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年末年始に観たい、家族愛に心がじんわりする映画3選

  • 2024.12.30

『フェイブルマンズ』©2022 Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.
 
 
年末年始は家族揃ってにぎやかに過ごすという人も多いでしょう。あるいは、夫婦だけで、または一人でのんびりと年を越す人もいるかもしれません。いずれにしても、家族について思いを馳せる時期だといえます。そこで今回は、さまざまな形の家族愛を描いた映画をピックアップ。映画とともに、心温まるひとときを。

スピルバーグ監督の少年時代を反映した映画と家族の物語 『フェイブルマンズ』

『フェイブルマンズ』©2022 Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

『E.T.』や『ジュラシック・パーク』などの後世に残る作品を世に送り出してきたスティーヴン・スピルバーグ初の自伝的作品で、自身の原体験をもとに、映画への愛と家族のドラマを描いています。
 
サミー・フェイブルマン少年(ガブリエル・ラベル)は、初めて映画館を訪れて以来、映画に夢中になり、8ミリカメラを手に家族の休暇や旅行の記録係となり、妹や友人たちを役者にして作品を撮り始めます。そんなサミーをピアニスト志望だった芸術家気質の母ミッツィ(ミシェル・ウィリアムズ)は応援しますが、科学者の父バート(ポール・ダノ)はただの趣味だと考えていました。そんな両親の間で葛藤しながらも、夢を追うサミー。
 

『フェイブルマンズ』©2022 Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

しかし、思春期になったサミーは、家族を撮ったフィルムを編集しているうちに、母とペニー(セス・ローゲン)のある姿が写り込んでいることを発見します。ペニーとは、父の助手で、フェイブルマン一家とは家族同然の男性です。母の秘密を知ったサミーは苦悩し、一時は撮影を止めてしまうのでした。
 
 

『フェイブルマンズ』©2022 Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

サミー少年はスピルバーグ監督が自身を投影したキャラクターですが、サミーが映画人として成長するうえで両親の存在は欠かせないものでした。おしどり夫婦ではなく、わかりあえない夫婦。でも、深い絆があるのです。
 
スピルバーグ監督は本作の企画を20年以上温め続けていましたが、母が亡くなり、2020年に父が103歳で亡くなった後、ついに撮影を始めたといいます。このときすでに70代半ばになっていた監督ですが、両親の存命中は映画化を躊躇していたといいます。こんなところにも息子として両親を思う優しい気持ちが表れているように感じます。
 
 

『フェイブルマンズ』

2022年製作

4K Ultra HD+ブルーレイ ¥7,260
Blu-ray ¥2,075/DVD ¥1,572
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

シャルロット・ゲンズブールが孤独な少女に寄り添う母を好演 『午前4時にパリの夜は明ける』

『午前4時にパリの夜は明ける』©2021 NORD-OUEST FILMS – ARTE FRANCE CINÉMA

1981年のパリ。夫が出ていってしまい、一人でティーンエイジャーの娘と息子を養うことになった専業主婦のエリザベートは、眠れない夜に愛聴している深夜放送のラジオ番組の仕事に就くことに。番組パーソナリティーのヴァンダの信頼を得て少しずつ前に進もうとしていたある日、番組に出演した少女タルラが家出をして外で寝ていると知り、自宅へ招き入れます。
 
途方に暮れながらも孤独なタルラに寄り添おうとするエリザベートと、タルラに心惹かれていく息子のマチアス。タルラもまた家族というものの温かさを感じ、変化を見せますが……。
 
エリザベート役をシャルロット・ゲンズブール、エリザベートの人生を変えるヴァンダ役をエマニュエル・ベアールと、80年代から活躍する人気女優の二人が演じているのも魅力的。
 
 

『午前4時にパリの夜は明ける』©2021 NORD-OUEST FILMS – ARTE FRANCE CINÉMA

特に主演のシャルロットは、母として稼いでいかないといけない必死さと自身の生き方に対する迷いを等身大で演じていて、子どもたちのほうがしっかり者に見えるほど。独立した娘の部屋を訪ねるシーンでは、娘の成長を喜ぶとともに寂しさでいっぱいになる母の表情が印象的。息子とは、どこか恋人同士のような雰囲気もまたリアルに感じられます。
 
母、息子、娘、他人である少女が“家族”として過ごした優しくて美しい日々が、静かな感動を呼びます。
 

『午前4時にパリの夜は明ける』

2022年製作

Blu-ray ¥5,280
発売元:ビターズ・エンド
発売協力:スカーレット
販売元:TCエンタテインメント

“選ばなかった人生”で愛を知る不思議なラブストーリー 『天使のくれた時間』

『天使のくれた時間』©Beacon Communications LLC

1987年。ウォール街での成功を夢見るジャック・キャンベル(ニコラス・ケイジ)は、研修のためにロンドンへ向かう直前、恋人のケイト(ティア・レオーニ)に「ロンドン行きは考え直して」と懇願されますが、「たとえ100年離れていても僕らは変わらない」と答えて旅立ちます。
 

『天使のくれた時間』©Beacon Communications LLC

13年後。ジャックは大手金融会社のヤリ手社長となり、独身生活を謳歌していましたが、クリスマスイブの夜に出会った青年に不思議なことを告げられます。
 
あくる朝、目を覚ましたジャックの横には、なぜかケイトが眠っていて、さらには小さな子どもたちが! わけがわからず家の外に飛び出してマンハッタンのオフィスへ向かうと、社長の名前は別人で、自分の居場所はありません。どうやらジャックは、“ケイトと別れなかった人生”を体験しているようでした。

『天使のくれた時間』©Beacon Communications LLC

庶民的なパパとしての生活にも慣れてきた頃、あの青年が現れます。元の生活に戻ったジャックですが……。平凡だけれど温かい家族の暮らしを体験してしまったジャックの心の変化を描いた、ファンタスティックなラブストーリーです。

『天使のくれた時間』

2000年製作

Blu-ray ¥2,200/DVD ¥1,257
発売・販売元:ギャガ

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構成・文

ライター 中山恵子

中山恵子

ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。

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