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【柄本佑】藤原道長の美を支えたMEGUMIさんとボクシング

  • 2024.12.29

MEGUMIさんの説得力に毎回平伏しました(笑)

準備期間から数えると2年弱、一つの役と向き合った。大河ドラマ『光る君へ』で、紫式部のソウルメイト・藤原道長を演じた柄本佑さん。美容とは無縁な生活を送っているかと思いきや、「VOCEは美容の雑誌で……」と恐る恐る説明すると、「美容?」と一瞬驚いた後、ほんの数秒置いて、「美容といえば、MEGUMIさんが動画で勧めているものは、僕、ことごとく買ってます。ウチの妻より全然買ってますね」と、大きな口をパカッと開けて快活に笑った。

「美容に興味を持ったのは、完全に仕事のためです。道長さんという人が、常にシュッとしている人だったので、演じることが決まってからは、無意識的に美容関連のTikTokやXなんかをチェックしていたんでしょうね。いつの間にかおススメ動画にMEGUMIさんがどんどん上がってくるようになって(笑)。これがまたMEGUMIさんの喋りが、ものすごく説得力があるんですよ。『買わなきゃ!』って気持ちにさせられて、化粧水とか、顔をポスポスする……フェイスポインターみたいなのを買って、家で使うようになりました。男だし、使い方も適当なので、どこまで効果が出ているのかはわからないですけど(笑)」

美容のほかに、道長の体づくりとして役に立ったのが、6年前から続けているボクシング。トレーナーさんの教え方がうまかったことから、ボクシングの面白さに目覚めてしまったそう。

30歳そこそこで、役のために始めた筋トレの弊害

柄本佑

「ボクシングを始める2年ぐらい前、全部で5ヵ月ぐらいかな。筋トレのためだけにジムに通ったことはあるんです。テレビ東京の『ヤッさん』というドラマで、筋トレをしまくっているホームレスの役を演じたことがあって(笑)。最初に台本を見たら、河川敷で腕立てとか腹筋してるシーンがあったので、『これは鍛えておかなければ間に合わない』と思って。当時は、腕立てなんて10回もできないレベルだったのが、筋トレのおかげで、ワンシーン80回ぐらい腕立てしなきゃならない場面も何とか乗り切れました。当時は、1日筋トレすると、翌日は傷ついた筋肉を回復させるために1日休んで、また次の日にジムに行って、みたいなルーティーンでした。で、3ヵ月ぐらいして筋肉がつき始めたときは嬉しかったんですが、結局、ドラマのクランクアップと同時に、筋トレはやめました。それには理由があって、僕の場合、筋トレ後は頭に血が回らなくて、考え事ができなくなってしまったんです。ぼーっとしちゃって、何も考えられない。腕もだるいし、倦怠感もあって、髪を洗う、顔を洗うみたいな日常的な作業さえも億劫になった。多分、体内の血液がすべて筋肉の回復のために使われてしまって、頭に回らなかったんじゃないかと思うんです」

ボクシングで、周辺視野が広くなった

柄本佑

ところが、ボクシングはやってみたら楽しかっただけでなく、汗をかいた後、頭の中がスッキリして、かえって冷静になれた。ボクシングで体を動かす1時間の間に、エネルギーは使い切るけれど、筋トレのときのような倦怠感はなかった。

「めちゃくちゃ汗もかきますし、デトックス感がすごいです。終わると、自分の中にあった不純物が1回下にスンと落ちる感じがして、落ち着いていられるし、周辺視野も広くなって、耳の聞こえも良くなる。体や五感を起こす作業に繋がるから、仕事前にするのがベストなんです。『光る君へ』のクランクイン前に、監督の中島(由貴)さんから、『道長さんがたまに諸肌になったりするときがあるので、多少は筋肉をつけておいてもらえると……』みたいなことを言われて。その諸肌がどのタイミングでくるかわからなかったので、最低週に3回ぐらいはボクシングに通うようにしていて、それが撮影のない土日と、月曜日の午前中。月曜の午後にはリハーサルがあったので、体を起こすにはもってこいでした」

大河の撮影が終わってからも、最低でも週に2回はボクシングジムに通っている。定期的に体を動かさずにいられた6年前の自分を不思議に思うほど、今は1週間ボクシングができないだけで、体の節々にサビが溜まったような感覚に襲われるという。

不調なときの方がいい動きができる不思議

柄本佑

「しばらくボクシングから離れると、肘とか膝とか手首とか腰みたいな、骨と骨のつなぎめのところの動きが悪くなる。だから『早くボクシングに行って油を注したい!』みたいな衝動に駆られますね(笑)。でも、運動を始めて体が柔軟になったせいか、いざ使うってなったときに怪我しなくなりました。ただ僕の場合、ボクシングの楽しさを持続するためには、何かしら次の課題が必要になってくるところは難しい。ただ淡々とメニューをこなすだけでは、面白くなくなっちゃうんです。結局、遊びだからこそ本気で取り組まないとダメなんでしょうね。(柳家)小三治さんも『遊びこそ本気でやれ』みたいなことをおっしゃっていました。確か草野球チームを持っていらしたと思うんですが、『攻撃のとき、下手だから空振り三振でもいいやと開き直ったり、守備のときにボールをトンネルしてワッハッハなんて笑ってるようでは続かない。うまくいかなかったときは、遊びでも“クソっ”て悔しがらないと』みたいなことをおっしゃっていて。ボクシングを嗜みながら、そんなことも思い出します」

