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北海道の味をわずか“1センチ”で再現!全道民がグッとくる…!?ミニチュア作家・碧aoさんの故郷への思い

  • 2024.12.28

石狩鍋にコマイ、飯寿司に松前漬けーー。
私たち道民には馴染み深い料理が、わずか1、2センチほどの大きさで再現された世界。
リアルであると共にどこか可愛らしさを感じる存在に、思わず目を細めてしまいます。
北海道に縁のあるクリエイターたちの視点や素顔を覗く「HOKKAIDO CREATORS INTERVIEW」。

今回は「北海道を愛するミニチュア屋さん」としてご活動するミニチュア作家、碧aoさんにご登場いただきました!

故郷への愛をこめて…たった2年でこのクオリティの高さ!

Sitakke
▲北の珍味、大集合!(碧aoさん制作のミニチュア)

ーInstagramで作品を拝見いたしました!可愛いなと見ていたら「コマイ」があることに驚きました(笑)。
ありがとうございます!おつまみメニューも充実させています(笑)

ー碧aoさんはもともと北海道がご出身だそうですね。
札幌市で生まれ育ち、短大を出た後は7年間栄養士として務めていました。結婚と共に横浜に移り住んで、今年で9年目になります。

Sitakke
碧aoさん 「いくら」のミニチュアの制作中のようす

ーミニチュアを始めたきっかけは何だったんでしょうか?
小学校のころの、自由研究がきっかけです。紙粘土で小さな野菜をたくさん作って、「ミニチュア八百屋さん」を作ったんです。それが完成した時の「できた!」という達成感や、小さな世界で再現できたことの感動が心の中に残っていました。でも、それからずっと作品づくりをしていた訳ではなくて、本格的に再開したのは2年ほど前、横浜に来てからです。

Sitakke
▲碧aoさんが子どもの頃、お母様が作ったパッチワークの作品。ハンドメイド好きはお母様譲りだそうです。

ーミニチュアづくりを再開しようと思う出来事があったんですか?
北海道がものすごく恋しかったことと、子どもたちが少し大きくなって、育児に余裕ができたことが理由として大きいですね。小さなうちだと、ミニチュアを口に入れてしまいますから(笑)
ミニチュアはずっと好きで、他の作家さんの活動をよく拝見していていました。「やっと大好きなミニチュアを自分でも作れる♪」とワクワクしたのを覚えています。

ー確かに、あんなに本物ソックリだと食べちゃいますよね(笑)。北海道の料理に限った理由は何だったんですか?

はじめは、自分の身近にある好きなもので練習しようと色々なパンを作り始めたんです。クロワッサンやシナモンロールなど、色々作った中で、一番シックリ来たのが「どんぐり」さんでお馴染みの「ちくわパン」。完成した瞬間に、「これだ!」という感覚というか…子どもの頃、自由研究で味わった時の感動が甦ったんです。それから、大好きな北海道に関連するものを作ったら面白いんじゃないかと、作品作りをはじめました。

Sitakke
▲道産子料理を再現するきっかけとなった「ちくわパン」(碧aoさん制作のミニチュア)

ーどんな素材で作っているんでしょうか?
メインで使っているのはプラスチックのように固まる「樹脂粘土」です。はじめに色を混ぜて形づくることもあれば、後から色を塗ったり、形成後にニスを塗ったりと、さまざまな方法で質感や色味を再現できるのが魅力です。他にも、液体状で紫外線で固まる「UVレジン」や、普通の紙粘土を使うこともありますね。いずれも百円均一で手軽に手に入るような素材です。

Sitakke
▲うにといくらの「贅沢丼」(碧aoさん制作のミニチュア)

**ー制作期間はどれぐらいかかるんですか?
作るものにもよりますが、1日でできることもあります。ただ乾燥させたり、完成後にニスを塗ったりするのであれば、4、5日はかかりますね。私の場合は子どもたちが学校や保育園に行っている時間、家事や育児のスキマ時間に取り組んでいますので、ちょっとかかる方かなと思います。子どもがいるとそこらじゅうに素材が散らばって危険ですからね(笑)。

ーたしかに(笑)。ミニチュア作りの魅力は?
単純作業が多いんですけど、心を無にして黙々と手を動かすのが楽しいんです。少し嫌なことあったり、ストレスを抱えていても、粘土を手にすると忘れちゃいます(笑)あとは、完成した時の達成感がたまりません。

家事の合間にコツコツ…から、企業コラボに発展!

ー作品は個人で販売もされていますね
個人でつくった作品は、ハンドメイド通販サイトの「minne」で販売しています。

ー企業から依頼も受けて作っているのだとか
企業とのお仕事は、スープカレーの「suage」さんの店頭で売っているミニチュアが初めての作品でした。一昨年(2022年)お正月に帰省した際、偶然お店を訪れていたんですよね。その後すぐでスープカレーのミニチュアを作ってSNSに画像を投稿したら、すぐに「おみやげ品として作品を作っていただけませんか」とお声掛けいただいて。翌日すぐに打ち合わせに行って、あっという間に商品化が決まりました。
実は、札幌にいた頃に良くSuageさんのスープカレーを食べに訪れていたのでSuageさんとのコラボは夢のようでした!

