイング・アイドル』を紹介する。作者の羊かわいいねさんが、12月4日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、6000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、羊かわいいねさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

家庭問題の中で見出した、アイドルという夢を追う話

『インポータンス・オヴ・ビーイング・アイドル』より 画像提供/羊かわいいねさん
『インポータンス・オヴ・ビーイング・アイドル』より 画像提供/羊かわいいねさん

働けなくなってしまった父親と、それを責め立てる母親の言い合いを見ながら、小学生のれなはテレビに映るアイドルの姿に憧れを抱く。テレビの中のアイドルたちに、れなはその目を輝かせるのだった。

翌日、小学校で友人のかほ、るかを半ば強引に誘い、アイドル活動をはじめるれな。さまざまな創意工夫を重ねてチャレンジし、SNSや動画サイトにもアップロードしてみるものの、中学生に入ってもバズることはできずにいた。

アイドルになるのは夢のまた夢と思っていたところに、かほとるかの家にドラムセットとベースが、リードギターを自分用に購入したれなによって届く。楽器や作曲なども全員でチャレンジするのだと語るれなに、アイドルではなくガールズバンドでは?という疑問を抱きつつ、かほとるかも練習を重ねる。

そして高校生になったころ、3人のグループがバズりはじめる。はじめてのライブやテレビ出演も果たして躍進する3人だったが、れなはグループのためにできることを追い求め1人追い詰められていき…。

この夢と青春を描いた漫画を読んだ人たちからは、「支えてくれる人が身近にいることの喜び」「ロックの愛に溢れた作品であった」「コレが言えてよかったね」「今の社会で頑張っている人に見てほしい」など、多くのコメントが寄せられている。

心を病んでいる人に届けたい思いもつづられた漫画

『インポータンス・オヴ・ビーイング・アイドル』より 画像提供/羊かわいいねさん
『インポータンス・オヴ・ビーイング・アイドル』より 画像提供/羊かわいいねさん

――『インポータンス・オヴ・ビーイング・アイドル』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

Oasisというバンドの「The Importance of Being Idle」という曲を聴いている時、アイドル(idol)がidle(怠ける/休んでる)してたら面白いなあというダジャレで思い付きました。最初は主人公が心の病になった時点で物語を終わらせようと思ったんですけど、「importance」要素がなかったので、今の形になりました。

――本作では、主人公が再びメンバーとともにステージに立つシーンが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。

最後のライブで主人公のれなが皆に思いをぶつけるシーンに言いたいことが詰まっています。なので是非このシーンに注目していただければと思います。あと各所にUKロック(というかOasis)のネタがあるのでそういうのが好きな人は探してみても良いかもしれません。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

るかが「れなに死んでほしくないっていう、私のワガママ…」というシーンと、れなが「だから、ムリせず…休んでください!」というシーンがお気に入りかなあと思います。前者では、「他者の自死を止めるのはその人のエゴではないか」ということ、後者では「せわしい現代社会において、皆もっと休んでほしい」と私の思っていることを表現している為です。あと両シーンともキャラクターを可愛く描けた気がします。

――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?

最近…というかOasisが再結成してからは普段聴いている曲のタイトルや歌詞から得ることが多いです。そこから敷衍して、伝えたいメッセージとの兼ね合いでストーリーを作っています(例:She’s electric→刺激的な女性に振り回される男の子の話)。他にもYouTubeでゆっくりやずんだもんの解説動画などを見て、そこから得た知識をきっかけにストーリーを考えることもあります。最近は歴史や心理学など、多くのジャンルで解説動画があるので非常に勉強になります。あと何かしてる時の考え事や不調時の希死念慮から思いつく時もありますね。

――今後の展望や目標をお教えください。

商業連載して単行本を出すのが夢です。絵が下手なので難しいかもしれませんが…。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

体感ですが、私の漫画の読者は希死念慮を抱いている人が多いんじゃないかと思います。そんな時に私の漫画を読んで更に辛くなったり、あまつさえもっと死にたくなったりしてしまったらすみません。ですが、死にたい時は親類や知人、フォロワーや精神科、福祉など、頼れるものは何でも頼ってください。幸いなことに日本の社会は相互扶助の理念に基づいていて、皆保険制度を採用しており、さらに自立支援制度を使えば私たちの負担金額は1割だけになります。また多くの機関で「自殺は衝動的なものであり、その欲求は一時的なものである」と述べられています(私はそうは感じませんが、高名な機関が述べているのならばそうなのかもしれませんね)。なんとか今日を耐えて、生き延びてください。頓服薬と睡眠薬を飲んで、寝てください。その希死念慮は薄まるかもしれないし、薄まらないかもしれません。これは呪いですが、私はあなたに生きてほしいです。死にたいあなたにしか作れないものがあると私は確信しています。エッセイや小説、漫画や動画など作品を作ってみてください。抑うつで動けないよって人は、表題の漫画通り休んでください。生活保護の受給だってしても良いんです。1年休んだら動けるようになるかもしれません。そしたら一緒に作品を作りましょう。創作することでしか味わえない、人生の楽しさというものがありますよ。あとついでにOasisを聴いてください。おすすめは「Whatever」と「Don’t Look Back In Anger」です。この2曲を聴いて良いなとなったら、2ndアルバムを聴いてください。ベストアルバムでも良いです。その後改めて1st〜3rdとThe Masterplan(B面のベストアルバム)を聴いたら4th〜7thを聴いて、Noel Gallagher's High Flying BirdsとLiam Gallagherを聴いてください。

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