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村上隆とルイ・ヴィトンの初タッグから20年──アーティスト自身が語る、新作「LOUIS VUITTON × MURAKAMI」

  • 2024.12.27

村上隆には、年齢や知識を重ねたからこそ生まれる子どものようなエネルギーがある。狂気の天才でありながら、同時に好奇心旺盛な子どもでもある彼の存在を、アート界において知らない人はいない。そしてルイ・ヴィトンLOUIS VUITTON)と再びタッグを組んだ「LOUIS VUITTON × MURAKAMI」の発売を2025年1月1日(水・祝)に控えた今、彼はその名をファッション界にも響き渡らせている。

今振り返ってみるに、2003年春夏に披露された最初のタッグはファッション界において極めて重要な瞬間を象徴するものだった。なぜならそれはハイファッションをポップカルチャーのあらゆる分野に浸透させ、クリエイティビティとコマースの境界線を曖昧にする先駆けとなったからだ。笑顔の花々や漫画のようなタッチで描かれた生き物たちで彩られたデザインの数々は、こういったコラボレーションが最先端であった時代、そして日本独自の「カワイイ」文化がファッション界に広がる前に誕生した。

20年の時を超えて、あの名タッグが再び

「当時はファッションについて何も知らなかったんです」と、村上はビデオコールで話す。埼玉にある倉庫のような巨大なスタジオにいる彼の背後には、作業するスタッフの姿も見えた。「最初の4年間ほどはルイ・ヴィトンの本社を頻繁に訪れていたので、そこでブランドがどのように築かれていくのかを学ぶことができたことを覚えています」と、銀髪のあごひげをなでながら彼は回想する。「この20年はあっという間に過ぎてしまいましたね」

62歳になった村上は、世界的アーティストに似つかわしい悠然と落ち着いた様子だ。「年を取ってきたのでもう何も恥ずかしくなくなったし、将来達成したい目標も残っていません」。とはいえ、当時メゾンのアーティスティック・ディレクターだったマーク・ジェイコブスからコラボレーターに抜擢されたとき、彼はすでに有名ではあったが、今ほどの存在ではなかった。「昔はみすぼらしい格好でルイ・ヴィトンのランウェイショーに出席するなんて恥ずかしいと思ったものですが、今はそんなことはまったく気になりません」と彼は笑いながら振り返る。

「LOUIS VUITTON × MURAKAMI」は最初のタッグのリエディションで、お馴染みの花にパンダ、そして 「66星人」をあしらった白と黒のレインボー・モノグラムのバッグやアクセサリー、さらにはスケートボードが揃う。「ポシェット」や「スピーディ」、カードホルダーなどもラインナップし、その一部にはアップデートされた金具やリボン型のバッグチャームがフィーチャーされている。また、Y2Kらしさが光るコレクションにふさわしく、ペット用のキャリーバッグも登場する。

メゾンのアンバサダー、ゼンデイヤがキャンペーンの顔に

Generated image「LOUIS VUITTON × MURAKAMI」キャンペーン撮影の舞台裏にて。
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このコレクションは熱狂的な注目を集めているが、村上は当初、これほど大規模にするつもりはなかったという。しかし、そのキャンペーンの顔にメゾンのアンバサダーでもある大スターが選ばれた。「もともとはカプセルコレクションを予定していて、かなり小規模なものになるはずだったのですが、ゼンデイヤが(キャンペーンに起用され)登場したときは驚きました」と村上。「彼女のパワーはまったく違う。彼女の持っているエネルギーは別次元なんです」

このリエディションとあわせてチェックしたいのが、リマスター版としてリリースされる短編ムービー『Superflat Monogram』だ。この作品は、パンダに飲み込まれた主人公の女子高生がアーティストの多彩な狂気の世界を巡り、冒険するというもの。これについて彼は、「子どもたちがルイ・ヴィトンの世界に入るというストーリーを作りたかったのですが、そのアイデアを改めて振り返ってみました」と話す。

