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芸妓さんの知られざる”裏側”…!美しい日本髪を保つための努力とは…【さっぽろ芸妓日記vol.16】

  • 2024.12.29

札幌で芸妓をしております、「こと代」と申します。

「芸妓」といえば、京都のイメージが強いと思います。しかし北海道にも開拓期から道 内各地に花柳界がございました。現在は札幌のみになってしまいましたが、「さっぽろ 名妓連」には12名の芸者衆が所属し、毎日お稽古、お座敷などで活動しております。

Sitakke

連載「さっぽろ芸妓日記」では、札幌の花柳界の歴史や 文化などをご紹介していきたいと思います。お付き合いのほど、どうぞ宜しくお願いい たします 。

芸妓の「日本髪」のヒミツ

これまでの連載でも何度か触れてきましたが、やはり「日本髪」に関する質問をいただくことが多いように感じます。今回は私たちの髪型の秘密をこっそりお教えしま すね!

基本的に、私たちは一人一台かつらを持っています。
(私の場合は、男役用のかつらを 含めると二台になります)

かつらは、それぞれの頭の形に合わせて職人さんに作っていただく、いわゆる【完全オーダーメイド】。しかも北海道にはかつら屋さんがないので、東京の職人さんにわざ わざ札幌までお越しいただいたり、時にはこちらから出向いて頭の型をとっていただく こともあります。

頭の形はひとそれぞれなので、ぴったり自分に合ったものでないと長時間か ぶっているのが本当に大変なのです。

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こちらは、男役のかつら。東京のかつら屋さんで作っていただきました。私の”相棒”です。
最初は下地の作り方(髪をネットや羽二重でまとめること)や、被り方も教わります。髪の毛もあまりにも長すぎるとかつらが入らなくなるので、かつらを作った時の髪の長 さ、量をキープし続けないといけないのです。

被り方も最初はとっても苦戦しました。無理に被ると型崩れの原因にもなりますし、生え際の網の部分が破れてしまうことも。取り扱いにはいつも細心の注意を払います。

メンテナンスも欠かせません。年に何度か「結い直し」といって、東京のかつら屋さん に自分のかつらを送って綺麗に結い直していただいています。

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向かって左から、まさ美姐さん、小梅、ふみ代、こと代。普段は“つぶし島田”という髪型です。若い女性が結う髪型だそう。

白塗り以外のお仕事の際も、私たちは「洋髪」という特別な髪型を結います。
前髪がおでこにかからないように、そして華美になりすぎないよう出来るだけシンプルにまとめていただきます。この髪型を結える先生が今は少なくなってきているので、私たちは 同じ髪結いさん(美容室)に通っているんですよ~。

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こちらの髪型も、髪が長すぎたり多すぎるともたないので、意外にも肩より少し下、ほ どの長さしかないのです。髪色はもちろん黒髪一択です!個人的には髪を結っていた だくとお仕事モードがオンに。気持ちも引き締まります。
私たちの髪型の秘密、少しお分かりいただけたでしょうか?

今年も、もうすぐ終わりですね。札幌の芸者衆も、新年のお仕事に向けて準備万端で す!
皆様、どうぞよいお年をお迎えくださいませ!

***
連載「さっぽろ芸妓日記」
文:さっぽろ名妓連 こと代
編集:ナベ子(Sitakke編集部)

<「こと代」プロフィール>
札幌生まれ、札幌育ち。2018年にお披露目して以降、現在も最北の花柳界「さっぽろ 名妓連」で芸妓として活動中。開拓期から続く北海道の花柳界文化をたくさんの方に 知っていただくべく日々奮闘中。飼い猫達と遊ぶことが日々の癒し。

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