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大切なアイドルグループが活動休止。それでも明日はくるし、私は生きる

  • 2024.12.28

2020年12月31日から、心に穴が空いている。すごく大きな穴というわけではない。だけど、絶対に彼らでしか埋まらないものだったのだと、最近になって痛感している。

◎ ◎

忘れもしない、大学1年の冬。父の車に乗っているとき、衝撃的なニュースが流れてきた。

「アイドルグループの嵐が、無期限の活動休止を発表しました」

あっ、と思った。

ついに来たか、と。別に察していたとか予感していたとかじゃないけど、いつかは起こることだとは思っていた。彼らは同じ時を生きている人間で、どんどん年齢を重ねていく。そして、私よりも一回り以上年上なのだ。彼らにとっての人生の節目や分岐点が、いつ訪れてもおかしくない。「無期限の活動休止」という形は想像していなかったが、区切りはいつかやって来る、と思っていた。

◎ ◎

帰宅後、私はすぐに部屋の片付けを始めた。あふれていた要らない衣類をまとめ、そこから1時間しないうちにリサイクルショップに売りに行った。普段散らかしてばかりの私にはあり得ない、スピーディーな動きだった。

「彼らがいなくなっても、ちゃんと生きていかなくちゃいけないんだ」

その思いが、私を突き動かしていた。嵐がいなくなって、心の拠り所を失う。そうなったとしても、生きなくちゃいけない。ちゃんとしなくちゃいけない。その第一歩が、ひとまず部屋掃除だった。

◎ ◎

彼らを好きになったのは、小6あたりからだ。再放送されていたドラマの主役を演じていたメンバーに恋して、出演番組をチェックするようになって、グループ自体を好きになって。楽しかった。彼らの一挙手一投足に注目して、1人はしゃいで。良いことなんか全然なかった中学時代に、光を差してくれた。

高校に進むと時間が無くなったこともあってあまり追わなくなったが、それでも私の心の実家であり続けてくれた。疲れたときに冠番組を再生すると画面越しにいつもの5人の空気感を感じられて、安心できた。私の中の元気のベースを作ってくれていたのは、彼らだった。

◎ ◎

そんな彼らが活動を休止した。他に楽しいことや好きなものも、いっぱいある。だけど、どうしても埋まらない。ふとしたとき、さびしく感じる。4人は単独での活動はしていて、それはありがたいことではあるけれど、やはり私はアイドルグループとして5人で活動している彼らが好きだったな、と思う。

今後彼らが活動を再開するのか、それは継続的なものなのか単発的なものなのか、分からない。彼ら自身にも、まだ分かっていないことなのかもしれない。どちらにしても、無理に再開して欲しいとは思わない。もう十分に長い年月をアイドル活動に捧げてくれたのだから、その期間に出来なかったこと、触れてこなかったことを楽しみたいだろうし。その心に蓋をしてまでアイドルに戻って欲しいとは思わない。

ただ、もしもう一度やってみてもいいかなと自然に思ってくれるときが来たとしたら。私にとってそれほど嬉しいことは、他にはない。

■田道間ハヤシのプロフィール
1998年生まれ。札幌の会社員。

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