子どもたちを念頭に置いているとはいえ、村上が打ち出す「カワイイ」には隠れた闇があり、それは彼の作品に登場する刺々しい牙やサイケデリックな色彩、浮遊する目のモチーフなどからも見て取れる。ちなみに、彼の作品のなかでも有名な虹の花は、原爆後の日本に生まれた希望を表現したものだ。より奇妙で奇抜な要素は、子どもたちにアピールするものだとアーティストは説明する。「何らかの形で“影”を取り入れないと、子どもたちは笑いものにされていると感じてしまいます。世界は混乱していて、欲望に満ちている。非論理的です。でも、子どもたちはそれを理解しているのです」

2003年春夏に発表されたルイ・ヴィトン×村上隆のコラボレーションより。

村上自身は、少なくともある意味では、彼が描く花々と同じくらいすこぶるポジティブだ。多くのアーティストがAIに取って代わられることを懸念する今、彼は楽観的に構えているように映る。「カメラ付きスマホが普及したとき、写真家たちは自分たちが消えてしまうのではと不安がったと思いますが、もちろんそんなことにはなりませんでした」と彼は例える。「変化とは避けられないものです。最初はデザイナーや作曲家など多くのクリエイターが消えていくかもしれませんが、戻ってくるでしょう。だって、みんな飽きてしまいますから」。彼は今、AIの台頭を好機とみなし、その波に乗っているようだ。「僕のように年を取った人が新しいテクノロジーを使わないと、何もかも忘れてしまうから、今こそAIについて学ぶときです」。こう付け加える彼は最近、作曲に人工知能を活用しているそうで、「AI万歳!」と笑う。

そこには、20年前の作品を今日に変わらず通用させる、村上ならではのエキセントリックな好奇心がある。「2000年代初頭、私はルイ・ヴィトンのマーケットを拡大するために、メゾンの世界を子どもたちに届けたいと言いました」と彼は言う。「そして今、その子どもたちは大人になったのです」

では、村上自身はどうだろう? 彼は茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべると、こう答えた。「大人になったことなんて、一度もありませんね」

コロコロ・クラッチ ¥929,500
プティット・マル ¥1,056,000

「LOUIS VUITTON × MURAKAMI」第1章

発売日/2024年12月27日(金)よりコレクションの一部の先行予約を公式サイトおよび公式アプリ「Louis Vuitton App」にて開始予定。また、2025年1月1日(水・祝)にはフルラインナップが公式サイトと公式アプリで発売。一部店舗では1月2日(木)より発売予定。さらに、2025年3月には第2章として春にぴったりな村上隆を代表する「チェリーブロッサム」パターンの新作アイテムも登場する。

<店舗情報>

LOUIS VUITTON × MURAKAMI ポップアップストア

会期/2025年1月2日(木)〜26日(日)11:00-20:00

※1月15日(水)は 18:00 まで、1月8日(水)&17日(金)は休業(混雑時には入場制限を行う場合もございます)

場所/東京都渋谷区神宮前6-14-2

取扱製品/ウィメンズのレザーグッズ、アクセサリー、トランク&トラベ ルラゲージ、フレグランス、シューズなど

※「LOUIS VUITTON × MURAKAMI」コレクションのみ取扱い、シューズのみメンズも展開

<イベント情報>

LOUIS VUITTON × MURAKAMI カフェ & デジタルインスタレーション

LOUIS VUITTON × MURAKAMI アーカイヴ展示

会期/2025年1月2日(木)〜26日(日)11:00-20:00(カフェは 18:00 まで)

※1月15日(水)は18:00 まで、1月8日(水)&17日(金)は休業

場所/東京都渋谷区神宮前5-11-1

問い合わせ先/ルイ・ヴィトン クライアントサービス 0120-00-1854

https://www.louisvuitton.com

Text: Ashley Ogawa Clarke Adaptation: Motoko Fujita

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