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【追悼・中山美穂さん】美STだけに語った本音や素顔を振り返る【関係者からの思い出メッセージも】

  • 2024.12.29

それはあまりにも突然の知らせでした。2024年12月6日、中山美穂さんとの永遠の別れ。54歳での早すぎる別れに、美ST編集部は一瞬にして悲しみに包まれました。
15年前の『美ST』創刊号で、センセーショナルにカバーを飾ったのが中山美穂さん。まだパリ在住だった美穂さんが久しぶりに女性誌に登場し、変わらぬ美貌とミステリアスな佇まいを惜しげなく披露してくださりました。それはため息すら漏れる美しさで、多くの大人女性の憧れの的に。それから全部で18回も表紙を飾っていただき、年間通してのカバーガールや連載、旅企画にも登場。それほど、中山美穂さんは美STに深く寄り添ってくださる唯一無二の方でした。
歴代の表紙とともに、美STだけに語ってくださった珠玉の言葉の数々を振り返ります。

創刊号を飾り、1年間表紙の顔を務めてくださったのも中山美穂さんだけ

2014年7月号~2015年6月号では1年間表紙の顔に

「中山美穂」という圧倒的存在感ゆえに、創刊号はスタッフ全員緊張感で挑むも、一歩カメラが回ると凛とした佇まいとエキゾチックな表情に一同虜に。意外にも、インタビューでは決して口数の多くない静かなる人。そこから1つ1つこぼれ出る言葉と表現がまた清らかで美しいのです。大人の女性が生きていくための楽しみ、悲しみ、愁いを余すことなく語っていただきました。

創刊号のカバーに初登場
「白雪姫」をテーマに圧巻の表現力を披露
パリ在住時代のプライベートなお気に入りスポットの紹介も
好評を博した連載企画。フランスロケも敢行
最後のご登場となった2020年4月号
デビュー35周年の思いを全10ページにわたり語っていただきました

ハッと印象に残る。中山美穂さんの珠玉の言葉の数々

“年齢に恐怖を持つことはマイナスだと思います。私自身は出来れば美しくありたいですが、ありのままでいいですね。シワやシミがないのは気持ち悪いし。とはいえ「シミができちゃった」と気にしている女性もかわいらしいと思います”
---2009年10月号

“人生は一度きり。限られた時間しかありません。私は、ちょっと大げさかもしれないけれど、あと10年しかないって考えているんです。すると、歳だからって諦めるのがもったいなくなるし、今の自分に必要なものは何なのか、やりたいこと、やりたくないこと、やらなくちゃいけないこと、やらなくていいことがハッキリ見えてきます”
---2014年9月号

“私は過去を否定するつもりはありません。覚悟を持って決めたことなので、これからは新しい人生を可能な限り生きてみたいと思います”
---2014年10月号

“いちばん願うのは息子の幸せです。寂しい思いをさせてしまったことは、毎日胸が痛みます。~~。ずっと変わらない愛情、一生懸命であることは変わらないということを伝え続けて行くつもりです”

“「ママはパパと結婚したことを後悔してる?」「してないよ、だって」「僕がうまれたからでしょ?」そう答えるつもりが先に満面の笑顔で言われてしまいました”
---2015年6月号

“若い頃は女優の仕事に悩み、殻を破らないと新しいものを生み出せない。どうやったら自分が変われるか、引き出しを増やせるかばかり考えていましたが、今は逆で見る方やスタッフに楽しんでもらいたい、自分のことより人に対して何ができるかが最優先になりました”
---2017年7月号

“楽しいことや嬉しいことだけでなく、辛いこと、苦しいこと、悲しいこともたくさん経験しました。人生に起こった喜怒哀楽のすべてが土台になっているからこそ、今の私が存在すると実感しています”

“意識して心掛けていることはハッピーでいること”
---2020年4月号

中山美穂さんと親交のあったスタッフさんからも追悼のお言葉を頂きました

写真家 下村一喜さん

数々の著名人から絶大な信頼を誇る、日本を代表するフォトグラファー。美STでも中山美穂さんの表紙を数多く撮影し、フランスでのロケや連載「nouvelle beauté」の撮影も担当。

下村さんが撮影を手掛けたフランスロケの表紙

「私、生まれ変わったらカメラマンになりたかったのよ」とパリのレストランでおっしゃったことがあった。「色々な場所に行って自分が見た風景を撮影して自由に生きてみたい」と言われた。
そして携帯から一枚の御自身が写る写真を僕に見せてくださり、その写真が自然体でとても素晴らしかったので「こんな風に僕は美穂さんを撮影出来ないな」と言ったら、少し間があり、とても嬉しそうな母性溢れる微笑みを浮かべてワインをキュッと飲み干された。僕には100、200の言葉を飲み込んだ仕草に視えた。『美人の代名詞』を生きる方でした。また美女と言う『檻』のような定義の中に住まわされた『自由な少年』の心を持つ御方でもあったのだと思います。(下村さん)

