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身体に悪いと言われている「超加工食品」。1週間断ってみて現れた心身の変化

  • 2024.12.28

思いのほか多く摂取している「超加工食品」

9th Annual Victoria's Secret Fashion Show - Backstage

マイクロバイオーム」や「抗炎症」と並んで、最近よく聞くようになった「超加工食品」。私みたいにぼんやりとイメージは浮かぶが、実際にどういったものを指すのか正確にわかっていない人は多いだろう。何せ、どんな食品もある程度は加工されているではないか。なぜどれくらい加工されているかが重要なのか。店で買ったものであろうが、家で作ったものであろうが、サンドイッチがサンドイッチであることに変わりはないのでは。

しかし調べてみて、自分は根本的な何かを見落としているかもしれないということに気づいた。イギリスで消費される全カロリーの約57パーセントを占める超加工食品(略して「UPF」)は、子どもや貧困層ほど消費する傾向が高く、認知症からがん、うつ病、2型糖尿病まで、あらゆる病気や健康上の問題と関連づけられている。それにもかかわらず、現代人は超加工食品を大量に摂取していて、日々食べているものに内側からむしばまれているとも言えるだろう。

そもそも「超加工食品」とは何か。定義は少し曖昧だが、『不自然な食卓: 超加工食品が人体を蝕む』の著者クリス・ヴァン・トレケン医師は「プラスチックに包装されていて、一般的な家庭にはない材料が少なくとも1つ入っていれば、それは超加工食品です」と言う。つまり、添加物、乳化剤、加工デンプンなど、“よくわからないもの”が入っていたなら、それがトレケンが「工業的に製造された食用物質」と呼ぶものに該当するのだ。

なぜ身体に悪いのかはまだ完全にはわかっていないが、おそらく人間の身体は工業規模で生産された化学添加物を大量に摂取するようにできていない。実際のところ、超加工食品はいかにして健康を害するのか。1週間断ってみて、どのような変化が現れるか実験してみた。

初日〜3日目

健康志向の私は、インスタント食品やグミといったひと目でそれとわかるものを避ければ、超加工食品など簡単に断てるとたかをくくっていた。だが現実はそう甘くはなく、完全に侮っていた。特に大変だったのが最初の3日間だ。市販のパンやシリアルはダメ。いつもランチに食べているスーパーのサンドイッチも、おやつのチョコ菓子もダメ。同僚が菓子パンの残りを勧めてきたときは、思わず目を剥いてしまった。

超加工食品を断つと不思議なことが起こる。それは、付随的に砂糖の摂取量もかなり減るということだ。いつもなら夜テレビを見ながらクッキーを食べたり、昼間のカフェイン補給にコーラを飲んだりする。普段より砂糖の摂取量が減ったことで余計にその甘さを渇望した私は、ハーブティーにハチミツをこれでもかというほど入れて飲み(ハチミツは加工食品だが「超」加工食品ではない)、バナナを狂ったように食べた。しまいには、祖母に彼女が愛用するグミ形状のビタミンサプリをせびった。それくらい砂糖を欲していたが、「クエン酸ナトリウム」と靴磨きに使う「カルナバワックス」というものが入っていたから断られた。

3〜5日目

Victoria's Secret Fashion Show 2002 - Backstage

砂糖への欲求は3日目あたりから落ち着き始めた(が、これは単純にダークチョコレートが超加工食品ではないことを発見し、ダークチョコレートで欲求を満たすことができたからだ)。ほかに何を食べていたかというと、主に米、野菜、魚、肉、天然酵母のパン。ランチを毎日持参する余裕はなかったので手こずったが、職場の近くに無添加のカレーを食べられる店があり、それで済ましたり無添加のインスタントスープを買ったりとどうにか凌いだ。でも、手間はかかるが、何時間も食品表示ラベルと睨めっこするより、あらかじめ作っておいたランチを持参した方がはるかにいい。

ここにきて、睡眠の質が改善されたことにも気づいた。私は昔からずっと眠りが浅く、変な時間に目が覚めるし、寝相も悪い。しかし、しっかりと朝まで眠れるようになった。そのせいか、不安感に襲われることも顕著に減った。普段ならすっかり参ってしまうような内容のメールを受け取ったときも、それほどあたふたせずに対応できた。

5〜7日目

大っぴらに言うことではないかもしれないが、5日目か6日目くらいに性欲が急に強くなった。だが睡眠の質がよくなり、不安が減り、性欲が高まったこと以外は、この時点では身体に劇的な変化は起きなかった。超加工食品を断っていたのはたったの1週間だったので無理もないが、この短期間だけでもわずかな変化が見られたことには驚いた。

1週間を終えて主に変わったのは、自分の食べ物に対する考え方だ。アイスクリームは妙に気持ち悪くなり、個包装のビスケットは得体の知れない円盤に、大好きなヴィーガンチーズは奇妙な接着剤のような物質に見え始めた。とはいえ、お高くとまるつもりはないし、これからも市販のビスケットは食べるつもりだ。私を含め、大多数の人は超加工食品を完全に排除した食生活を送る時間も予算もない。しかし、過度に加工された食品を今までと同じように心から美味しいと思うことは、もうないだろう。

Text: Daisy Jones Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.CO.UK

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