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はやみねかおるの世界が詰まった「はやみね校長の夜な夜な校内放送」。作品制作の裏話から先生時代の思い出までを語り尽くす【イベントレポート】

  • 2024.12.29

2024年9月に発足した、児童文学作家・はやみねかおるさんの公式ファンクラブの名称は「赤い夢学園」。はやみねさんは「校長先生」という位置づけだ。学校があって、先生が存在すれば、宿題が存在するのは世の常というもの。「赤い夢学園」でも、原則として毎月一冊、課題図書が設定されるのだが、はやみねさんがみずからセレクトした自著を、1ヶ月まるまる無料で読むことができるというのだから、課題というより、むしろご褒美である。しかも9・10月にセレクトされたデビュー作『怪盗道化師』に続いて、11月は『怪盗道化師2 道化師の冒険』。なんと、世に出版されていない未発表の作品だ。

正直、これを読むだけでも、ファンクラブに入る価値があると思うのだが、去る12月6日に開催された有料会員限定イベント「はやみね校長の夜な夜な校内放送」では、はやみねさんがかつて自筆で書きあげた原稿を公開しながら、制作の裏話を語るというファン垂涎の時間が繰り広げられたのである。

小学校の先生になるときに小説を書くのはもうやめよう、と心に決めたというはやみねさん。だが、子どもたちにいろんな物語を語っているうちに「そのお話は、どこで読めるの?」「本になっていないの?」と聞かれることが増えたという。そうして、手書きでノートにしたためられた1冊がデビュー作の『怪盗道化師』。読んで、やっぱりはやみねさんの作品が大好きだと思った、小説を読んでいるあいだだけは怪盗道化師につらい気持ちを盗んでもらえた、という読者からのコメントも寄せられたが、なんといっても多かったのは「まさか怪盗道化師と夢水清志郎が出会っていたとは!」という驚きの声。実は『怪盗道化師2』に、登場しているのである。

はやみねさんの手書きノートには、やっぱり手書きのイラストが掲載されていて……というのも、絵が頻繁に登場しないと子どもは読んでくれないから、というとことん先生視点の想いがこめられているからなのだが、そのなかにもちろん、夢水清志郎の姿もある。その一部を公開するだけでなく、イベント中にはリクエストに応え、即興ではやみねさんが絵を描きあげる場面も。

さらに、先生時代のはやみねさんの写真も大公開。とくに湧いたのは、長髪を一つに結んでキャンプファイヤーの火を調整しているうしろ姿は、どこからどう見てもあのキャラクターにしか見えず、「火の調整がいかにむずかしい作業か」を力説するはやみねさんをよそに、会場はそのシルエットに釘付けなのだった。

ほかにも、ここでしか聞けないエピソードが盛りだくさんの同イベントは、1年間、アーカイブが残されるため、有料会員なら誰でも、いつでも見ることができる。課題図書にまつわるイベントは今後も開催予定。はやみねワールドをより深く知ることができる、だけでなく、はやみねさんと交流できる貴重な機会をぜひ、体験してほしい。

文=立花もも

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