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汗から始めるビューティー習慣。効果的にサウナを楽しむ方法を専門家が伝授

  • 2024.12.29

今、進化する温活に誰もが夢中

温泉はもとより、サウナにヨモギ蒸し、酵素風呂、砂風呂......と体を温める”温活”スポットが日本にはたくさんある。なかでもしっかりと体を温めて心もととのえてくれるサウナはここ数年一大ブームを巻き起こしている。その牽引役ともいえる、サウナ博士こと加藤容崇先生にサウナの美客的メリットについて話を伺った。

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AdobeStock_blMkUG.jpgPhoto:alhim/Adobe Stock

「サウナの効果はさまざまありますが、肌への影響でいえば、汗に含まれる天然保湿成分の効果で乾燥が和らぎ、末梢循環がよくなることで肌のターンオーバーを促せること。そして、深部体温が38°cを超えることで、体を修復する特殊なタンパク質=ヒートショックプロテイン(HSP70)の発現を高められることですね。HSP70は酸化ストレスから肌を守る保護作用があるので、シワやシミになりずらい肌に導くアンチエイジング効果が期待できます」

深部体温を上げること自体は入浴でも可能だが、体にかかる負担をなるべく減らし、効率よく温まるにはサウナがいいそう。

「血圧が高いからサウナは危険、という考えは完全に正しいわけではありません。通院されている方や160mmHgを超える非常に高い血圧の方などは医師による診察を受けることが必須ですが、そこをクリアすれば過剰な負担を避けてうまく利用することで血圧を下げられることも。それよりも気をつけてもらいたいのは水風呂です。血圧が10〜15mmHg上昇するので注意が必要。同様に、入浴も水圧によって血液の体内分布が変化するので、体への負担は小さくありません。サウナの場合は大量に汗をかくことで水分だけでなく、塩分も一緒に排出され、血管が拡張するので、むしろ高血圧になる要因をオフし、リスク低減に役立ちます。むくみ対策としても有効です」

サウナで気をつけたいのは血圧変化よりも熱中症だと先生は続ける。「汗の玉ができていないと汗をかいていないと思い、我慢比べのように長時間サウナにこもる人もいますが、これは絶対にやめてください。汗は蒸発し、目には見えていないかもしれませんが、十分かいています。肌表面につく汗の玉は結露である場合もあるので汗の量とはあまり関係ないのです」

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Woman sweating in saunaPhoto:zsolt nyulaszi/Adobe Stock

また中毒のように、異常な回数サウナに入る”サウナ依存症”には気をつけたい。

「サウナは、100°C近い高温の環境や冷たい水風呂など、人体にとって危機的な状況に身を置くことで自律神経を刺激し、鍛えてくれます。その後、外気浴と呼ばれる休憩時間に副交感神経が優位になることで快楽物質β-エンドルフィンが出るので、とにかく気持ちがいい。ただ気持ちいいからといって1日に10セット以上も、ましてやそれを毎日続けているとβ-エンドルフィンだけでなく、シミやくすみ、ごわつきの原因となるメラニンも一緒に発現させれしまうことがあります。肌の色が暗くくすみ、乾燥でパサパサになってしまう人がたまにいるので、気をつけてください」

なんとも恐ろしい......。何事も過ぎたるは及ばざるがごとしということか。

「サウナはメンタルへの効果もあります。まず血流が活発になり、脳に蓄積された疲労物質を流してくれるので疲労感がなくなります。次に、自分の感情を無視して外とのやり取りばかりに気持ちを向けてしまうアレキシサイミアなどの症状に対しても、サウナは自分と向き合う感覚を取り戻すためのよい方法です。サーチュイン遺伝子の発現が高まることでストレス耐性ができ、結果、ファスティングティングに類似した効果が得られる一方、食欲が旺盛になる傾向も。特に甘味を感じやすくなるので、少量の甘みでも十分に満足できます。これをコントロールすればダイエットにも活用できますね」

肌はもちろん、メンタルや体の健康にいたるまでたくさんのメリットがあると知ったのなら、早速、温活を始めてみよう。

話を聞いたのは……

YASUTAKA KATO

慶應義塾大学医学部特任助教・日本サウナ学会代表理事。専門はサウナ、がんゲノム、がん検査開発。SNSでサウナ関連の情報を医師の科学的視点から発信中。著書に『医者が教える究極にととのうサウナ大全』(ダイヤモンド社)

Text: Teruno Taira Editor: Misaki Kawatsu

※この記事は『VOGUE JAPAN』2024年1月号「汗とビューティー。その密な関係性」より転載しています。

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