ヘア・メイクアップアーティスト 千吉良恵子さん

俳優、モデルから指名多数。長きにわたり第一線で活躍し続けるヘア・メイクアップアーティスト。美STでは表紙や連載をはじめ中山さんのヘアメイクを数多く担当。

美STがまだ美STORYと呼ばれていた創刊号表紙のメークを担当して以来、美穂さんとは、パリ、軽井沢、直島等数多くヘアメイクとしてご一緒させていただきました。創刊号時、美ST編集部から依頼が来たときはあまりにも光栄で、かつ嬉しかったことを今でもよく覚えています。だからこそ、スタジオでお会いしたときは緊張感が半端なかった。「ザ・中山美穂」なんです。以来、ここ数年前まで、ヘアメイクをさせていただく中で、1度もダメ出しはなく、逆に100%お任せ。だからこそ、より美しく仕上げたいと言う気持ちで美穂さんと向き合いました。
いちばん気にかけたことは、あまりにも深く美しい眼差しを生かすには、眉とのバランスが重要ということ。流行の眉を描くより、強い眉にすることでよりエキゾチックな目元が際立ち、バランスがよくなりました。そんな外見とは裏腹に、常に「静」のイメージの中に自分を置いている方。佇まいやちょっとした手の動きすら、静かで美しいのです。纏う雰囲気は美穂さんにしかない異次元の世界でした。ところがカメラの前にスタンバイされると、どっきりしちゃうくらいオーラが放たれ、「静」からゴージャスでミステリアスな美しさに変わるのです。たまに2人で笑い合うときも、くしゃっとした笑顔になって、声のトーンも可愛いらしい。そのギャップがとても魅力的でした。
今でも信じられないけれど、心からのお悔やみを申し上げます。(千吉良さん)

ヘア・メイクアップアーティスト 岡野瑞恵さん

美STの表紙を飾る数々の有名女優のヘアメイクを担当。中山美穂さんとは親交が深く、様々な仕事でヘアメイクを手掛け、美STの表紙を担当したことも。

美穂さんと初めてお会いしたのは私がアシスタントの時。その後独立して、お仕事をさせていただいたのはパリでの広告の撮影でした。モーターホームに颯爽と現れ、すっぴんがとても綺麗で黒目がキラキラしていて、吸い込まれるような目力、眼差しがとても魅力的で、佇まいや仕草がしなやかで「わぁ、中山美穂さんだ」と圧倒されたのを覚えてます。
その後も何度となくお仕事させていただき、ここ数年では、同い年なので健康の話、運動や食事などの話を共有し合ったり、私のにぎった玄米のおにぎりも誰よりも笑顔で美味しいと食べてくださり。可愛い人だなぁと愛おしく思いました。
うちの猫マッシュとポテトのことも「仲良くしてる?」と気にかけてくれ、写真を見せると、くちゃっと目を細めて笑いながら可愛いね、と。お互いの愛猫の話もたくさんしました。
美穂さんとのお仕事は本当は緊張しましたが(大スター・女優が憧れる女優でありアイドルでしたので…)ご本人はそれぞれのプロとしての立場を尊重し身を任せてくれる。男気というか、心地よい雰囲気、空気で仕事をさせていただきました。多くの方を魅了する女優そして歌手、中山美穂さん。今はまだ夢であってほしい…。
生意気ですが、次にお会いした時は遠慮なく美穂さんを抱きしめたい。勝手に中山美穂に抱きつきます。みんなにたくさんの愛、そして夢と希望をくださり、ありがとうございます。
どうか、どうか、安らかに。(岡野さん)

唯一無二の人、中山美穂さん。心よりご冥福をお祈り申し上げます

美STが愛してやまない美穂さんは、美女中の美女でありながら、立場をわきまえた男気のある人でした。撮影カットのセレクトも常にすべてお任せ。「どれでもいいよ」と一切文句もおっしゃらず、どこからどの角度で撮影しても類い稀な美しさでした。インタビューの文章も、ご自身が話したことゆえ、ほとんど修正を入れることもない。きっと受けた仕事に関しては相手を尊重くださり、最初から最後まで自分の責任を押し通していらっしゃったのだと思います。

最後に美STにご登場いただいたときの撮影では「歌いたいの!今は歌うことがいちばん楽しい」と生き生きと語っておられたその笑顔が忘れられません。美穂さんの人生に苦悩や挫折があったときも、言い訳をせず、時の流れに身を任せ、しなやかに緩やかにご自身に正直に生きておられました。多くのことを与えてくださった美穂さんの存在自体や言葉、その作品は永遠に心に残り続けています。ミポリンがいなくなったなんて思いたくない。きっと、“〽遠い街のどこかで…”、より気高く、くしゃっと笑っておられるのではないでしょうか。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

※中山美穂さんのインタビューテキストはすべて原文ママです。

撮影/清藤直樹 取材/安田真里 編集/浜野彩希

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