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新作を年間400本観た映画ライター・よしひろまさみちによる【2024年ベストシネマ5選】

  • 2024.12.28

年間何本観てます~? なんてことを聞かれることが多いよしひろですが……仕事よ……。ケーキ屋さんに「年間いくつケーキ食べてます~?」って聞くようなもの。ぶっちゃけいいますと、新作ベースで400前後で、旧作はノーカウント。聞いた人はだいたい後悔するのよ。「あ……この人頭おかしい」って。そうなんです! この仕事って頭おかしいんです! 仕事で集中しすぎたときは息抜きに好きな旧作を観たりするんだもの。でも、それもこれも、皆さんに「観て損をしない映画」をお届けするため。ガンバルンバ。ということで、2024年を振り返って、忘れ得ぬ&これなら今後もリピート鑑賞する旧作になる、っていう作品をご紹介します。あ、順位はつけません。嫌いなのよ、優劣つけるの。なので、思いついた順番でリストアップ&ごくごく私的にコメントしまーす。

1本目 『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』

story ルシウス(P・メスカル)はマルクス将軍(P・パスカル)率いるローマ軍の侵攻によって妻と子どもを殺され、奴隷となってローマへ。元奴隷のフィクサー、マクリヌス(D・ワシントン)の働きかけでルキウスは剣闘士として鍛えられる。が、じつは彼は前帝の姉ルッシラ(C・ニールセン)の実子で……。

監督:リドリー・スコット/出演:ポール・メスカル、デンゼル・ワシントン、ペドロ・パスカル、コニー・ニールセン、ジョセフ・クイン、フレッド・ヘッキンジャー、デレク・ジャコビ、ラッセル・クロウ ほか/配給:東和ピクチャーズ/公開:現在、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中 ©2024 PARAMOUNT PICTURES.

毎年年末になると「ベスト映画を~」と聞かれるんですが、この作品を観るまでは、日本では今年公開だったけど本国では昨年公開の『異人たち』だったの。で、あたし的には日本公開が今年であっても、期が違う作品は積極的には入れないようにしてたんですわ(それでも入れてた理由は次の項で)。でも、『グラディエーターII~』を観た瞬間、コロッと恋に落ちました。だって、これぞ映画館で観る映画! だったんだも~ん。
なにせスペクタクルのレベルが違う。コロナ禍前はこういう超大作が年2~3作品はあったのに、群衆の撮影などが難しくなって一気に激減。この映画を観て、改めて「あぁ、やっぱ世界観の規模がでかいと興奮するわ~」と思ったわけです。それもSFやファンタジーではなく、歴史もので。これと同様の気分になったのが、ドラマの『将軍/SHOGUN』(ディズニープラスで独占配信中)ね。まだ劇場でやってるから、年末年始のお時間あるときに観に行って!

2本目 『異人たち』

story ドラマの脚本家アダム(A・スコット)は、ロンドンのタワマンに一人暮らし。12歳のときに亡くした両親の思い出をもとに執筆を始め、幼少期に過ごした家を訪れると、そこには昔のままの姿で暮らす両親が……。

監督:アンドリュー・ヘイ/出演:アンドリュー・スコット、ポール・メスカル、 ジェイミー・ベル、クレア・フォイ ほか/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン/ディズニープラスにて配信中。DVD・Blu-ray発売中 ©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『グラディエーターII~』を観るまでは、これが最強、と思ってました。だって~、大林宣彦監督版『異人たちとの夏』のいいとこどり&より深いんだもん! まさか現代イギリスで、しかも主人公のセクシュアリティをゲイに変更して、このお話が成立するなんて思ってもみなかったですわ。原作も大林版も「分かりあえなかった肉親との二度目のお別れ」を描いているわけですが、それが中年の性的マイノリティを主人公にしただけで、こんなにもクッキリと「孤独との向き合い」と「贖罪」が浮き彫りになるなんて! 監督のおヘイ、マジ天才。ちなみにおヘイは、元編集マンだけに、映像編集がむちゃくちゃすごい。「このカット、ここで活きるの!?」の連続。おヘイ、前述の前作『グラディエーター』では編集マンとして入っていたんですよ~(なので、『グラディエーター』も観てね)。

