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祝70歳!批評家が選ぶ、デンゼル・ワシントンの代表作ランキング。引退も噂される名優の“フレッシュ”10選

  • 2024.12.28

黒人俳優として現時点で唯一アカデミー賞の主演男優賞と助演男優賞の両方を獲得し、同賞への通算ノミネート回数は10回(製作者としての作品賞ノミネートも含む)。デンゼル・ワシントンが築き上げてきた輝かしいキャリアは、偉大な名優シドニー・ポワチエが切り拓いた映画界における黒人俳優の地位をさらに向上させるきっかけとなったことは間違いないだろう。

【写真を見る】初のオスカー受賞から35年。70歳を迎えるデンゼル・ワシントンの出演作で最も高い評価を獲得したのは、やっぱりあの作品!

【写真を見る】初のオスカー受賞から35年。70歳を迎えるデンゼル・ワシントンの出演作で最も高い評価を獲得したのは、やっぱりあの作品! [c]Everett Collection/AFLO
【写真を見る】初のオスカー受賞から35年。70歳を迎えるデンゼル・ワシントンの出演作で最も高い評価を獲得したのは、やっぱりあの作品! [c]Everett Collection/AFLO

伝記映画から重厚なサスペンス、ひいては「イコライザー」シリーズのようなバイオレンス・アクション映画まで、多岐にわたるジャンルでその秀でた演技力を発揮してきたワシントンも、本日12月28日で70歳を迎える。そこで本稿では、映画批評を集積・集計するサイト「ロッテン・トマト」を参考に、これまでワシントンが出演してきた映画作品のなかから批評家の評価が特に高い10作品を一挙に紹介していきたい。

一躍その名を世に知らしめた傑作『マルコムX』。スパイク・リー監督とはこれまで4作でタッグ [c]Everett Collection/AFLO
一躍その名を世に知らしめた傑作『マルコムX』。スパイク・リー監督とはこれまで4作でタッグ [c]Everett Collection/AFLO

「ロッテン・トマト」とは、全米をはじめとした批評家のレビューをもとに、映画や海外ドラマ、テレビ番組などの評価を集積したサイト。批評家の作品レビューに込められた賛否を独自の方法で集計し、それを数値化(%)したスコアは、サイト名にもなっている“トマト”で表される。

好意的な批評が多い作品は「フレッシュ(新鮮)」なトマトに、逆に否定的な批評が多い作品は「ロッテン(腐った)」トマトとなり、ひと目で作品の評価を確認することができる。中立的な立場で運営されていることから、一般の映画ファンはもちろん業界関係者からも支持を集めており、近年では日本でも多くの映画宣伝に利用されるように。映画館に掲示されたポスターに堂々と輝くトマトのマークを見たことがある方も多いだろう。

数年以内で引退することを表明しているが、「イコライザー」の続編など複数の作品が待機! [c]Everett Collection/AFLO
数年以内で引退することを表明しているが、「イコライザー」の続編など複数の作品が待機! [c]Everett Collection/AFLO

それでは、デンゼル・ワシントン出演作の“フレッシュ”10傑を挙げていこう。

95%フレッシュ『グローリー』(89)

92%フレッシュ『青いドレスの女』(95)

92%フレッシュ『フェンス』(16)

92%フレッシュ『ミシシッピー・マサラ』(91)

92%フレッシュ『マクベス』(21)

90%フレッシュ『ソルジャー・ストーリー』(84)

90%フレッシュ『から騒ぎ』(93)

89%フレッシュ『クリムゾン・タイド』(95)

89%フレッシュ『マルコムX』(92)

89%フレッシュ『刑事クイン 妖術師の島』(87)

『グローリー』や『マルコムX』…キャリア初期の作品が相次いで上位に!

最も高い評価を獲得したのは、のちに『ラスト サムライ』(03)を手掛けるエドワード・ズウィック監督が、南北戦争時に実在した黒人部隊を描いた『グローリー』の95%フレッシュ。南部から逃れてきた元奴隷たちが大半を占める北軍の第54連隊。厳しい訓練を経て目覚ましい成長を遂げた彼らは、自分たちの誇りをかけ、難攻不落のフォート・ワグナーでの戦いに挑んでいく。

元奴隷の兵士を演じ、ゴールデン・グローブ賞&アカデミー賞をダブル受賞 [c]Everett Collection/AFLO
元奴隷の兵士を演じ、ゴールデン・グローブ賞&アカデミー賞をダブル受賞 [c]Everett Collection/AFLO

同作で白人への強い憎しみを抱えるトリップ二等兵役を好演したワシントン。この2年前に『遠い夜明け』(87)で実在の活動家スティーヴ・ビコを演じて初めてアカデミー賞助演男優賞にノミネートされていた彼は、2度目の候補にしてオスカー俳優の仲間入りを果たす。また同年のゴールデン・グローブ賞でも助演男優賞を獲得し、一躍脚光を浴びることとなった。

上位10タイトルがほぼ90%前後という非常に高いスコアを叩きだしているが、特に興味深いのは、そのうち8作品が1995年以前のキャリア初期の作品だということ。原作の舞台劇と同じ役を演じた『ソルジャー・ストーリー』や、妖術師の助言を得て事件に挑む警察署長を演じた『刑事クイン 妖術師の島』、そして演技派俳優としての絶対的な地位を確立した傑作『マルコムX』など、代表作と呼べるものから、なかなか語られる機会のない作品まで幅広い。

自ら監督も務めた『フェンス』も92%フレッシュの高評価! [c]Everett Collection/AFLO
自ら監督も務めた『フェンス』も92%フレッシュの高評価! [c]Everett Collection/AFLO

一方で1996年以降の作品から上位に食い込んだのは、自身が主演を務めトニー賞に輝いた同名舞台劇を自ら監督&主演で映画化した『フェンス』と、フランシス・マクドーマンドと共演したシェイクスピア原作の『マクベス』の2作品。どちらもこの10年以内の作品であり、しかもアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた作品だ。ワシントンの60代のキャリアは、この2本と「イコライザー」シリーズが牽引したといってもいいだろう。

ちなみに上位10傑に入らなかった代表的な作品をいくつか取り上げていくと、『遠い夜明け』が73%フレッシュ、『フィラデルフィア』(93)が81%フレッシュ、『戦火の勇気』(96)が86%フレッシュ、『ザ・ハリケーン』(99)が83%フレッシュ、アカデミー賞に輝いた『トレーニング デイ』(01)は74%フレッシュで、『アンストッパブル』(10)は87%フレッシュ。いずれも高評価ぞろいだが、惜しくも上位までは届かなかったようだ。

『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』ではゴールデン・グローブ賞助演男優賞にノミネートされている [c]Everett Collection/AFLO
『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』ではゴールデン・グローブ賞助演男優賞にノミネートされている [c]Everett Collection/AFLO

最近ワシントンは、向こう数年以内で俳優業から引退する意向を明らかにしている。とはいえ盟友スパイク・リー監督と久々のタッグを組む『Highest 2 Lowest』が控えていたり、「ブラックパンサー」の第3弾でMCU入りを果たす予定や、「イコライザー」シリーズのさらなる続編が進行しているなど、実際に引退するのはまだまだ先になりそう。『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(24)で第81回ゴールデン・グローブ賞助演男優賞にもノミネートされているワシントン。演技部門だけで10度目のアカデミー賞ノミネートはもちろん、3度目のオスカー獲得もそう遠くはないだろう。

文/久保田 和馬

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