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ケネディ、紫式部、マイルス・デイヴィス。偉人たちが遺した一行

  • 2024.12.29
偉人の一行

ジョン・F・ケネディ(政治家)

史上最年少の43歳でアメリカ合衆国大統領に当選したジョン・F・ケネディ。選挙戦においてライバルのニクソンを破ったのは民衆の心を打つスピーチ力だった。冷戦期の複雑な世界情勢の中、キューバ危機など多くの難局を乗り越えた彼の言葉には、交渉力や決断力、そして逆境に打ち勝つスピリットを掻き立てるパワーがある。

変化は生命の法則である

1963年6月25日、西ドイツ・フランクフルトのパウロ教会で行った演説の一節。平和と自由の重要性を説くうえで、過去にすがるのではなく、常に未来を見据えることの必要を訴えた。

分裂すれば、われわれは無力にちかい

1961年1月20日、大統領就任演説の一節。東側の脅威に対し各国の団結を呼びかけた。「とうてい手ごわい挑戦に立ち向かうことはできず、互いに争い、ばらばらに崩れてしまうだろう」と続く。

困難な日が必ずしも暗いとは限らない

1963年1月14日、上下両院合同会議で出した大統領一般教書の一説。変革の波が押し寄せ、様々な難しい局面が多い時代を生きることは、誇るべきことであり、「忘れえない日々だ」とした。

政治家・ジョン・F・ケネディ
ジョン・F・ケネディ(政治家)/1917年生まれ。アメリカ合衆国第35代大統領。61~63年在職。米英ソ3国間の部分的核実験禁止条約を成立させるなど、平和への戦略に注力する。1963年にテキサス州ダラスにて暗殺され、46歳の若さで世を去った。©Newscom/Aflo

出典:『ケネディ演説集』高村暢児著(中公文庫)

紫式部(歌人、作家)

『源氏物語』で平安貴族のめくるめく恋愛模様を描いた紫式部。その著作から恋多き華やかな女性かと思われがちだが、実際の性格は内向きで非常に繊細だったといわれている。『紫式部日記』では権力と欲望渦巻く宮中の人間模様を冷静に観察し、分析。その言葉には、生きづらい社会の中でも真っ当に生きるためのヒントがある。

素気(すげ)なく人に逢わないような行為は必ずしもその人を貴くするものでもない

「人と顔を合わせるのが苦手だからといって引きこもっているようではよくない」。引っ込み思案だったとされる紫式部は、宮中で働く中で常に“ちょうどいい”愛嬌の振りまき方を考えていた。

何かの場合に生中(なまなか)なことで衆目を引くのは頭の働きの鈍いのにもまして醜(しゅう)なものである

「中途半端な仕事ぶりで注目を浴びようとするのは、みっともない」。権力者に気に入られようと振る舞う同僚や自分と似た立場で働く人に対して、紫式部は冷静な視線を向け、分析していた。

なにごとにも人を攻撃するのは楽であるが自身の方を完全にするのはむずかしい

「他人にダメ出しするのは簡単だけれど、自分の行動を完璧にするのは難しい」。日記では時に辛辣なことを綴ったが、最後にはいつも自分自身のことを省みて、自己を厳しく律していた。

歌人・紫式部のイラスト
紫式部(歌人、作家)/平安中期の11世紀初期に活動したとされる女性作家、歌人。幼い頃から漢詩や和歌、物語に触れて育つ。『源氏物語』の作者とされ、藤原道長の要請で宮中に上がった際に書いた『紫式部日記』も残している。©Mary Evans Picture Library/Aflo

出典:『与謝野晶子訳 紫式部日記・和泉式部日記』与謝野晶子訳(角川ソフィア文庫)

マイルス・デイヴィス(音楽家)

ジャズのみならず、20世紀のポピュラーミュージック史に大きな足跡を残した伝説的なミュージシャン、マイルス・デイヴィス。インタビューや自伝でも、時に挑発的とも思えるようなウィットに富んだ発言を数多く残している。生涯、挑戦し続けたジャズの巨人の言葉を知り、真に創造的であるためのヒントを学びたい。

音楽と人生はスタイルがすべてだ。

オリジナルで革新的なサウンドを常に作り上げてきたマイルスの言葉には説得力がある。音楽のみならずファッションや生き方そのものについても、自分のスタイルを追求することに貪欲だった。

自分の仕事に報酬を、
しかも良い報酬を受け取ることのどこが悪い?

自伝では、音楽ビジネスにまつわる金の話についても具体的な金額とともにたびたび言及している。「ポピュラリティによって、オレの音楽の質が変るなんてありえない」とも語っている。

オレの未来というのは、
毎朝、起きた時に始まるんだ。

常に変化と創造を志していたマイルス。エレクトロニックやラップにも反応し、晩年まで新たな表現を模索、古いスタイルに甘んじるジャズミュージシャンたちを「怠け者」と揶揄していた。

音楽家・マイルス・デイヴィス
マイルス・デイヴィス(音楽家)/1926年生まれ。トランペット奏者、作曲家。「ジャズの帝王」とも呼ばれ、新たな表現を次々と生み出し、『クールの誕生』『カインド・オブ・ブルー』『ビッチェズ・ブリュー』などあまたの名盤を残した。1991年没。©Shutterstock/Afllo

出典:『マイルス・デイヴィス自伝』マイルス・デイヴィス、クインシー・トゥループ著/中山康樹訳(シンコーミュージック)

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