3本目 『ミッシング』

story 幼い娘の失踪から3カ月、その母・沙織里(石原)は、世間の関心が薄れていくことに焦り、地元テレビ局記者・砂田(中村)を頼る日々。そんな中、沙織里によからぬ噂が流れ、ネットで炎上してしまう。

監督・脚本:吉田恵輔(吉の上の士は土)/出演:石原さとみ、青木崇高、森優作、有田麗未、中村倫也 ほか/配給:ワーナー・ブラザース映画/現在、Netflixにて配信中。DVD・Blu-ray発売中 ©2024 「missing」Film Partners

ぶったまげました。今年の邦画は、とにかく重い社会派、それも社会的には注目されにくい「日向にいない人々」を描いた良作が多かったんですよ。『あんのこと』とかドキュメンタリーの『どうすればよかったか?』とか。体力がないときに観たら、こっちがやられる、というレベルの作品がザックザクだったんですね。その中でもおったまげのぶったまげだったのが『ミッシング』。なんせお人が悪い脚本に感動。「こりゃ誰もやりたがらないだろ……」っていう役や描写が連続するんだけど、そこに果敢に立ち向かった役者の皆さんの熱量たるや。特に石原さんね。御本人もキャリアのターニングポイントと仰ってましたが、これできちゃったら可能性無限大でしょ。これに挑んだ俳優部の皆さん、来年以降の作品での活躍、期待してますよん。

4本目 『若き見知らぬ者たち』

story 難病を患う母(霧島れいか)を介護しながら、亡父の借金を帰すために昼夜働き詰めの青年・彩人(磯村勇斗)。彼の恋人の日向(岸井ゆきの)だけが救いだった彼のどん底の生活は、ある出来事で最悪の事態に。

監督・脚本・原案:内山拓也/出演:磯村勇斗、岸井ゆきの、福山翔大、染谷将太、伊島空、長井短、東龍之介、松田航輝、尾上寛之、カトウシンスケ、ファビオ・ハラダ、大鷹明良、滝藤賢一、豊原功補、霧島れいか ほか/配給:クロックワークス ©2024 The Young Strangers Film Partners

これまた重量級。その重さと出来栄えはニアリーイコール『あんのこと』(『あんのこと』はまた別の機会に紹介したいのでとっておきます)。これまたお人が悪い脚本で、全く救いがないんですが、今観るべき映画だと思いますのよ。というのも、主題がヤングケアラー問題だから。いや、じつはですね、ヤングケアラー、身近におりましてな……。でも、どこをどうサポートすればいいんか分からないうえに、当事者も声をあげにくい&お願いごとをしにくいというマインドなんですね。ヤングじゃなかったけど、あたしも経験したことではあるんで、そのマインドが分からないではないんですが、「どうしてこうなった……社会よ」と怒りと悲しさにやられちゃいました。これ、あたしらオトナが考えなければいけない喫緊の課題なんですわよ。

5本目 『恋するプリテンダー』

story ロースクールに通うビー(S・スウィーニー)と金融マンのベン(G・パウエル)は、最高の一夜を過ごした直後、最悪のお別れ。数年後、2人はオーストラリアで行われるビーの姉の結婚式で再会。しかも、お互いにシングルであることが負の要素になってしまうことから、偽装カップルを演じるのだが……。

監督・脚本:ウィル・グラック/出演:シドニー・スウィーニー、グレン・パウエル、アレクサンドラ・シップ、ガタ ほか/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/現在、Prime Video、U-NEXTほかにてレンタル配信中。DVD・Blu-ray発売中

意外かもしれませんが、ベッタベタこてこてのラブコメ(下ネタ少々)。いや、あたしの好物なんですよ、このジャンル。疲れたときは『ラブ・アクチュアリー』と『ホリデイ』と『プラダを着た悪魔』と『ヘアスプレー』を順繰りに見直しているくらいですから。で、そのラインに入ってきた新作がこちら。やっぱいいですよねー、ほっこり楽しく、それでいて観るときのコンディションによっては見方が変わるラブコメって。オーストラリアが舞台だからクリスマスin サマーってシチュエーションも込みで最高。こういう作品ってここ5~6年は配信オリジナル作品に流れちゃってたのよ~。スクリーンでおバカ騒ぎを観られる幸せを改めて体感できちゃったことで、よりこのジャンルを好きになれました~。

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