不思議なもので、「今日はしんどい、やりたくねぇな」と思うときの方がいい動きができたりするらしい。逆に、「今日は調子いいぜ」とノリノリで挑むと空回りしたりする傾向があることも学んだ。

「体調がいいと、誰でもうれしいじゃないですか。だから、自分が本来できないことにまで手を出してしまいがちなんです。『あんな動きもできるかも』と余計な手を出して、空回ってしまう。不調なときの方がいい動きができるのは、慎重になるから。その方が、自分のできる範囲のことを守ろうとしますよね。結局、人間が持てる技の個数は決まっているんじゃないかと思うし、手数を増やすんじゃなく、少ない手数を少ないなりに突き詰めていかないと、自分の中の課題は見つからない。でも、そうやって突き詰めていくと、シンプルで基本的なことがいちばん難しいという真理に行き着く。それがパンチならジャブであり、フットワークなんでしょうね。お芝居なんかでも、役としてただ歩くってことが、途方もなく難しいですからね。それとおんなじことかもしれないです」

新たにハマりそうな予感のするエクササイズとは?

柄本佑

遊びこそ、本気で取り組んだ方が楽しいこと。人間の持てる技の個数は最初から大体決まっていること。物事を突き詰めるとシンプルに行き着くこと。考えてみれば、柄本さんの話もそうだ。エピソードトークの中に、いつもシンプルな真理が隠れている。何を聞いても、ユニークな回答をくれる柄本さんに、最後に「女性にオススメのエクササイズやスポーツはありますか?」と聞いてみた。

「つい最近ですけど、僕もハマりそうだなと思っているのがピラティス。ボクシングでは1時間スパーリングしても、『なんならもう少しいけるかも』と思うけど、ピラティスは無理。汗だくになって、『ちょっと休憩させてください!』みたいな(笑)。僕は元々、上半身と下半身、それぞれの体幹はしっかりあるんですが、それを繋げる丹田と言われる体の核の部分が著しく弱いんです。だから、逆上がりみたいな上半身と下半身を連動させる動きができない。ピラティスは丹田を集中して鍛えられるので、僕にはどうしても必要なトレーニングで、キツイけれどすごく素敵な先生に出会えたので、続けられそうです。自分の体を深掘りするためには、素晴らしき変態(先生)と出会うことが大事かな(笑)」

そんな柄本さんが、人生初にして「これが最後」と明言するフォトブック『柄本佑 1st フォトブック「1(いち)」。撮影は、日本を代表するフォトグラファーである森山大道さんと荒木経惟さん。完全受注生産で、それぞれの写真が16枚ずつカードになっていて、それがA5大サイズのボックスに収納されるという凝った仕様。今回のインタビューでも触れているボクシングの話や、小三治さんにまつわる思い出は、64ページの「私的マガジン」に収められている。

柄本佑 1st フォトブック「1(いち)」

柄本佑 1st フォトブック『1(いち)』
撮影:森山大道 / 講談社 ©Daido Moriyama Photo Foundation

完全受注生産、現在受付中(1月20日AM11:59まで)
1月19日開催の柄本佑 初・ファン感謝会<抽選200名招待/@東京都内開催>応募券付きも有り(1月9日AM11:59まで)

撮影は森⼭⼤道、荒⽊経惟。ブックデザインは、出版・広告業界で⾼い評価を受ける平林奈緒美が担当。本⼈責任編集のボックス⼊り豪華仕様。家族や学⽣時代、趣味、⽇常のことなどについて濃密に語った60P超えの私的マガジンも収蔵。全冊、本⼈による直筆サインとシリアルナンバー⼊り。

詳細はこちら⇒『柄本佑1st フォトブック「1(いち)」』12月2日、遂に受注受付開始! | with digital(講談社)

柄本佑 Tasuku Emoto
東京都出⾝。2001年、⿊⽊和雄監督『美しい夏キリシマ』(’03)で主演デビュー。’18年『きみの⿃はうたえる』などで第73回毎⽇映画コンクール男優主演賞、第92回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞を受賞。近作に映画『火口のふたり』、『痛くない死に方』、『ハケンアニメ!』、『シン・仮面ライダー』、「空白を満たしなさい」「初恋の悪魔」など。’24年、⼤河ドラマ『光る君へ』(NHK)では主⼈公のまひろ/紫式部の⽣涯のソウルメイト・藤原道⻑を演じた。また’23年1⽉、⾃⾝が監督を務めた『ムーンライト下落合』『約束』『フランスにいる』の3本からなる短編集『ippo』を発表。公開待機作にアニメ映画『野⽣の島のロズ』、映画『ゆきてかへらぬ』がある。

衣装協力
ジョルジオ アルマーニ
03・6274・7070

撮影/岡田健 ヘアメイク/星野加奈子 スタイリスト/林道雄 構成・取材・文/菊地陽子

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