Sitakke
▲Suageの人気メニュー「パリパリ知床鶏のカレー」を再現したストラップ。店頭で販売中。

ー「北海道ぎょれん」さんのカプセルトイも作られてますね
商品をミニチュア化したカプセルトイを販売しています。新千歳空港にあるガチャガチャで、1個300円ほどで購入できます。けっこう数がありますが、1つひとつ、私の手づくりです。

ーこれ、全部で凄い数のイクラじゃないですか…?
きちんと数えてないですけど、1パックにつき100個以上は詰まっていますからね…。透明な樹脂粘土を、延々と指先で丸めてます。いつか指紋がなくなるんじゃないかと思ってます(笑)

Sitakke
▲「ぎょれん」の商品をそのまま再現!(碧aoさん制作のミニチュア)

ーひと粒の大きさはどのぐらいですか
肉眼では見えないぐらい…アリの頭より小っちゃいかもしれないですね。息子が「イクラ落ちてるよ」って、よく拾ってくれます(笑)

ー(笑)ちなみに作ったものの中で一番小さいのは?
トッピングに使うゴマですね。大きさは1ミリ以下、肉眼ではほぼ砂粒ですね(笑)。

北海道に住むお父様からの写真も、作品のインスピレーションに!

ー質感がとにかくリアルで、かつ可愛らしいですよね。
「リアルだけど可愛い」っていうのは当初から大切にしているテーマです。質感を再現するために、必ず実物を見て、さまざまな角度から写真を撮って見返しながら作っています。

ーちなみに栄養士をされていたってことですけど、その時の経験も役立っているんでしょうか?
栄養士よりも学生時代の経験が大きいですかね。真駒内にある光園女子短期大学に通っていたんですけど、郷土料理の伝承を大切にしている学校だったので、調理実習でつくる機会が多かったんです。

Sitakke
▲透明な素材や特有の「ネバネバ」を再現するニスなど、あらゆる技術を駆使した松前漬け(碧aoさん制作のミニチュア)

ー個人的に、「これを作ってグッときた」っていうものってあります?
最近だと…「松前漬け」ですね。色々な材料を使って作るのが難しくて、完成した際に「上手にできた!」と思いました。数の子のつぶつぶや特有のネバネバの再現にも苦労しましたねえ…自信作なのでぜひ、本物を見ていただきたいです。

ーモニター越しに見てても、なんだかお酒が恋しくなってきます…
「飲んべえなんですか」ってよく聞かれます(笑)

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▲北海道の居酒屋を再現した「ミニチュア北海道居酒屋 碧」。壁のメニューや「こぼれいくら」など、細部にもこだわりが。(碧aoさん制作のミニチュア)

ー飲んべえなんですよね?
いえ、私はそれほどでも…(笑)。ただお酒好きの父のおつまみを小さい頃から見ていたので、そこからアイデアが浮かぶことも多いんですよね。ちなみに父は今も居酒屋に行くたびに「これいいんじゃないか?」と、料理の写真を撮って送ってくれます。

ー強力なサポーターですね!今取り組んでいらっしゃるのはどんな作品ですか?
「おばあちゃんちの食卓」がテーマの作品です。たくさんの郷土料理をちゃぶ台に載せて…全部で14種類ぐらいありますかね。「懐かしい」と感じてもらえるように細部までこだわっています。

北海道の郷土料理を未来に残したい!

Sitakke
▲お刺身の盛り合わせ。1円玉と比較してもこの小ささ!(碧aoさん制作のミニチュア)

ーどんな想いを込めて作っているんですか?
郷土料理のつくり手は年々、少なくなっていると聞きます。この魅力を忘れて欲しくない、文化を残したいという思いを小さな作品に込めています。

ーミニチュアを見た方からはどんな反応を受けるんでしょうか?
私と同じように、道内出身の方からのメッセージが多くて…「実家に帰りたくなった」「母のご飯を食べたくなった」それから「涙が出そうになりました」と言われたこともありました。反響を頂くたびに「作って良かった!」と思いますし、大好きな故郷に貢献できているのがとっても嬉しいです。

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▲取材時、製作中だった「おばあちゃんちの食卓」。食卓横に置かれたニシン漬けの樽や、チラシにも注目です。(碧aoさん制作のミニチュア)

ーちなみにご家族からの反応は?
子供たちは「ばあばの家で食べた料理だ!」と反応してくれますね。主人は私と同じく北海道出身なので、作品が完成したら「これ分かる?」って真っ先に見せています。「違うんじゃないか」「もっと照りが足りない」とか、ダメ出しをしてくることも多いです(笑)。

ー今後挑戦してみたいことは何ですか?
まだまだ作っていない料理がたくさんあるので、次々挑戦していきたいですね。今考えているのは、北海道のおせち。あの、12月31日に食べるお重です。北海道にいたら「当たり前」だと思っている存在も、外から見ると北海道ならではの存在だったりするんですよね。
あといずれは、自分でミニチュアづくりのワークショップやスクールも開いてみたいなと思っています。

ー受けたい方、たくさんいるでしょうね!
将来的には、北海道のミニチュアといえば私…みたいなイメージがついたら嬉しいですね。とにかく溢れる北海道愛を作品に注いで、少しでも生まれ故郷に貢献できたらいいなと思います!

ーありがとうございました!

Sitakkeで連載「道産子ミニチュアごはん図鑑」をスタート!

Sitakke
連載「道産子ミニチュアごはん図鑑」

今回ご登場いただいた、ミニチュア作家・碧aoさんによる連載がスタート!
大好きな故郷「北海道」の味と記憶を、ミニチュア作品の紹介を通してお届けします。

→ これミニチュアなの!?冬の定番「松前漬け」をミニチュアで作ってみた【道産子ミニチュアごはん図鑑vol.1

碧aoさんが思いを込めて作る、小さくキュートな作品が、北海道の豊かな食文化の魅力を再発見するきっかけになりますように…♡

※2024年12月取材時の情報です。

文:太野垣陽介(シーズ)
編集:Sitakke編集部ナベ子

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