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“よみがえりの聖地”熊野の「熊野本宮大社」へおまいりして、新たな気持ちに

  • 2024.12.29

“よみがえりの聖地”として古くから多くの人が参詣した熊野三山。平安時代の皇族や貴族に始まり、その後は武士や庶民にも熊野詣が広がりました。2004年には熊野三山とそれを結ぶ参詣道、熊野古道が世界遺産に登録され、世界からも参拝者が訪れるように。熊野三山の一つで、和歌山県田辺市にある熊野本宮大社は、ひときわ厳かな雰囲気が漂う御社。一年の始めにおまいりして、新たな気持ちで歩み出してみるのはいかがでしょうか。

“よみがえりの聖地”熊野の「熊野本宮大社」へおまいりして、新たな気持ちに
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よみがえりの聖地、熊野三山

“よみがえりの聖地”熊野の「熊野本宮大社」へおまいりして、新たな気持ちに
本殿へ向かう石段。中央は神様の通り道なので、右端を登るのが作法

熊野は和歌山県南部と三重県南部からなる地域。この地域にある大きな神社が熊野三山と称されていて、こちらへおまいりする参詣道が熊野古道です。自然崇拝を起源に、熊野三山は神道、仏教、修験道の一大聖地として信仰を集め、平安時代には皇族や貴族がたびたび熊野参詣を行うようになります。熊野三山の神秘性はますます高まり、平安時代の末には「浄土への入り口」と考えられるように。浄土へおまいりして帰ってくることは、死と再生を意味します。そのため、熊野三山は“よみがえりの聖地”として、今も多くの人に信仰されています。

“よみがえりの聖地”熊野の「熊野本宮大社」へおまいりして、新たな気持ちに
重厚な神門をくぐって本殿へ

熊野三山は、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社、那智青岸渡寺(なちせいがんとじ)の総称。それらの霊場を結ぶ参詣道が熊野古道の中です。これら霊場と参詣道を取り巻く文化的景観は、人と自然が長い年月をかけて育んできた類を見ないものとされ、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されました。
熊野古道にはいくつかのルートがあります。田辺から本宮、新宮、那智に至る山岳路は中辺路(なかへち)と呼ばれ、この道を通ってまず到着するのが熊野本宮大社です。

神が降臨した地に建てられた熊野本宮大社

“よみがえりの聖地”熊野の「熊野本宮大社」へおまいりして、新たな気持ちに
本殿には4つの社殿があり、拝殿は5か所

熊野本宮大社の主祭神は、家津御子大神(けつみこのおおかみ)。古代本宮の地に神が降臨したと伝えられ、紀元前33年に聖地、大斎原に社殿が建てられました。現在の境内の8倍ほどの広さがありましたが、1889(明治22)年の大洪水で大きな被害を受け、流水を免れた上四社が現在の場所へ移されました。
158段の石段を登って、たどり着く本殿。檜皮葺き(ひわだぶき)で熊野造りの社殿は国の重要文化財に指定されていて、威厳が漂います。豊かな自然に包まれた境内は、鳥の声や風の音などに心が安らぐ場所。おまいりを済ませたら、ゆっくりと散策してみたくなります。

導きの神様、八咫烏があちこちに

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八咫烏みくじ初穂料500円。中におみくじが収められていて、福を招くお守りや旅の記念になる

境内のあちこちで目にする3本足の烏“八咫烏(やたがらす)”は、神武天皇を大和橿原まで先導したという伝説がある、導きの神様。日本サッカー協会のシンボルとしてもおなじみです。境内の手水舎や八咫ポスト、授与品にも多く用いられているので、授与所でチェックしてみてくださいね。

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熊野牛王神符(小)初穂料800円

通称“オカラスさん”と呼ばれる熊野牛王神符は、カラス文字で書かれた熊野三山(本宮・新宮・那智各大社)特有の御神符。各社でデザインが異なるので、三社をめぐって集めてみてはいかがでしょう。熊野本宮大社の熊野牛王神符は88羽の烏が見事にデザインされ、木版で手刷されたものです。
お守りにも八咫烏を用いたものが多く、『ジョジョの奇妙な冒険』で有名な漫画家の荒木飛呂彦先生がデザインしたものもありますよ。

本殿に続いて旧社地、大斎原へ

“よみがえりの聖地”熊野の「熊野本宮大社」へおまいりして、新たな気持ちに
熊野古道からも見えるほど大きな鳥居

かつて熊野本宮大社が鎮座していた場所、大斎原(おおゆのはら)へは本殿から歩いて10分ほど。高さが30m以上もある大鳥居が目を引く大斎原には、石の祠が建てられ、神聖な空気に包まれています。春の桜など、四季折々の景観も美しいので、こちらにもおまいりしてくださいね。

おまいりの後は名物のお餅でひと休み

“よみがえりの聖地”熊野の「熊野本宮大社」へおまいりして、新たな気持ちに
もうで餅と水もうで食べ比べセット(抹茶付き)600円。水もうでは、もっちりした生地が特徴の水菓子

おまいりを終えて清々しい気持ちになったら、茶店やみやげ店がある境内の休憩所「瑞鳳殿」へ。こちらにある「茶房 珍重庵本宮店」で、名物の熊野もうで餅を頂きましょう。熊野もうで餅は、毎朝突いたお餅でこし餡を包み、玄米粉をかけたもの。お餅のやわらかさと玄米粉の香ばしさにほっとします。珍重庵ではお菓子にあわせて作り分けるなど、餡にこだわりがあるので、ぜひ食べ比べして味わってみてくださいね。
熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社の店舗だけで販売されている熊野もうで餅は、熊野詣でのおみやげにぴったり。お持ち帰りの包み紙は三社で異なるので、他店のデザインも気になりますね。
「茶房 珍重庵本宮店」には蕎麦やうどん、めはり寿司などもあるので、おまいり後のランチや軽食にも利用できますよ。

古くから多くの人がおまいりに訪れた熊野本宮大社。毎年1月には、1日の開寅祭、2日の八咫烏交通安全祈願祭、7日の八咫烏神事などの祭典行事が行われるので、これにあわせて参詣するのはいかがでしょう。今も昔も変わることのない、聖地の神聖な空気をぜひ味わってみてくださいね。

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